日本の伝統野菜-37.香川県
目次
1.地域の特性
【地理】
香川県は日本の主要四島の一つである四国の東北部に位置しています。総面積は、日本で一番小さく1,876.92km2で全国47位です。香川県に隣接しているのは3県で、北は岡山県、南は徳島県、西は愛媛県に隣接しています。東は瀬戸内海に面しています。岡山県とは海を隔てているように見えますが、瀬戸内海の「石島・井島(いしま)」「大槌島(おおづちじま)」に香川県と岡山県の県境があります。また、瀬戸大橋で岡山県と結ばれています。
香川県は山地と平地がほぼ半々で、森林面積は869.8㎢で県土の約46.3%を占めていますが、大阪府、東京都に次いで少ない面積です。可住面積は1005.5㎢で県土の約53%を占め、全国44位。人口は956,787人(2023年1月1日時点推計人口)で全国39位です。
県域の東西の距離は約92.1㎞、南北は61.3㎞で、全体的な地形は東西に長い半月形をしています。
香川県は、他県に比べ山地の割合が少なく、標高も低い山がほとんどです。県南部の徳島県との境には、讃岐山脈(さぬきさんみゃく)(阿讃山地(あさんさんち)ともいう)が連なっていますが、最高峰は、阿波竜王(あわりゅうおう)と呼ばれる竜王山(りゅうおうざん)の1,050mで、次いで、最大川山(だいせんざん)の1,043mです。
また、県内には、「おむすび山」と呼ばれる円錐形の柔らかな山容の山が点在しており、郷土富士として「讃岐七富士(さぬきななふじ)」とされています。その代表は、丸亀市・坂出市の境界にある讃岐富士(さぬきふじ)とも言われる標高422mの飯野山(いいのやま)です。他に、三木町にある三木富士(みきふじ)と言われる標高202mの白山(しらやま)。高松市檀紙町から国分寺町にある御厩富士(みまやふじ)は、標高317mの六ツ目山/娘山(むつめやま)。丸亀市と綾川町の境界にある羽床富士(はゆかふじ)は標高201mの堤山(つつまやま)。綾川町にある綾上富士(あやかみふじ)は標高512mの高鉢山(たかはちやま)または鉢伏山(はちぶせやま)。三豊市にある高瀬富士(たかせふじ)は標高約214mの爺神山(とかみやま)ですが、採石で元々の山頂はなく、高瀬駅から見える南東部分の多くが削られています。観音寺市の有明富士(ありあけふじ)は、標高153.08mの江甫草山/江甫山/九十九山、(つくもやま)ですが、有明浜からみえる南側の斜面が砕石のため削られています。ご当地富士は全国各地にありますが、香川の郷土富士はキレイな円錐形で山容が可愛らく数も多いことが独特です。
讃岐山脈を背にした北部には、讃岐半島の大部分を占める四国最大の平野である讃岐平野が広がっています。平野は、北に向かって緩やかに傾斜し、所々に小さな山や丘が見られます。
河川は、ほとんどが讃岐山脈に源を発し、山間部では急勾配(こうばい)で流路延長も短く、流れは短時間に流下します。平野部で急変して、扇状地を形成し、天井川となって瀬戸内海に流れ込んでいます。最長は二級河川の綾川(あやがわ)で全長38㎞余あります。しかし、中国山地と四国山地に挟まれた瀬戸内地方は雨量が少ないため、降雨がない時にはほとんど流れが見られません。また、吉野川(よしのがわ)などの大河川は他県に流れ込むことから、昔から水不足に悩まされており、農業用水を確保するためのため池が多くみられます。満濃池(まんのういけ)は、9世紀に空海らが修築した日本最大のかんがい用ため池です。
香川県は、律令国の頃は、讃岐国(さぬきのくに)とされてきました。その名残もあり、大きく、県東部の旧:高松藩にあたる東讃(とうさん)と、県西部の旧:丸亀藩にあたる地域の西讃(せいさん)の2つに分けられることがあります。
気象庁の区分では、小豆(しょうど)、東讃(とうさん)、高松(たかまつ)地域、中讃(ちゅうさん)、西讃(せいさん)の5つに分けられています。
小豆:土庄町(とのしょうちょう)、小豆島町(しょうどしまちょう)
東讃:東かがわ市、さぬき市、三木町(みきちょう)
高松:高松市(たかまつし)、直島町(なおしまちょう)
この3地域が概ね東讃地域に該当します。
中讃:丸亀市(まるがめし)、坂出市(さかいでちょう)、善通寺市(ぜんつうじし)、綾川町(あやがわちょう)、宇多津町(うたづちょう)、琴平町(ことひらちょう)、多度津町(たどつちょう)、まんのう町
西讃:三豊市(みとよし)、観音寺市(かんおんじし)
この2つの地域が概ね西讃地域に該当します。
【気候】
香川県の気候は瀬戸内式気候に属しています。気温は温暖で、高松市での年間平均気温の平年値は16.7℃です。年間日照時間の平年値は2,047時間と、札幌市、東京、那覇市などと比べ約120~330時間長く、晴れの日が非常に多いことが特徴です。
香川県の降水量は、瀬戸内式気候の中でも少なく、特に夏季においては他県に比べて一段と降水量が少なくなっており、毎年のように水不足に悩まされています。年間平均降水量は、高松で1,150㎜(平成3年~令和2年の年間平均降水量)、降水時期は梅雨期と台風期に集中しています。水不足になる大きな原因としては、大河川は他県に流れ込むことや、瀬戸内海式気候で雨が少ない上に、雨が降っても県内の川の延長は短く急勾配のため、すぐに海に流れ込むという地理的条件があげられます。そのため、県内には昔から、農業用水を確保するための溜め池(ためいけ)が数多く造られてきました。
【農業の特徴】
香川県の農業の特徴は、年間日照時間の長さと、瀬戸内の温暖な気候風土を活かした多種多様な農産物を栽培している点です。また、京阪神市場に近い地理的条件を活かし、米と野菜・畜産などを組み合わせた複合的な経営や、施設園芸などの集約的な農業経営を行っています。農業産出額をみると総額7 5 0億円のうち米は2割、野菜は3割を占めます。
生産量の多い農産物は、オリーブが全国一の産地となっています。大蒜(にんにく)全国第2位、はだか麦は全国第2位、 枇杷(びわ)全国第3位、ブロッコリー全国第4位、レタス全国第6位、たまねぎ全国第9位、桃(もも)全国第9位を誇っています。
その他、小麦の栽培では、さぬきうどん用小麦として県が育成した「さぬきの夢2009」などが栽培されており、うどん以外に素麺、菓子な多様な食品に利用されています。また、1970(昭和45)年に導入されたアスパラガスの栽培では、県オリジナル品種「さぬきのめざめ」などにより産地活性化を図っています。
果樹では柑橘(かんきつ)類の栽培が盛んです。香川県におけるみかん栽培は、明治時代に香川県西部の海沿いに位置する仁尾町(におちょう)地区から始まりました。現在では海岸線を中心に栽培が盛んに行われています。香川県の気候は日照時間が長く、雨が少なく、冬でも温暖であるためみかんの栽培に適しており、味のよい、高品質なみかんが栽培されています。温州みかんの県オリジナル品種で果皮が紅色の「小原紅早生(おばらべにわせ)」や「袋がけみかん」などによりブランド化を進めています。
課題は、高齢化や人口減少によって集落機能が低下しており、多面的機能の維持が困難になっていることです。その一方、地域全体で農地や水路等を管理する共同活動の取組みが活発化しています。
2.香川の伝統野菜
香川県には、伝統野菜としての明確な基準はありませんが、農林水産省中国四国農政局高松地域センターのホームページ内で、伝統野菜として6品種の名前をあげて紹介しています。ここでは、その6品種と地域性豊かな3品種および伝統果樹2品種の計11品種を紹介します。
香川本鷹(かがわほんたか)
【生産地】丸亀市手島町(まるがめしてじまちょう)
【特徴】島とうがらし。色は濃赤色。皮は厚め。一般的な「鷹の爪(たかのつめ)」と比べて約2~3倍もの7~8㎝の大きさで、中には10㎝を超えるものもある。
【食味】旨みのある強い辛味が特徴。一般的な唐辛子と比べ、辛さは4倍、旨味は3倍あると言われる。
【料理】調味料、ラー油など多用途に使える。
【来歴】唐辛子が日本に渡った経緯については、いくつか説がある。一つは、16世紀末に豊臣秀吉が征韓の役を起こした際に、加藤清正が持ち帰ったという説。一つには、16世紀半ばに種子島に漂着し、鉄砲を伝えたポルトガル船によってもたらされたという説。さらに、17世紀初めに煙草(たばこ)とともにポルトガルから伝わったなどの説である。いずれも400年以上も前のことで、この間、唐辛子は日本の各地に広がっていった。
香川本鷹は、岡山県と香川県に挟まれた海域にある塩飽諸島(しわくしょとう)の水軍が豊臣秀吉の時代に朝鮮出兵の功として頂戴したと言い伝えられている。以来、栽培され続け、昭和初期には海外にも輸出されるほどで1955(昭和30)年頃までは、塩飽諸島や庄内半島(しょうないはんとう)で栽培されていた。しかし、その後、輸入の唐辛子におされ、徐々に生産量が少なくなり、ほぼ絶滅したとされる。
しかし、2006(平成18)年に香川本鷹の種が保存されていることがわかり、手島の生産者や県などが香川本鷹復活プロジェクトを立ち上げ復活させた。試行錯誤の上、手島の特産品として販売されるようになった。全国各地で固定種となった唐辛子は数あるが、香川本鷹は国内の伝統品種のなかでは一番辛いとされている。
【時期】8月~9月
金時にんじん(ほんべにきんときにんじん)
【生産地】坂出市、観音寺市
【特徴】東洋種のにんじん。細長い形状で色がとても赤い。香りが良い。
【食味】西洋にんじんに比べ、甘く、柔らかい。深みのあるにんじんの味わい。
【料理】生食には向いていない。煮崩れしにくく、加熱すると甘みが増す。煮物、きんぴら、豚汁、香川の伝統料理のあん雑煮、色味が赤いことから珍重され、関西のおせち料理や京料理にも使われる。
【来歴】江戸時代1603年-1867年)に中国から伝わり、京にんじんとして栽培されていた。 西日本各地にも広がり、香川県には1877(明治10)年に伝わり栽培されてきた。1900年代に入ると砂地性の土壌を利用して坂出市や観音寺市など香川県の沿岸地域で栽培が盛んになった。坂出市での金時にんじんの栽培は,1933(昭和8)年頃から始まった。お正月のおせち料理の素材としての需要が高く,主に京阪神市場と京浜市場に出荷されており、近年では香川県が全国シェアの70%を占めている。
【時期】11月~3月
金時芋(きんときいも)
【生産地】坂出市、観音寺市
【特徴】表皮は薄く紅色が濃い。
【食味】非常に甘みが強く、食感はホクホク。
【料理】ふかし芋、天ぷら、きんぴら、味噌汁、カレーなど
【来歴】1945年に品種登録された歴史の古い「高系(こうけい)14号」が品種名。「高系14号」は、戦後間もなく高知県と鹿児島県の甘藷(かんしょ)を掛け合わせて誕生した品種で、名称は高知の系統であることから「高系」とつけられた。
坂出市は瀬戸内海に面しており、温暖な気候で降水量が少ない瀬戸内の気象条件と、海砂を客土(きゃくど)した水はけの良い塩田跡地の砂地を利用して栽培されており、塩田のミネラル豊富な甘藷に育つ。
「高系14号」は、各県で派生のオリジナルブランドが開発されており、石川県の「五郎島金時(ごろうじまきんとき)」、徳島県の「なると金時(なるときんとき)」、宮崎県の「宮崎紅(みやざきべに)」、鹿児島県の「紅さつま(べにさつま)」などがある。
【時期】
讃岐白瓜(さぬきしろうり)
【生産地】高松市川添地区
【特徴】果皮は淡緑色で、ツヤがある。完熟すると果皮は真っ白になる。形状は太さがあり直径3~7㎝の円筒形。長さは23㎝ほど。
【食味】
【料理】浅漬けに最適。酢もの、和え物、スープなど
【来歴】白瓜の原産地は、インドや中国南部とされる。日本には、奈良時代に伝来しており、平安時代の『延喜式(えんぎしき)』や『和名抄(わみょうしょう)』という古い書物に記述が残っている。その頃から奈良では漬物にしており、「奈良漬」の主要野菜とされる。江戸時代から明治時代にかけて全国的に栽培面積が広がった。香川でも明治時代から栽培が盛んになり、漬物品種として京阪神に出荷されていた。香川県の讃岐白瓜は、長野県の沼目白瓜(ぬまめしろうり)、鹿児島県の隼人瓜(はやとうり)と並んで、その土地の伝統野菜として名産品であるが、現在の栽培面積はごく僅かである。
【時期】7月中旬~9月中旬
讃岐長莢そら豆(さぬきながさやそらまめ)
【生産地】香川町大野地区
【特徴】莢の長さは20センチ前後で、中に4~6粒の豆が入る。 豆は小粒だが表皮ごと食べても味が良い。莢(さや)が天空を向いてなるので空豆(そらまめ)という名がついた。
【食味】甘味と風味がありとても美味。軟らかいうちに収穫した物は、湯がけば色も鮮やか。
【料理】茹でて食べる、煮豆、香川県独特の郷土料理として「しょうゆ豆」と「春魚(はるいお)」がある。
【来歴】高松市香川町大野地区は香東川流域の扇状地にできた平野部に当たり、土壌は、水はけがよくミネラル豊富で、古くから豆の産地として知られてきた。そこで栽培された讃岐長莢そら豆を使用し、明治時代から生産されてきた「未成熟そらまめ」及び「乾燥そらまめ」は、「大野豆(おおのまめ)」の名で知られる人気の香川のブランド野菜であった。戦前は稲作の裏作として県内約1,800haにも及ぶ空豆作付面積の中で、大野地区では「大野豆」栽培が主流だったという。しかし、1955(昭和30)年頃から栽培は激減した。
2013(平成25)年に「大野豆復活プロジェクト」が立ち上がり、地区内に1軒だけ、94歳の生産者が守ってきた種があったことから栽培を再開した。現在、種は固定種を種苗会社から購入できるが、採種場所が国内と海外がある。大野地区のものは地元で継承してきた種を自家採取している。
【時期】4月~6月
公益財団法人かがわ産業支援財団
食べ物 NEWS(No.216)
登録申請の公示
菜花(なばな)
【生産地】さぬき市、三木町、高松市、坂出市、緑川町、琴平町、まんのう町、土庄町、小豆島町
【特徴】花がよくまとまり、太茎で黄葉の優良種。早くから花が咲き、切り花にも向く。葉は縮緬(ちりめん)状で花茎は短く、花芽を食用とする。
【食味】独特のほろ苦さがある。
【料理】「菜花漬け」などの漬け物、お浸しなど
【来歴】菜花は、アブラナ科の植物の中で、蕾、茎、葉を食用にするものをいい、主に花を食用とするものと、葉茎を食用とするものに分かれる。香川県では広い地域で菜花の栽培が行われており、主に花を食用とする菜花は全国3位の生産量である。栽培品種は、大きく分類すると洋種ナタネに属する在来種「春一番(はるいちばん)」と、和種ナタネに属する「伏見寒咲系花菜(ふしみかんざきけいはなな)」の2種類がある。
菜花/花菜といわれる菜種類は古くに中国大陸から導入されたと推定され、初めは主に菜食用であったが、後に搾油に利用されるようになった。やがて、明治になって、韓国、欧州から洋種なたねが導入され、昭和にはほとんど洋種が用いられるようになった。香川では昔から搾油(さくゆ)用に菜花を栽培しており、食用の菜花は1985(昭和60)年頃から始まった。香川県のオリジナル品種の菜花「瀬戸の春」は、「春一番」と「伏見寒咲系菜花」の交配を行い、選抜を重ね、固定化を図った品種で、苦味が適度に抑えられた食べやすさが特徴である。
【時期】2月~3月
JA香川県
農研機構『ナバナの新品種「瀬戸の春」』
葉ごぼう(はごぼう)
【生産地】高松市、さぬき市
【特徴】短い根に長い茎と大きな葉がついており、成長すると1m近くの大きさに育つキク科の2年草。葉はとても柔らかく、しなやかで細かい葉脈が隅々まで広がり、ヒダが大きい。
【食味】根と茎、少し苦みのある葉も食べることができる。独特の爽やかな香りと特有のシャキシャキとした歯触りが特徴。香川県産は根も茎も繊維質が柔らかい。
【料理】天ぷら、煮物、胡麻和え、茎を短冊切りにして油揚げやシイタケと一緒に炒めたものなど
【来歴】中国から渡来し、平安時代には薬用として利用されていたとされる。香川県では古くから、「春を呼ぶ野菜」として、親しまれてきた「ふるさと野菜」である。ほかの伝統野菜とともに「讃岐野菜(さぬきやさい)」としてブランド化する動きもある。
【時期】1月~4月
まんば(まんば)
【生産地】香川県全域
【特徴】高菜(たかな)の一種で葉の大きい漬け菜。
【食味】独特のアクが特徴。野菜の少ない冬に深緑や暗紫色の大きな葉を伸ばすが、寒くなり霜を何度も被ることで柔らかくなり甘みが増す。
【料理】万葉と豆腐を炒め煮にした香川の郷土料理「まんばのけんちゃん/百花の雪花(ひゃっかのおせっか)」、漬け菜など
【来歴】起源は江戸時代に栽培されていた「讃岐高菜(さぬきたかな)」。現在は福岡の「三池高菜(みいけたかな)」が多く栽培されている。三池高菜は、旧:柳川藩主・立花公によって明治後期に中国から導入された「四川青菜」に 在来種の「紫高菜」を掛け合わせた固定種で、紫色の入った大きな葉と厚い葉脈が特徴。
一株で焼く80枚の大きな葉ができ、外側から採っても次々に芽吹くことから「万葉(まんば)」、「千葉(せんば)」、「百貫(ひゃっかん)」の呼び名がある。東讃地区(とうさんちく:東かがわ市、さぬき市、木田郡など)では、主に「万葉(まんば)」、西讃地区(せいさんちく:三豊・観音寺市など)では「百花・百華(ひゃっか)」と呼ばれる。
【時期】9月下旬~4月頃
三豊なす(みとよなす)
【生産地】三豊市、観音寺市(旧:三豊郡)
【特徴】晩生の大果品種(千両ナスの3倍)。花が咲いてから収穫まで25日程かかる。丸型と巾着型の形状がある。
【食味】表皮は薄く柔らかい。肉質は緻密で、みずみずしく旨味と甘味がある。
【料理】皮が薄いため、煮崩れしやすいが、皮むきなしでも味が染み込みやすい。塩もみ、焼きなす、塩漬け、田楽、煮びたし、炒め物など
【来歴】昭和初期(1926~)当時、日本の植民地支配下にあった朝鮮半島に出向いていた旧:三豊郡の農家が日本に持ち帰ったのが始まりとされる。収量が少ない上、輸送中に傷つきやすく、店舗での日持ちも悪いため経済栽培に向いていないが、地元では根強い人気がある。地元の流通に加え家庭菜園でも栽培される地産地消の王道を行く野菜である。「三豊の水ナス」ともいう。
【時期】7月~9月
3.香川の伝統果樹
小原紅早生(おばらべにわせ)
【生産地】高松市、坂出市、観音寺市、三豊市
【特徴】国内で栽培するミカン約100種の中で果皮の色が最も紅いと言われる品種。
【食味】皮や果肉の色が赤く,糖度が高いのが特徴。
【料理】生食など
【来歴】1973(昭和48)年、坂出市のみかん農家・小原幸晴(おばらゆきはる)氏の蜜柑園(みかんえん)で栽培されていた「宮川早生(みやがわわせ)」という品種の中でから「枝変わり(えだがわり)」という突然変異(とつぜんへんい)をした果皮が濃い紅色をした蜜柑が発見された。香川県農業試験場府中果樹研究所などで調査された突然変異の蜜柑は「小原紅早生」と命名され、1993(平成5)年10月に香川県のオリジナル品種として品種登録された。また2017(平成29)年には地理的表示(GI)に登録している。坂出市では別名「金時(きんとき)みかん」と呼ばれ、贈答用としての人気が高い。
【時期】11月下旬~1月上旬
はざまいちじく(はざまいちじく)
【生産地】まんのう町羽間地区(はざまちく)、三豊市(旧:高瀬町)、高松市、坂出市、
【特徴】小ぶりで柔らかく、皮も食べられるほど柔らかい。
【食味】甘酸っぱい。完熟した際の糖度は20度を越えるほどの濃い上品な甘さ。
【料理】生食、フルーツケーキ、シャーベット、ジャムなど
【来歴】いちじくは、江戸時代に中国から長崎に伝わったとされる。江戸時代には薬用植物として利用されており、外国の柿のような果実ということから「蓬莱柿(ほうらいし)」「南蛮柿(なんばんがき)」「唐柿(とうがき)」などと呼ばれていた。日本での歴史が長いことから「在来種」や「日本いちじく」とも呼ばれる。西洋いちじくと比べると小ぶりだが甘味が強い。
まんのう町の羽間地区には明治初期に伝わったとされ、約150年もの間、品種改良されることなく、羽間地区で代々受け継がれてきた在来の「蓬莱柿(ほうらいし)」。いちじくは、花を咲かせずに実をつけるように見えることから「無花果(いちじく)」と書くこともある。
【時期】8月中旬〜10月下旬
BETTIM農場
香川県農畜水産物応援ポータルサイト 讃岐の食
【参考資料】