あいちの伝統野菜を絵本でPR-愛知県・安城農林高等学校生徒の「金俵まくわうり」よみがえりプロジェクト

今回、ご紹介する愛知県立安城農林高等学校は、愛知県安城市が、まだ安城村であった1901年に愛知県立農林学校として開校し、戦前には日本の三大農学校の一つであった由緒ある農学校です。

愛知県の西三河地方に位置する安城市は、1920~30年代にかけて農業の先進的な取り組みが行われたことから、農業先進国のデンマークになぞらえて「日本デンマーク」と呼ばれていました。現在では、自動車産業を中心に機械関連の産業が盛んですし、三河安城駅は新幹線こだまの停車駅にもなっていますが、それでも、土地の40%弱を田、約7%を畑で占めており、市域の半分弱は農地として利用されています。

日本の農業先進地域として発展した安城市は、かつて名古屋大学の農学部が誘致されるなど、多くの農業指導機関が移転・設置され、農業の多角化・共同化が勧められてきましたが、(名古屋大学農学部は1966年に名古屋市に移転)愛知県立農林学校は、それらの誘致された農業指導機関よりも、さらに歴史が古く、永きにわたって農業技術者を育成しています。

安城産業文化公園デンパークの風車

安城産業文化公園デンパークの風車

その愛知県立安城農林高等学校で、2016年度から「あいちの伝統野菜」に認定されている「金俵(きんぴょう)まくわうり」を復活させるプロジェクトが開始され、農業科の生徒たちが、栽培に取り組んだり、金俵まくわうりの糖度を高めるための研究を行っています。

まくわうりは、もともとは中国が原産国ですが、渡来した時代は古く、すでに平安時代には美濃国(現在の岐阜県)の真桑村が有名な産地になっていたため、「まくわ」という名前がつきました。

まくわうりの在来種は、各地に数多くありますが、「金俵まくわうり」は、明治から昭和にかけて江南市や安城市で多く栽培された品種です。金俵(きんぴょう)という名に相応しく、表皮は濃い黄色、果実の色は明るい黄金色をしています。大きさは800gほどに育ち、香りが良く、果肉は白く、メロンに似た甘みがあるそうです。美しい黄金色と富裕そうな名前は、おめでたい席にも似合いそうですが、現在は生産者が減少し、市場に出回ることは無くなってしまいました。

あいちの伝統野菜 金俵まくわうり

あいちの伝統野菜 金俵まくわうり

この「金俵まくわうり」を復活させるべく、同校の生徒たちは、ホテルやケーキ専門店に協力してもらい、ジャムやシフォンケーキを開発したり、文化祭や全国農業高校生収穫祭などで販売するなどし、積極的にPRしてきました。

そして、この2019年2月12日には、絵本「金俵マクワウリ~愛知県の伝統野菜をよみがえらせよう!」(A4版8P)を安城市役所で配布。絵本と合わせて、「金俵まくわうり」の種やオリジナルステッカーを、市役所を訪れる人に配り、積極的にプロジェクトに取り組んでいます。

いろいろなアイデアで、すばらしい活動を展開している愛知県立安城農林高等学校の生徒皆さん。これからも、ぜひ、若い力で、再び「金俵まくわうり」を広く普及させるべく、 がんばってください。

 

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