お赤飯や小豆粥に使うアズキはどこから来たのか?

今日は小正月ですね。皆さんは「小豆粥(あずきがゆ)」を食べましたか?
という書き出しを書いて、以前の記事にも小豆粥の歴史を書いたことを思い出しました。

そこで、今回は「小豆(あずき)」の行事食ではなく、起源について書きたいと思います。

アズキは日本起源の作物だった!

太古から日本に自生していた作物は自然薯、ウド、フキや山菜類など20品種ぐらいだったとされ、現在、私たちの食卓を彩る野菜は、そのほとんどが海外を原産地とするものです。

小豆は古い作物で、紀元前1世紀頃の中国最古の農業書である「氾勝之書(はんしょうししょ)」には、すでに栽培方法が記載されています。日本の書物では、「古事記(こじき)」や「日本書紀(にほんしょき)」に小豆が五穀として登場しています。また、縄文遺跡からも発見されているので、古い作物であることは間違いないのですが、その伝来経路については、詳しくはわからず、起源は中国で、日本には渡来したものであると信じられてきました。

サヤの中に並んでいるアズキ

サヤの中に並んでいるアズキ 写真AC 作者: candymさん

ところが、近年になり、少しずつ小豆の起源の解明が進んできました。農業生物資源シーンバンクの「日本のアズキ (栽培種と野生種)・コアコレクション」には、「アズキは、中国や韓国の遺跡よりも古い日本の縄文遺跡からの出土があり、日本起源の可能性が高い数少ない作物です。」記されています。また、DNAを調べた近年の研究では、「中国のあずきとは遺伝的に別系統で進化したようだ」と報告されています。

そして、ついに、ゲノム解析によって「小豆」が日本起源の作物であることが明らかになったのです。なんと、小豆は、縄文時代の日本列島で作物に変化して、アジアの大陸地域へ広まった日本起源の作物だったのです。

詳しい内容については、「日経サイエンス」2024年2月特大号に特集されていますので、そちらをご参考ください。

アズキの起源を思いながら小豆粥を食す

ということで、小正月にちなんで「小豆(あずき)」の起源をみてきました。

現在、栽培種の小豆の生産地は、北海道がトップで、収穫量の8割以上を占めています。 しかし、北海道以外でも広く全国的に行われており、東北地方の岩手県、青森県、福島県、秋田県、近畿・中国地方の京都府、兵庫県、岡山県等が上位に位置しています。

北海道十勝の小豆畑     写真AC 作者: フジノ ヒロさん

その中でも、日本三大小豆と言われるのが、北海道・丹波・備中が有名です。特に丹波大納言小豆は、一般的な小豆に比べて粒が大きく、風味が豊かで、皮が薄くて口当たりが良いのが特徴です。

そんな有名どころの小豆に隠れてしまっていますが、超美味な在来種の小豆があります。

それは長野県北安曇郡池田町陸郷(りくごう)地区で生産されている「桜仙峡(おうせんきょう)あずき」
北アルプス山麓ブランドの認定品にもなっています。大量生産が難しい在来種ですので、一般での購入は難しい場合もありますが、貴重な品種なので、機会があれば、ぜひ、食べて応援したいものです。

あずき粥   写真AC 作者: プラス・ビーさん

【参考資料】

農業生物資源シーンバンク
日本豆類協会
日経サイエンス2024年2月特大号
農研機構「アズキのゲノムをほぼ完全に解読」
北アルプス山麓ブランド「桜仙峡(おうせんきょう)あずき」

山桜が美しい里で明治以来100年以上栽培を続ける在来種の小豆―長野県北安曇野郡池田町の「桜仙峡あずき」

山桜が美しい里で明治以来100年以上栽培を続ける在来種の小豆―長野県北安曇野郡池田町の「桜仙峡あずき」

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