日本の伝統野菜-21.岐阜県

1.地域の特性

【地理】

岐阜県は日本のほぼ中央に位置しており面積は約1万621平方キロメートルで、全国第7位の広さを誇ります。人口は、203万1903人で、日本の総人口の1.6%を占め、全国第17位です。

岐阜県に隣接する県は、富山県、石川県、福井県、長野県、愛知県、三重県、滋賀県の7県に囲まれており、国内でも数少ない内陸県の一つです。各県との県境はほとんどが山地山脈です。

愛知県の尾張地方との県境の大部分や三重県との県境の一部は、木曽川、長良川、揖斐川などの河川があり、豊富な水に恵まれています。

地形的には県域のおよそ8割が山地によって占められる山岳県で、県の北部、西部、東部域を広く覆っています。低地は南部のわずか2割程度にすぎません。県内は美濃と飛騨(昔の旧美濃国と旧飛騨国のなごり)で構成され、現在は岐阜地域、西濃地域、中濃地域、東濃地域、飛騨地域の行政区分に分かれています。

北部の飛騨地方は、標高3,000m級の飛騨山脈をはじめとする山岳地帯が大部分で、平地は高山盆地などわずかです。一方、南部の美濃地方は、愛知県の伊勢湾沿岸から続く濃尾平野が広がっています。特に南西部の木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)合流域とその支流域には、水郷地帯が広がり、海抜0m以下の場所もあります。また、飛騨川と宮川の流れを太平洋側と日本海側とに分ける「位山分水嶺」、長良川と庄川の流れを分ける「ひるがの分水嶺」等が存在し、複雑な地形となっています。このような岐阜県の地形の特徴を表して、「飛山濃水」という言葉で表されます。

【気候】

岐阜県の気候は美濃地方の大部分は太平洋岸気候、飛騨地方の大部分と美濃地方の一部は日本海岸気候、飛騨地方と美濃地方の一部は内陸性気候(中央高地式気候)、美濃地方の大部分は太平洋側気候に属します。県内全域で内陸性気候を併せ持っているため、一部地域は豪雪地帯・特別豪雪地帯でしばしば大雪に見舞われます。

県内の標高は、平野部の海抜0mから飛騨山脈の3000m超の差があるため、気温は地域によって大きな差があります。岐阜市の平年気温は15.8℃、北部の高山市の平年気温は11.0℃です。

年間の平均降水量は1,700mm~2,500mm程と比較的多く降ります。冬期は乾燥した晴天の日が多く、岐阜県西部では「伊吹おろし」と呼ばれる乾燥した冷たい風が吹きます。美濃地方は低い山に囲まれており、夏は暑く、冬は寒いうえ、気温の寒暖差も大きい地域です。飛騨地方は標高が高いため、美濃地方と比べると気温は低いですが、高山盆地では夏期に猛暑日を記録することもあります。内陸山間部は亜寒帯湿潤気候で気温が低くく、冬期には-20°C以下まで下がる日も多いため、本州では寒い地域の1つとも言われています。

このように気温の寒暖差や風雨雪が激しい地域では、農産物は身を守るために強くたくましく育ちます。

【農業の特徴】

岐阜県の経営耕地面積は55,000haで、内、田が42,500ha、畑が13,000ha(2020年)で全国25第位です(農林水産省「作物統計調査 令和2年」より)。

岐阜県は、海抜0mの平坦地域から3,000mを超える山岳地まで起伏に富んだ地形を有しており、木曽・長良・揖斐川の豊富な水にも恵まれているため野菜・果物の生育に適しています。この「日本の縮図」ともいえる自然条件と、京都や愛知などの大消費地に比較的近い立地条件を生かし、一年を通じて地域の特性に応じた農業が多彩に営まれています。

主要農産物は、岐阜、西濃地域では、トマト、いちご、きゅうり、ほうれんそう、えだまめ、だいこん、にんじん等の野菜、かき、なし等の果樹、稲、麦、大豆の作物が盛んです。中濃、東濃地域では、夏秋トマト、夏だいこん、くり、花きの栽培のほか、豚や鶏の中小家畜生産と酪農が行われています。飛騨地域の農業は、夏期の冷涼な気候を生かして夏秋トマト、夏ほうれんそうなどの野菜類、もも、りんごなどの果樹、夏ぎく等の花きの栽培や広大な山地を利用した肉用牛の生産、酪農が行われています。

また、全体として、合成農薬・化学肥料を従来の30%以上削減した栽培『ぎふクリーン農業』の取り組みを行っています。

2.岐阜の伝統野菜

岐阜県では、伝統野菜について、一定の要件を満たす品目・品種を岐阜県が「飛騨・美濃伝統野菜」として認証しています。

岐阜県内で古くから栽培されている特色ある野菜・果樹等のうち認証要件を満たした野菜・果樹などを認証しています。「飛騨・美濃伝統野菜」の認証の要件は、以下の通りです。

1.本県で主に栽培されていること
2.本県の気候風土により特性がみられること
3.古く(昭和20年以前)から栽培され、地域に定着していること

2022(令和4)年3月 春日きゅうり、春日豆、こんぶり、2023(令和5)年3月 春日はるな、国府なす が認証され、現在(2024年3月現在)は、野菜27品目、果樹5品目の32品目が認証されています。認証された品目とその加工品には、認証マークを貼付することができます。

あきしまささげ(あきしまささげ)

【生産地】高山市 (旧:高山市・丹生川村・国府町・上宝村)、飛騨市(旧:古川町)

【特徴】表面に現れる紫色の縞模様が特徴的茹でると鮮やかな緑色に変化筋がない”湯上り美人”の愛称

【食味】しっかりとした食感で柔らかい

【料理】煮びたし、茹でてマヨネーズやドレッシングサラダ、炒め物、天ぷら、味噌汁煮物にするときには下茹する

【来歴】表面の縞模様は、昼夜の寒暖差と紫外線によって色鮮やかに現れ、豆にも同じような模様が現れる。秋になり夜が涼しくなってから縞模様が浮かび上がることから「秋縞ささげ」と呼ばれるようになった。

【時期】7月下旬から10月

あじめコショウ(あじめこしょう)

【生産地】中津川市 (旧:福岡町)

【特徴】形は細長い。鷹の爪よりもずっと長細く、実は18cmほどの大きさに成長する。一般的なトウガラシに比較して3~5倍という辛さが特徴。また、風味があり糖度はトマト並み。品質面の特徴と栽培の歴史をもとに、岐阜県の飛騨・美濃伝統野菜認証を受け、青果から加工品までさまざまな用途で生産出荷されている。

【食味】ヤミツキになる味で、愛好家から「味女」と呼ばれる。トウガラシだがトマトと同程度の糖度を示し、風味のある辛さと相まって独特の味がある。この辛さは風味と表現できる食味品質であり、これに魅了されて愛好家組織「好辛倶楽部」には200名以上の会員が集う。

【料理】青果を焼き野菜や和え物として食する一方、乾燥したものは薬味として利用する。野菜炒め、和え物、やきそば、パスタ、カレー、浅漬け、みそ汁にと、多様な使い方ができる。乾燥させて細かくしたものは、一味や七味など薬味として使う。風味が豊かなので、加工品としても人気があり、近年は「あじめコショウ」入りのおかず味噌、ミニトマトと混ぜたピリ辛風味のケチャップ、「あじめコショウ」入りレトルトカレー、ドレッシング、ポテトチップスなど風味に優れる特徴を活かし、さまざまな商品開発が行われている。

【来歴】岐阜県中津川市福岡地区で、約400年前から栽培されている。この地域ではトウガラシをコショウと呼ぶがトウガラシの一種。地域内を流れる付知川に生息するアジメドジョウに外観形状が似ていることから、アジメドジョウに似たコショウ(トウガラシ)として「あじめコショウ」と呼ばれるようになった。現在、岐阜県飛騨・美濃伝統野菜の認証を受けた「好辛倶楽部」会員17名が中心となって、約40aで生産されている。主な会員の生産量は、約2tとして県に届け出ているが、多くの地元農家では3~10本程度が多く全体の生産量は不明。

【時期】7月~11月

菊いも(きくいも)

【生産地】恵那市 (旧:岩村町)

【特徴】キク科ヒマワリ属の多年草。食用になるのは塊茎の部分。いもの切り口の模様が菊の葉に似ていることが名前の由来。見た目じゃがいもに似ている。栄養素のイヌリンが多く含まれている。

【食味】シャキシャキした食感に、ゴボウに似た薫りがほのかにする。

【料理】昔から漬物にして親しまれ、果糖やアルコール抽出に利用されることもあった。

【来歴】北アメリカが原産で、アメリカの先住民の貴重な食料だったといわれている。江戸時代末期に飼料用作物として日本に導入された。

【時期】11月

 菊ごぼう(きくごぼう)

【生産地】中津川市 (旧:中津川市・福岡町)

【特徴】切り口の模様が菊の花に似ていることから菊ごぼうと呼ばれる。ごぼうと付いているがキク科アザミ属のモリアザミの根で正確にはごぼうではない。良質の赤土土壌で、香りのよい菊ごぼうが作られる。11月に霜が3回降りたら収穫のタイミング。

【食味】独特のシャキシャキした食感と風味があり、柔らかく、歯ごたえが楽しまれている。歯ごたえがありながら、柔らかい。味噌や醤油で漬け物にしたり、きんぴらにするのはもちろん、産地である恵那や中津川では、すき焼きや鍋にも使う。

【料理】漬け物。漬物にするときは、味噌漬け、たまり漬け、醤油漬け、松前漬けなどにする。家庭では、すき焼き、鍋物、キンピラ、サラダなどの具として使われる。菊ごぼうがないと正月が来た気がしないという人も多く、年始のご馳走。

【来歴】江戸時代末期の1862年(文久2年)に、恵那郡富田村(現在の恵那市岩村町富田)の、庄屋の吉村家の人間が、三ッ森山に自生していたものを発見したのが最初。見つけたのは、根の太いモリアザミの原種で、明治以降になって本格的に栽培されるようになった。

【時期】10月中旬から11月中旬

桑の木豆(くわのきまめ)

【生産地】山県市(旧:美山町)

【特徴】インゲン豆の一種でサヤごと食べられるのが特徴。完熟すると、さやや豆に赤い絣模様が入る。美山地区では、さやごと乾燥させて保存する。

【食味】ホクホクとした食感

【料理】煮豆、煮物、天ぷら、お菓子にもお料理にも合う。

【来歴】かつて養蚕が盛んだった美山地域には桑畑がたくさんあり、丈夫な桑の木にツルをはわせて栽培していたことから「桑の木豆」という名前がついた。ある程度寒い場所でないと育たず、熟すとあらわれるきれいな赤いかすり模様も、この地域以外では豆が大きくならず出ない。

【時期】10月

沢あざみ(さわあざみ)

【生産地】揖斐川町(旧:春日村)

【特徴】伊吹山麓の谷筋に自生していたものを栽培。ポピュラーな山菜であるが、栽培しているケースはほとんどない。葉柄部分に特化した利用は珍しい。

【食味】ゴボウに似た香りで、シャキシャキとした歯ざわり。

【料理】煮物(沢あざみと身欠きにしんの煮物)、 味噌汁の具、佃煮、水煮、塩漬け

【来歴】伊吹山麓の谷筋などに自生していたものを採取して家屋の周辺や茶畑で栽培するようになった。最近では転作田でも栽培されている。農薬は使用せず、肥料は油粕主体で、栽培は粗放的である。古くは江戸時代前期に近江から製法が伝わったとされており、大垣藩への上納品、換金物として生産されていた。言い伝えでは、炭焼きに出かける時にサワアザミの苗を持ち歩き、分布が広げられたと言われている。

【時期】4月下旬~7月上旬

十六ささげ(じゅうろくささげ)

【生産地】羽島市、本巣市(旧:糸貫町)

【特徴】さやが長い豆。アフリカ原産で、東南アジアなどでポピュラーな野菜で、暑さや乾燥に強く、盛夏でもよく育つ。青物野菜の少ない夏期におけるビタミン源として重宝されている。

【食味】柔らかい食感

【料理】おひたしやゴマ和え、味噌和え、サラダ「十六ささげ」は柔らかく油との相性が良い。天ぷらにすると、濃い味わいや香りが引き立つ。

【来歴】莢(さや)の中に、豆が16粒できることから「十六ささげ」と名づけられたという説があるが、実際にはもっと多くの豆ができることもある。栽培を始めた時期は明らかではないが、大正時代以前とされる。本格的に普及したのは1945年(昭和20年)以降。「十六ささげ」は、東海地区の夏の食材として人気がある。

【時期】6月下旬~9月下旬

千石豆(せんごくまめ)

【生産地】岐阜市

【特徴】フジマメ科フジマメ属。莢(さや)の形が三日月型をした豆。中の豆はぷっくりと楕円形。美味しい千石豆を収穫するためには、タイミングが非常に重要となる。

【食味】独特の青々しい香りと風味豊かな味わい。若取りしたものが食用となる。

【料理】天ぷら、ごま和え、煮物、すまし汁など。様々な料理に使われる万能食材。地元ではスジをとったものを茹で、味噌和えなどにするのが人気。

【来歴】明治時代初期に栽培が始まったとされる。莢の形が千石船に似ていることから、「千石豆」と名付けられたという説や高温や病気に強く、たくさん実をつけることから「千石豆」と呼ばれたという説がある。

【時期】4月下旬~10月下旬

徳田ねぎ(とくだねぎ)

【生産地】岐南町(旧:羽島郡上印食村)

【特徴】分けつ旺盛なねぎ。葉は柔らかく濃緑。癖が少なくて、白い部分から、緑の葉の部分まで食用可能。

【食味】甘みのある美味しさ。

【料理】すき焼きや鉄板焼き、鍋、薬味など。

【来歴】江戸末期に、八剣村(現在の岐南町)の人が尾張で栽培されていたネギの種子を譲り受け「徳田ねぎ採種圃」を作り、そこで収穫した種子を近隣の農家に無料で配布し、付近一帯に普及したのが「徳田ねぎ」の始まりとされている。

【時期】11月下旬~翌年3月

西方いも(にしがたいも)

【生産地】中津川市 (旧:加子母村)

【特徴】粘質で貯蔵性に優れている。

【食味】肉質はモチモチとした粘りがあり、キメが細やか。貯蔵性に優れている。

【料理】煮物、味噌焼き、さといもでんがく。親芋は郷土料理「いももち」や、焼酎の原料として使われる。

【来歴】中津川市小郷地区は、昔、「東方」と「西方」に分かれており、80年ほど前に西方へ嫁いだ女性が、その家で代々作られていた里芋を作り続け、これが現在も受け継がれている。2011年(平成23年) – 「岐阜伝統食文化グランプリ」優秀賞受賞。

【時期】10月~12月

飛騨一本太ねぎ(ひだいっぽんねぎ)

【生産地】高山市(旧:高山市・丹生川村)、飛騨市(旧:古川町)

【特徴】古くからから飛騨地方で栽培されてきた「赤保木葱」の改良品種。太さや甘みの強さが特徴。白根、葉ともに柔らかい。

【食味】甘みが強く、白根は肉質が締まり、葉ともにひときわやわらかくトロッとしている

【料理】すき焼き、鍋物、一本焼き、酢味噌、朴葉味噌焼き(郷土料理)

【来歴】古くは夏ネギとして北陸路を経て飛騨に土着したといわれ、原産地は旧上枝村(現在の高山市)とされている。江戸時代からの風習として「一年の労をネギらう」という意味や、ほかでは売っていない珍しさなどもあって、嫁いだ娘やよその土地へ行っている者に送る風習がある。2002年に「飛騨・美濃伝統野菜」に認定された。

【時期】11月~12月

飛騨紅かぶ(ひだべにかぶ)

【生産地】高山市(旧:高山市・丹生川村・国府町・上宝村)、飛騨市(旧:古川町)

【特徴】横径は12~14㎝ほど、縦径は7㎝程度、重さは300~400g 皮紅色、中は白色、肉質はきめ細かくやわらか、特有の甘みがある。葉は50㎝で食べられる。

【食味】苦味や辛味がなく、しっとりシャキシャキ

【料理】漬物用

【来歴】飛騨紅かぶは江戸時代から地元で作られていた「八賀かぶ」の突然変異とされる。八賀かぶは赤紫色だが、大正7年にその中から真紅のかぶが見つかり、それを選抜して質のよい飛騨紅かぶができた。

【時期】10月~12月上旬

まくわうり(まくわうり)

【生産地】本巣市(旧:真正町)

【特徴】円柱形、黄色の果皮に緑のすじが10本、香メロンのような甘い香り

【食味】あっさりした甘みや、シャキシャキの食感

【料理】デザート、アイス、ようかん

【来歴】2世紀頃から美濃国(岐阜県南部)真桑村(のちの真正町、現:本巣市)が良品の産地であった。マクワウリの名前は名産地の真桑村に由来。

【時期】7月下旬~8月上旬

守口だいこん(もりぐちだいこん)

【生産地】岐阜市、各務原市(旧:川島町)

【特徴】細長い、直径2~3センチ長さ1メートル20~30センチが平均、水はけの良い、適度に砂の混じった柔らかい土質の畑で栽培することが条件。

【食味】粕漬けにすると非常に歯切れがよい.

【料理】漬物用

【来歴】美濃国の長良川沿いの地域(現岐阜県岐阜市)でも、江戸時代からすでに「ホソリ大根」や「美濃干大根」などといわれる細長い大根が栽培されており、切干し大根などに利用されていた。この長大根はやがて守口漬に使用されるようになり、守口大根という名称に変わっていき、戦後には愛知県にも導入された。生産者と漬物業者との契約によって栽培量が決められているため、一般の商店に生の守口大根が並ぶことはない。

【時期】12月~1月

鷲見かぶら(わしみかぶら)

【生産地】郡上市鷲見地区 (旧:高鷲村)

【特徴】飛騨紅かぶとは異なり、皮は紫に近い色合いで、下部ほど色が薄くなり、下部3分の2ほどは白い色をしているのが特徴。

【食味】肉質が柔らかく、主に漬け物に利用する。漬物にしても柔らかさを保つ。

【料理】漬物用。塩の量を加減して正月用・冬用・春用・夏用など、いく段階かに漬け分ける。

【来歴】旧・高鷲村は、昔から奥飛騨の白川村や荘川などの高山文化圏と交流があり、そちらから伝わったかぶがこの土地に定着したとされる。

【時期】10月~11月

堂上蜂屋柿(どうじょうはちやがき)

【生産地】美濃加茂市

【特徴】あめ色の実に粉をふいた美しい姿が特徴。瑞々しい果肉の深い味わいから干し柿の王様と呼ばれる。職人技と気候(高い晴天率と吹き下ろす乾風)により高い糖度65度と滑らかさを保っている。

【食味】とろりとした果肉からあふれ出る、極上の甘み(糖度65度)と濃厚な風味。半生菓子のようななめらかさ

【料理】デザート等

【来歴】文治年間(1185-1189)にこの地域の郷士が鎌倉将軍に乾柿を献上したところ「蜂蜜のように甘かった」ことから、柿の名と村名を「蜂屋」と賜った。長い歴史の中で朝廷や幕府など時の為政者に献上され、賞味された絶品であることから、「堂上」蜂屋柿と呼ばれている。平成29年には地理的表示(GI)法に基づき登録された。

【時期】11月

弘法いも(こうぼういも)

【生産地】本巣市 (旧:根尾村)

【特徴】外形は円筒形。20g~30gの重さで小ぶり。

【食味】肉質は固く粘り気のある食感、独特の甘みがある。小型のいもだがその分旨味が詰まっている。

【料理】荏胡麻と味噌の和え物、煮物、串焼き、蒸しいも、フライドポテト、コロッケ

【来歴】山深い村の食料不足解消のために山畑を切り拓き、いも作りが行われるようになったとされる。弘法大師(空海)がこの地を訪れた際に、手ずから植えたという言い伝えから、弘法いもと呼ばれるようになった。

【時期】7月

瀬戸の筍(せとのたけのこ)

【生産地】中津川市

【特徴】太くて柔らかく、甘味がある。アクが少ないのが特徴。

【食味】アクが少なく、柔らかく、風味が強い

【料理】タケノコご飯、炊き合わせ、ネギ味噌和え、煮付け、味噌汁など。

【来歴】約270年前(江戸時代)、苗木藩主の遠山家に、九州の島津家から姫が嫁ぎ、持参した孟宗竹を、木曽川沿いの高台に栽植したのが始まりとされる。同地は、タケノコの成長に必要な自然環境に恵まれており、良好な日当たりや御嶽山(おんたけさん)の火山灰土壌、木曽川の豊富な水、この土地特有の1m先が見えないほどの靄、1日の寒暖差など、これらの自然環境が作る「瀬戸の筍」は「幻の筍」とも呼ばれ、最高品質と評価されている。

【時期】4月~5月上旬

種蔵紅かぶ(たねくらべにかぶ)

【生産地】飛騨市 (旧:宮川村)

【特徴】形状は円錐形。鮮やかな赤紫色で、葉軸が赤いのが特徴。

【食味】コリコリとした食感適度な歯ごたえ

【料理】漬物用。地元では葉付きのまま漬け込む「長漬け」にする。

【来歴】80年ほど前から宮川村種蔵地区で栽培されている。古くから自家採種により栽培が続けられる中で、良質なものを選抜し、現在の品種となった。地名が「種蔵紅かぶ」という名前の由来となっている。

【時期】11月

半原かぼちゃ(はんばらかぼちゃ)

【生産地】瑞浪市

【特徴】ゴツゴツし皮は白く、果肉はオレンジ色。スイカのような香り。1㎏前後の小型のかぼちゃ。

【食味】肉質は粘りがあり、きめが細かく、繊維感が少ない。甘みは少なめ。

【料理】お供え物、お菓子、デザート プリン、アイス(恵那の川上屋が期間限定でプリン販売)

【来歴】昭和10年頃、半原の若い農業者が、福島県の在来品種である「会津早生かぼちゃ」を導入して栽培を始めたとされる。自家採種を繰り返し地域独特なかぼちゃになった。瑞浪市日吉町半原地区で栽培されており、地名が名称の由来。

【時期】7月中旬~9月下旬

伊自良大実柿(いじらおおみがき)

【生産地】山県市(旧:伊自良村)

【特徴】主に山県市で栽培されている渋柿。小玉で着果数が多く、干し柿に適している。渋柿の皮をむき竹串に3つ挿したあと藁(わら)で10段編むという独特の製法で干し柿にする。加工されたものは「連柿」と呼ばれる。

【食味】糖度が66度ある。芳醇で強い甘味。

【料理】お菓子、贈答品や縁起物。

【来歴】現在、滋賀県のある近江(おうみ)地方の柿を持ち込み栽培。大正末期から昭和初期に栽培が本格化した。名前の由来は、栽培地区の「伊自良(いじら)に、「近江」の響きと大きく実ってほしいという願いを込め、「伊自良大実柿(いじらおおみがき)」と呼ばれるようになった。干し柿作りは生産者の方々が親子代々継承している伝統文化で、今も柿を並べ連ねたものをすだれのように吊り下げ干す姿は季節の風物詩として親しまれている。

【時期】11月上旬

紅うど(べにうど)

【生産地】恵那市

【特徴】鮮明な赤色の茎が特徴。

【食味】香り高く柔らかい。アクが少ない。

【料理】天ぷら、酢味噌漬けやごま和え、煮物、炒め物

【来歴】明治の後期頃にはすでに各農家の田畑の片隅に家庭用として栽培。

【時期】4月~5月上旬

藤九郎ぎんなん(とうくろうぎんなん)

【生産地】羽島市、瑞穂市(旧:穂積町)

【特徴】銀杏の中でも最も大粒(一般的な銀杏の約2倍の重さ)な品種。殻の厚さが薄く表面は滑らかで光沢がある。揃いが良好で、貯蔵性もよい。

【食味】もっちりとした味わいで食べ応えがある。ほろ苦く食味が良い。

【料理】煎り、茶碗蒸し

【来歴】原木は、瑞穂市の井上藤九郎宅に、樹齢300年生くらいのものがあったが、大正3年の台風により、倒木、枯死したといわれている。 江戸時代に伊吹おろし(伊吹山から吹きおろす風)から神社や屋敷を守るために接木されて広まったとされる。粒の大きさや食味から優れたぎんなんとして評価が高い。

【時期】10月

南飛騨富士柿(みなみひだふじがき)

【生産地】下呂市(萩原町)

【特徴】果実は四角ばり、1果300~350gになる。果皮には小黒点ができる。

【食味】肉厚で柔らかい。

【料理】干し柿、甘味料やお菓子

【来歴】形が富士山に似ていることから富士柿と名づけられた。昭和5年頃から本格的に普及し始め、昭和20年代には、大阪市場へ出荷されるようになった。

【時期】10月下旬~11月上旬

高原山椒(たかはらさんしょう)

【生産地】高山市(旧:上宝村)

【特徴】形状は一般的な山椒と比べ実が小ぶり。深い緑色。柑橘系の香りが特徴。長期保存が可能。

【食味】フルーティーな香りと痺れ。香り・辛み・痺れの条件が揃った最高級品として評価されている。

【料理】山椒粉、山椒味噌、山椒醤油、山椒七味、佃煮など。肉料理やドレッシングや菓子にも合う。チーズやチョコレートとの相性も良い。

【来歴】江戸時代、天領だった飛騨郡代が徳川将軍に献上した記録が残っており、昔から地域の特産品として知られていた。安永年間(1780年頃)に著された書物の中で、飛騨の特産物として紹介されている。関東のうなぎ屋からも根強い人気がある。ヨーロッパの三ツ星レストラン等の一流店でも人気が高く、シェフやパティシエに好まれている。

【時期】7月下旬~8月中旬

島ごぼう(しまごぼう)

【生産地】岐阜市島地区

【特徴】芳香が高く、根長は60cmほどで、比較的短く、側根が多いのが特徴

【食味】シャキシャキとした食感と、芳香が高い

【料理】地元では「ごぼうめし」(混ぜ込みご飯)などで食す。

【来歴】大正時代に「二才」という名前で栽培されていたが、昭和初期に始まった市場出荷を契機に「島ごぼう」となった。

【時期】4月~6月上旬

久野川かぶら(くのがわかぶら)

【生産地】下呂市(旧:下呂町)

【特徴】根の表面および芯部、葉や茎まで赤いのが特徴

【食味】かための食感

【料理】漬物、なます。漬物にすると紅色が濃く鮮やかに発色することから、昔から漬物用のかぶとして利用されている。

【来歴】下呂市久野川地区で漬物用として古くから栽培されている赤かぶ。昭和20年頃地区の地名をとって名前がつけられた。

【時期】11月上旬

春日きゅうり(かすがきゅうり)

【生産地】揖斐川町(旧:春日村、旧:久瀬村)

【特徴】果形は太く短い。若い果実は緑色をしているが、成熟するにつれて黄色からオレンジ色になったものも食す。

【食味】果肉が厚く、青臭さが少ないやさしい味わい。

【料理】 若く青い果実は、薄くスライスして酢の物や漬物、サラダなど。成熟して黄色くなった果実は、煮物や炒め物など加熱調理で食すと驚くほど柔らかい。

【来歴】

【時期】8~10月

春日きゅうりー岐阜の極み

春日豆(かすがまめ)

【生産地】 揖斐川町(旧:春日村、旧:久瀬村)

【特徴】豆は赤いまだらと白色の2系統ある。自家採種した豆を6月頃に播いて10~11月に未熟なさやや成熟した豆を収穫する。

【食味】筋がなく鞘ごと食べられる。

【料理】塩ゆで、味噌和えやおひたし、天ぷら、煮物など

【来歴】揖斐川町春日地域を中心に、古くから栽培されているつる性の豆で、かつては茶畑で茶の木に這わせて栽培されていた。他の地域ではうまく育たないと言われている。主に自家用に栽培されているが、一部は農産物直売所などで販売購入することが可能。

【時期】10~11月

こんぶり(こんぶり)

【生産地】揖斐川町(旧:春日村)

【特徴】アサツキの球根のことを「こんぶり」と呼ぶ。

【食味】シャキシャキとした食感や独特の辛さがある。

【料理】加熱すると辛みがマイルドになるうえ、甘みが出る。天ぷら、炒め物、焼き物、煮物などバリエーション豊富に調理できる。

【来歴】雪や鳥獣害に強く、古くから揖斐川町の春日地域を中心に定着してきた。揖斐川町の春日地域を中心に古くから自家消費用に栽培されているアサツキの球根。

【時期】5月~6月

春日はるな(かすがはるな)

【生産地】揖斐川町(旧:春日村、旧:久瀬村)

【特徴】

【食味】

【料理】雪解け後に収穫し、漬物や煮物の菜として利用。

【来歴】雪の下でも枯れないため、雪の多い当地で定着した。

【時期】4月~5月

国府なす(こくふなす)

【生産地】高山市(旧:国府町)

【特徴】外皮は薄く薄紫色で、果肉は柔らかい。

【食味】熱を加えると柔らかくなり、トロけるような食感になる。

【料理】焼きなす用品種として生産されており、味噌を塗って食す。焼きなす、麻婆なすなど加熱した料理に合う。

【来歴】国府地域で100年以上前から自家採種で受け継がれてきたものと言われている。現在は「国府なす研究会」の会員6名を中心に栽培されている。

【時期】7月~10月

高山市プレスリリース「国府なす」

 

【参考資料】
岐阜県「飛騨・美濃伝統野菜」

岐阜県農政部農産物流通課「岐阜の極み」

郡上ケーブルテレビー鷲見かぶら

2024年3月30日更新

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