愛知に来たら、これ食べてみて!~あいちの伝統野菜を使った美味しい商品~

名古屋メシもいいけれど、愛知県には、ここでしか手に入らない!食べられない!超ニッチながら美味しい食べ物がありますよ!

美味しいのに、なぜ、ニッチなのか?
なぜなら、それは伝統野菜を加工した食品だからです。

愛知県の「あいちの伝統野菜」は現在37品目選定されていますが、生産農家は少なく全ての産物が市場に流通しているわけではありません。

しかし、その中のいくつかの品種は地域の特産品として、また、地域ブランド品として美味しさを楽しめるように加工品が作られています。

今回は「あいちの伝統野菜」を原料に使用した加工品をご紹介します。ただし、野菜は旬のものであり、年中は無いことや、生産量が少ないため売り切れご免の商品もあります。その点はご容赦ください。

もちろん、歴史ある定番商品もありますし、多彩な商品が展開されている伝統野菜もありますよ。
愛知に住んでいる人も、遊びに来た人も「いっぺん、あがってちょおでゃあ!」 

宮重大根(みやしげだいこん)

宮重大根を使った加工品には「よりぼし漬け」があります。「よりぼし漬け」の原料となる「よりぼし大根」は、天下の奇祭「はだか祭り」で有名な国府宮神社が所在する稲沢市の西部地区でのみ生産されています。

良質な宮重大根を選抜し、細く縦に切り、稲架(はさ・はざ)に吊るして伊吹山から吹く寒風の”伊吹おろし”と天日にさらして干し上げることで、大根の甘味と旨味を凝縮させます。干し上げた大根は、手で撚(よ)りをかけて「よりぼし大根」を完成させます。近年、生産者が減少しており、大変貴重な食材になりつつあります。

「よりばし漬け」は、この「よりぼし大根」に、なす、生姜、椎茸、昆布、しそ、ゴマを加え、隠し味に山椒や唐辛子を入れ醤油漬にしたもので、材料は全て国産にこだわった銘品です。

稲沢市観光協会 よりぼし漬け
アマゾン天長食品「よりぼし漬け」在庫切れ

守口大根(もりぐちだいこん)

守口大根を使った加工品には「守口漬け」があります。守口大根は、とても細長い大根で、「世界一長いダイコン」としてギネス世界記録にも認定されました。

その守口大根を収穫してすぐ塩漬けにし、脱水した後に酒粕に何度も漬け込み、2年余の時間をかけてじっくりと熟成させて漬けたものが「守口漬け」です。

1881年(明治14年)に東海地方で活躍した実業家・山田才吉が酒粕で漬け味醂粕で仕上げる「守口大根味醂粕漬(もりぐちだいこんみりんかすづけ)」を考案したのが始まりとされています。

守口大根は、この「守口漬け」専用に栽培されているため、一般の市場に出回ることはありません。守口大根を食べるなら「守口漬け」しかありません。名古屋みやげとしても有名です。だし巻きに入れたり、お茶漬け、サラダのトッピング、カナッペなど幅広く使えます。

守口大根 守口漬け
いづ藤
尾張屋
大和屋守口漬総本家

八事五寸人参(やごとごすんにんじん)

八事五寸にんじんは、名古屋市東部の丘陵地帯である八事の地名がついており、名古屋市の伝統野菜でもあります。この地の農家が1919(大正)8年に東京の種苗会社から導入したにんじんの種から選抜して栽培されたもので、現在でも10軒 ほどの農家が、伝統を守るため栽培を承継しています。

八事五寸にんじんを使った加工品には、以下の商品があります。

八事商店街振興組合は、八事五寸にんじんの地域ブランド商品として、ドレッシング、ジュース、ジャム、煎餅(せんべい)をプロデュースし、地域で販売しています。

名古屋市農業センター(令和6年3月23日全面リニューアルオープン)では、季節限定でアイスクリームを販売しています。また、レシピコンテストやタネの販売などが催されています。

八事商店街振興組合
名古屋市農業センター(令和6年3月23日全面リニューアルオープン)

木之山五寸人参(このやまごすんにんじん)

大正時代には栽培が始まっていたとされる長さ15㎝ほどのにんじんです。一般的なにんじんと比べて形状は先端がややとがっており、肉質はやわらかく緻密で芯まで赤みがあるのが特徴です。

生産地は愛知県大府市木之山地区で、最盛期には30件ほどの農家で栽培されてきましたが、栽培の手間暇や生産者の高齢化と後継者不足の問題などで現在は4軒のみとなり、大変希少な食材になってしまいました。

この木之山五寸にんじん使った加工品は、「イシイのおべんとクン ミートボール」で知られる石井食品が、生活者と生産者をつなげることをテーマにした「地域と旬」の取り組みの中で、2017年に「木之山五寸にんじん まぜごはんの素」を商品化しました。その後、第2弾として、2020年には、「木之山五寸にんじんソースハンバーグ」と「木之山五寸にんじんスープ」を発売しましたが、残念ながら期間限定のため販売終了しています。

石井食品は、愛知県だけでなく、千葉の「姉崎だいこんハンバーグ」や「京都亀岡の九条ねぎを使ったハンバーグ 和風しょうゆ」など各地の伝統野菜を使った商品開発を行っています。

石井食品オンラインショップ

八名丸さといも(やなまるさといも)

八名丸さといもは、現在の新城市一鍬田(ひとくわだ)地区が生産の発祥地です。その旧地名である八名郡(やなぐん)八名村(やなむら)と丸い形から、1945(昭和20)年頃に「八名丸さといも」名づけられました。粘りが強く、やわらかいのが特徴で、なめらかな食感です。

新東名高速道路の下りにある長篠設楽原パーキングエリア では、この八名丸さといもを使って作った珍しい里芋コロッケを食べることができます。この「やな丸コロッケ」は、ひじきなどの具と合わせられており、ソースなどつけなくてもなめらかな里芋の食感と旨味を楽しめます。

新城市HP「やな丸さといも」

早生かりもり(わせかりもり)

早生かりもりは漬物用の白瓜の一種で、明治時代から濃尾平野一帯で栽培されてきました。現在は主に愛知県西部の清須市および丹羽郡大口町で生産されています。 堅瓜(かたうり)とも呼ばれるほど、とても果皮がかたいため、漬物以外で食べられることはほとんどなく、出荷先は加工業者が中心です。

早生かりもりの漬物は醤油(しょうゆ)漬けや粕(かす)漬けなどがあります。地元尾張の酒粕(さけかす)で何度も漬け変えをして深みのある甘味を引き出したものは粕漬の好きな人にはたまらない味わいです。

清須市特産粕漬け
尾張一宮香物 三井宮蔵

知多3号たまねぎ(ちたさんごうたまねぎ)

知多3号たまねぎは、その名にもある通り山海(さんかい)の食材に恵まれた知多半島が産地です。1945(昭和25)年に品質・収量がすぐれた系統を選抜した知多黄早生(ちたきわせ)という玉ねぎ品種の内、現在も栽培が続いているものです。500gほどの大玉に成長する品種で、肉質は柔らかく、糖度が高く甘く、辛みが少ないためサラダや刺身のツマなどにもよく使われます。

知多3号たまねぎを使った加工品は、「木之山五寸にんじん」と同じく、石井食品から「大府市産 知多3号玉ねぎ使用ハンバーグ たまり醤油のオニオンソース 」と「大府市産知多3号玉ねぎスープ」が販売されていました。

ハンバーグは、「知多3号玉ねぎ」をソースにもパティにもふんだんに使用し、醤油は醸造の郷と呼ばれる愛知県武豊町で醸造された、こだわりの「たまり醤油」を使用しました。

スープも、玉ねぎのカット方法にこだわり、玉ねぎの甘みと食感を残し、「たまり醤油」を使用しています。温めても、冷たくしても美味しいスープです。

残念ながら、期間限定のため現在は販売終了となっています。

石井食品「大府市産 知多3号玉ねぎ使用ハンバーグ たまり醤油のオニオンソース 」
石井食品「大府市産知多3号玉ねぎスープ」

法性寺ねぎ(ほうしょうじねぎ)

法性寺ねぎは、徳川家康公ゆかりの地である岡崎市南部の六ツ美(むつみ)地区を中心に栽培されています。法性寺ねぎは、その昔、法性寺の僧侶が比叡山(ひえいざん)延暦寺(えんりゃくじ)へ修業にいった際に持ち帰ったねぎを植えたのが始まりとされ、名前の由来にもなっています。岡崎市のブランド化推進品目にも選ばれました。

法性寺ねぎの加工品には、岡崎市の農業生産法人株式会社六ッ美ライスセンターが製造している乾燥ねぎと調味料があります。調味料は、ねぎを粉末にし、米麹(こめこうじ)と塩だけを混ぜ合わせたものです。ねぎの風味と麹の旨味(うまみ)が炒め物と相性抜群。チャーハン、焼うどん等がグッと美味しくなります。
食べチョクやジモティーなどで販売されることがあるのですが、残念ながら販売終了となっていました。

株式会社六ッ美ライスセンター ねぎ糀塩【愛知県産法性寺ねぎ使用】

愛知早生ふき(あいちわせふき)

ふきは平安時代から栽培されていた品種ですが、愛知早生ふきは江戸時代から栽培が始まりました。愛知県知多半島はふきの生産量が全国一で、全国シェアの約5割を占めています。また、全国で栽培されているフキのほとんどは「愛知早生ふき」です。

ふきを甘辛く煮詰めたものに伽羅蕗(きゃらぶき)というものがありますが、その名の由来は色合いが「伽羅(きゃら)の香木(こうぼく)」に似ていることから付いたそうです。きゃらぶきは全国各地で作られており、スーパーなどで購入できます。

つくだ煮街道

土田かぼちゃ(つちだかぼちゃ)

土田かぼちゃは、織田信長の居城があった清須市の土田地区を中心に栽培が盛んだった日本かぼちゃです。(ちなみに清須市はドラゴンボールの作者である故・鳥山明(とりやまあきら)氏のゆかりの地でもあります)

1950(昭和25)年頃には市場から姿を消していましたが、2007(平成19)年に種を保存していた農家がみつかり、復活をとげました。

清須市では土田かぼちゃを名物にしようという動きが地域に広まっており、学校給食で提供されるほか、地元の和菓子店や喫茶店が和菓子や洋菓子等が粕漬け、かりかり梅みそ漬け、どら焼き、ういろう、羊羹、和風ケーキ、プリン、マドレーヌ、クッキー、カタラーナ、白玉黒みつがけ、土田かぼちゃカレーなど幅広く商品開発が行われています。

清須市ふるさとのやかたや商店街の飲食店、和洋菓子店などで購入することができます。

愛知県資料「今回追加選定された伝統野菜の加工品やレシピ、販売場所などの御紹介 」

いかがでしたでしょうか。素材によってバラエティに富んだ加工品が作られているものもあり、いつでも伝統野菜を味わうことができます。ネット通販で購入することが可能な商品もありますが、観光がてらお出かけになった際には、ぜひ、販売場所を除いてみてください。ほかにも愛知独特の調味料(たまり醤油、白醤油など)や地酒、和菓子(ういろう、をちこち等)などがあるので、発見を楽しんでみてください。

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