日本の伝統野菜-17.石川県

1.地域の特性

【地理】

石川県は本州日本海側沿岸の北陸地方の中部に位置し、面積は約4,186㎢(全国35位)を有しています。人口は1,119,367人で全国第33位です(2022年6月1日現在)。

石川県の総面積のうち、約7割近くが森林面積で287,000ha あります。森林面積の88%は、個人等が所有する民有林です。可住面積は1,392㎢(全国33位)です。

地形は、東西100.9km南北198.4kmで、南西から北東に向かって細長い形をしています。県土の三方が日本海に面しており海岸線は約580.9kmの延長を有しており、県土面積に対して海岸線の延長が長いのが特徴です。

隣接県は、富山県、福井県、岐阜県の3県です。北は能登(のと)半島として日本海に突出しています。地域区分は、大きく北部の能登地方、南部の加賀(かが)地方に分かれます。これは、令制国の能登国(のとのくに)、加賀国(かがのくに)の範囲に相当します。能登地方は宝達志水町(ほうだつしみずちょう)より北の地域を、加賀地方は、かほく市より南の地域を指すことが多いです。

北部の能登地方と南部の加賀地方では、地形・地質の特徴が大きく異なっています。

能登地方は、日本海に突出した能登半島が中心で、海抜高度300m以下の低山地と丘陵地が大部分を占めており、各所に海岸段丘がよく発達しています。羽咋市域南部から宝達志水町今浜にかけての海岸およそ8㎞は千里浜海岸と呼ばれ、車が通れる砂浜として全国的に有名です。

加賀地方は、標高2,702mの白山を最高峰とする険しい山地帯が発達し、そこを源として流れ出る河川の侵食、堆積作用によって沖積平野が広がっています。

河川は、高いところから低いところへ流れるため、いずれも流程が短く流れが速くなります。県内最長72㎞の手取川(てどりがわ)も急流河川(きゅうりゅうかせん)として有名です。手取川は白山を源に、途中で、尾添川(おぞがわ)、瀬波川(せなみがわ)、大日川(だいにちがわ)、直海谷川(のみだにがわ)を合流し、日本海へ注ぎます。手取川は昔から、穀倉地帯である加賀平野を潤し、流域の人々に恵みをもたらしてきましたが、その一方で、急流河川、土砂が堤防内に溜まって周囲の地面より高くなってしまう天井川(てんじょうがわ)という河道(かどう)特性ゆえに、たびたび洪水を起こし、「荒ぶる川」とも言われてきました。

湖沼は、河北潟(かほくがた)をはじめ、能登に邑知潟(おうちがた)と赤浦潟(あかうらがた)、加賀に柴山潟(しばやまがた)と木場潟(きばがた)など湾が砂州によって外海から隔てられ湖沼化した地形である潟湖(せきこ)が発達しています。

かつては、木場潟、柴山潟と今江潟(いまえがた)の三つ潟湖で加賀三湖(かがさんこ)と称されていましたが、1952年から1969年にかけて、今江潟の全面と柴山潟の約6割が干拓され、主に農地として利用されています。全面干拓された今江潟は、かつては大和蜆(やまとしじみ)の産地でした。

石川県の地域区分は、県の行政圏域では、能登北部、能登中部、石川中央、南加賀の4区分となっており、自治体は、現在、金沢市をはじめ11市8町の計19市町からなっています。

能登北部は、輪島市(わじまし)、珠洲市(すずし)と、旧:鳳珠郡(ほうすぐん)の能登町(のとちょう)、穴水町(あなみずまち)の2市2町から構成されます。

能登中部は、志賀町(しかまち)、七尾市(ななおし)、中能登町(なかのとまち)、羽咋市(はくいし)と、旧:鹿島郡の中能登町(なかのとまち)の2市3町から成ります。

石川中央は、かほく市と、旧:河北郡の津幡町(つばたまち)、内灘町(うちなだまち)、県庁所在地の金沢市(かなざわし)、野々市市(ののいちし)、白山市(はくさんし)の4市2町から成ります。

南加賀は、旧:能美郡(のみぐん)の川北町(かわきたまち)、小松市(こまつし)、加賀市(かがし)の3市1町から成ります。

【気候】

石川県の気候区分は、日本海側気候型ですが、日本海に大きく突き出している能登地域と、平野部の多い加賀地域では、やや異なります。気象庁の天気予報では県域を北から南へ能登北部、能登南部、加賀北部、加賀南部と4区分しています。

能登地方の気候は、寒暖の季節風の影響を受けやすく、このため、季節の移り変わりがはっきりしています。他の北陸の都市と比べ、夏はやや涼しく、冬は比較的積雪も少ないです。平均年間気温は、13.5度、平均年間降水量は2100.4㎜、平均年間日照時間は1564.9時間、平均最深積雪は32㎝です。太平洋側で海に突き出している愛知県渥美半島伊良湖の年間日照時間は2244.7時間に比べると3割ほど少ない時間になります。

加賀地方の平野部は比較的温和な気候ですが、冬期は北陸特有のしぐれ現象で天気はぐずつく日が多くなり積雪もします。平野部でも0.5~1mの積雪がありますが、特に加賀山間部は積雪が3~4mに達する全国有数の豪雪地帯です。平均年間気温は14.6度、平均年間降水量は2398.9ミリ、平均年間日照時間は1680.8時間で、平均最深積雪は44㎝です。

また、石川県では、雷がとても多く観測されます。雷が多い理由としては、大陸から吹く冷たい風と、日本海を流れる対馬暖流の温度差が大きく開くことや、山岳地帯に海側からの風がぶつかること上昇気流を起こすなど、雷を生み出す積乱雲(せきらんうん)が発生しやすい条件がそろっていることがあげられます。石川県や富山県では、晩秋から初冬の頃に鳴る雷を「鰤起こし(ぶりおこし)」と呼びます。冬の雷は風物詩で、この時期から寒鰤(かんぶり)の漁獲が始まります。

【農業の特徴】

石川県の経営耕地面積は40,400haで、内、田が33,600ha、畑が6,800ha(2022年)で全国第33位です。水田率が82.3%となっており、水稲が主要な農業生産物です。「北陸農林水産統計年報(令和3~4年)」より。

農業産出額は480億円で、全国第43位。米の産出額は226億円で、県の農業産出額の47%を占めています。(「令和3年生産農業所得統計」より)

北部の能登地域の主力産業は、農林水産業と観光で、特に農業の振興が浮沈の鍵を握っています。しかし、中山間地域が多いことから、圃場(ほじょう)条件が悪く、99%が家族経営で、経営耕地面積1ha未満が60%、2ha未満でいえば83%と小規模農家の比率が極めて高いのが特徴です。農業者の減少や高齢化も深刻化し、せっかくの特色ある食材を地域の活性化に活かし切れていないという現実があります。

能登地域は、昭和25年をピークに人口減少が進む中、平成23年、「能登の里山里海」として世界農業遺産に認定され、能登棚田米のブランド化や環境に配慮した能登米づくり、農家民宿の取組など、多様な地域資源を活用した「地域作り」等の取組が広がりを見せています。

県南部の加賀地域は、手取川扇状地を中心とする平坦部が稲作地帯であるため、農業法人や大規模経営農家が比較的多くなっています。なかでも、金沢市の海岸沿いの砂丘地帯では、スイカ・ダイコンなどの野菜生産が盛んで、山間部はナシ・リンゴなどの果樹生産が盛んです。ただ、農産物価格の低迷や資材価格の高騰を受けて、近年は農業経営が厳しい状況にあり、大規模化した経営の次世代継承も大きな課題となっています。

石川県の主力農産物は、米の他に、小麦、六条大麦、大豆、小豆、いんげん、そばといいた穀類や大根、ねぎ、きゅうり、トマトなどの野菜類、日本梨、ぶどう、りんご、柿、栗の果樹および畜産が生産されています。

 

2.石川の伝統野菜

石川県の伝統野菜は、北陸農政局が「北陸の地方野菜」としてリストにあげているもので、現在、金沢市(加賀野菜)15種、能登地方6種、加賀地方3種 合計24種があります。

加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

 

金沢市(加賀野菜)

❑ 五郎島金時(ごろうじまきんとき)

【生産地】金沢市粟崎、大野、大徳

【特徴】さつまいもの品種。金沢のさつまいもは、中心産地である五郎島の名を冠して「五郎島金時」として全国的にも有名。

【食味】砂丘地で栽培され、色の美しさ、形の良さ、甘みの強さ、どれをとっても最高級であると評される。煮物、天ぷら、おさつチップス、大学ポテト 【来歴】元禄時代に、五郎島村の肝煎太郎右衛門が薩摩の国から種イモを持ち帰り栽培したのが始まりとされる。保存は松林の中に穴を掘り蓄えたのが最初で、砂丘地にぴったりあった作物として五郎島、粟崎地区に定着した。加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】8月中旬~6月

 

❑ せり(せり)

【生産地】金沢市諸江

【特徴】金沢では浅野川の流水に恵まれた諸江地区を中心に生産されている。

【食味】全国で栽培されているせりの中でも茎が細く、彩りと独特の香りで評価が高いのが特徴。すまし汁、煮びたし、煮物

【来歴】江戸時代は、田んぼに水を溜めて、せりが自生もしくは栽培されていた。明治に入ってから弓取郷の上安江・下安江の水田に栽培され、その後、諸江の柿本庄左右衛門が安江より諸江の方が水質がよく、こんこんと湧き出る豊富な水量に気づきせりを栽培したのが始まりと云われている。加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】10月中旬~4月下旬(ピークはお正月用で1月下旬頃まで)

 

❑金時草(きんじそう)

【生産地】金沢市花園地区、白山市鳥越地区、かほく市高松町など

【特徴】キク科ギヌラ属の多年草で、茎は円柱形でよく分枝し、紫褐色。葉は長楕円形で先が尖り、表は緑、裏は紫色で、柔軟・粘液質。

【食味】葉と若い茎を食用にし、夏場の野菜として独特の風味があり、ゆでるとぬめり(粘り)がでる。酢の物、かき揚げ

【来歴】18世紀に中国から渡来したもので、九州の熊本市で古くから栽培されていたので水前寺菜と名がついたとされているが、金沢では金時草と呼ばれている。

石川県へは、江戸時代に栽培されていた記録(農業開志 著者農学者 村松標左衛門 1775年頃)があります。花園地区への金時草の導入は、地代町の木びき職人中田龍次郎氏が、大正時代に県内のどこかから持ち帰り、一株だけ畑に植えたのが始まりで、息子の中田義久氏が、昭和初期から料理屋向けとして栽培が始まったとされる。加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】6月下旬~11月中旬

 

❑源助大根(げんすけだいこん)

【生産地】金沢市安原

【特徴】根部の形状は根径8cm、根長22~25cmの短円筒形で尻のつまりがよい形となっている。

【食味】肉質がやわらかく、大根らしい歯ざわりで煮くずれしにくい。煮物用大根の代表品種で、おでんに適す。おでん、ふろふき、つけもの

【来歴】源助大根は、金沢市打木町の篤農家・故松本佐一郎氏によって育成された。

松本氏は、昭和7年に愛知県の井上源助氏が宮重系統の中から早生種で生育の旺盛な切太系の固定したものを導入し、在来の練馬系打木大根との自然交雑によってできたものを毎年選抜し、昭和17年に今日の源助だいこんに育て上げたもの。加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】10月下旬~12月上旬

 

❑ 加賀蓮根(かがれんこん)

【生産地】金沢市小坂、河北潟干拓地、薬師谷、才田、森本

【特徴】金沢では鮮度が大切とあえて泥付が喜ばれてきた。節と節の間が短く、肉厚。他県のれんこんと比べて穴が小さい。

【食味】澱粉質が多く、粘りが強いので、すりおろしてハス蒸しにするのに適している。だんご汁、はす蒸し、酢レンコン、れんこんの肉詰め

【来歴】加賀藩五代藩主・前田綱紀が参勤交代時に美濃から持ち帰った苗を金沢城内に植えたのが始まりと伝えられている。城中で栽培され、「ハスノ根」として上層武士間で薬用に供されていたといわれている。その後、金沢市大樋町一帯で栽培されるようになり、大正中期、本岡大吉氏によって加賀蓮根と命名され市場へ出荷されようになった。地域団体商標、加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】8月下旬~5月下旬

 

❑ 加賀太きゅうり(かがふときゅうり)

【生産地】金沢市打木町、かほく市高松町

【特徴】瓜と見間違えそうなほど太いキュウリで、1本の重さが600~800gある。

東北の短太きゅうりの系統でずん胴型。

【食味】果肉が厚くやわらかいので、普通のキュウリより煮たり炒めたりと、加熱する料理に適している。スティック、あんかけ、酢の物、中華サラダ

【来歴】加賀太きゅうりは、昭和11年に金沢市久安町の米林利雄氏が、仲買人から煮食用の東北の短太系きゅうりの種子を譲り受け、近在の野菜農家7人に分けて栽培したのが始まり。地域団体商標、加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】4月上旬~11月下旬

 

❑ 加賀つるまめ(かがつるまめ)

【生産地】金沢市花園

【特徴】千石豆(せんごくまめ)、ダラ豆ともいう。

【食味】つるまめの香りは独特なもので、煮物、和え物、汁の実など幅広い用途に使える夏の風物詩。煮物

【来歴】石川県でいつ頃から栽培されていたか、詳しいことはわかっていないが、昭和20年代頃と推測される。現在では金沢市山麓で露地裁培が行われている。

加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】6月上旬~10月下旬

 

❑ 金沢一本太ねぎ(かなざわいっぽんふとねぎ)

【生産地】金沢市金城、富樫

【特徴】「金沢一本太ねぎ」は、その名のとおり、分けつせず、軟白部は太くて長い品種。

【食味】肉質が柔らかく鍋物によく合う。すき焼き、煮物、鍋物

【来歴】詳しい来歴は不明だが、「石川県園芸要鑑」(大正5年)によると金沢ねぎは別名「マツエタ葱」とも言われ、原種は長野県松本地方より導入したものとされる。かつては、北陸以北における寒地型の一本ねぎとして一世を風靡(ふうび)した。

加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】11月~1月

 

❑ たけのこ

【生産地】金沢市額、富樫、内川全域

【特徴】タケ類の中で最も大きい孟宗竹で、桿の高さ10~20m、径25cmにもなる。内川地区では4月下旬~5月上旬に、たけのこ料理が楽しめ、「別所のたけのこ」として金沢市民に親しまれている。

【食味】たけのこご飯、煮物、刺身

【来歴】加賀藩の割場足軽付けだった岡本右太夫が、明和3年(1766年)に江戸から2株の孟宗竹を持ち帰り、金沢の桜木町自宅に植えたのが始まり。しかし、この孟宗竹は枯れたため、4年後の明和7年(1770年)再び江戸から取り寄せて植えたところ、今度は根付いたと伝えられている。

加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】4月下旬~5月中旬

 

❑ へた紫なす(へたむらさきなす)

【生産地】金沢市崎浦

【特徴】その名のとおり、ヘタの下まで紫色になる短卵形の小なす。日持ちがよい。

【食味】色つやが良く、皮も薄くて、果肉が柔らかく甘みがあるのが特徴。

【来歴】ヘタ紫なす(丸なす)の来歴は不明だが、明治22年頃、市内の近郊野菜産地(有松、泉地区)に栽培されていた「小木」と呼ばれる系統から見出されたものと伝えられている。一夜漬け、やど漬け、煮物

加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】6月上旬~10月下旬

 

❑ 打木赤皮甘栗かぼちゃ(うつぎあかがわあまくりかぼちゃ)

【生産地】金沢市 打木

【特徴】形は円錐栗型。極早生で、着果もよく、食味も良好で果皮の朱色が鮮やかで、料理の彩りとして親しまれている。

【食味】果肉は厚く粘質で、しっとりとした味わいである。煮物、カボチャプリン

【来歴】昭和8年、金沢市打木町の篤農家・故松本佐一郎氏が、福島県から赤皮栗を導入し、着果性、色のよいもを選抜し育成しました。昭和18年頃にほぼ完成し、戦後発表された品種です。加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】5月~8月

 

❑ 二塚からしな(ふたつかからしな)

【生産地】金沢市 二塚

【特徴】大根の葉っぱに似た形で、緑と赤紫の混ざった色。種はからしの原料として使われる。

【食味】独特の強い辛みと鼻を突く香気を備えており、おひたしや漬け物に最適。

【来歴】金沢市二塚地区(袋畠、二ツ寺、赤土、佐奇森町)を中心に大正から昭和30年代後半まで栽培されていたとされる。冬や早春の食卓に欠かせない野菜として重宝がられていたと伝えられている。先頃40年ぶりの復活を果たした。

加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会認定)

【時期】2月上旬~3月下旬

 

❑ 赤ずいき(あかずいき)

【生産地】金沢市 花園、三馬

【特徴】サトイモの葉柄(ようへい)を「ずいき」と言い、サトイモの葉柄が赤い物で、葉柄を食用とする専用の品種を「赤ずいき」と呼ぶ。

【食味】酢漬け、煮物、干しずいき

【来歴】藩政時代よりかなり以前から栽培されていたものと思われる。

【時期】7月上旬~3月下旬

 

❑ くわい(くわい)

【生産地】金沢市 小坂、御所

【特徴】くわいは煮食用に供されるもので、需要は多くないが、古くから「芽が出る」ということでお祝い料理に使用される。特に、正月のおせち料理の食材として珍重されている。

【食味】煮物、から揚げ

【来歴】栽培の始まりは、レンコンと同様、藩政時代に5代藩主前田綱紀が産業の興

隆を志し、農事の奨励に力を入れ、くわいの栽培を始めたものと伝えられている。

【時期】11月下旬~12月下旬

 

❑ 金沢春菊(かなざわしゅんぎく)

【生産地】金沢市 三馬

【特徴】2003(平成15)年、金沢市農産物ブランド協会から15番目の加賀野菜に認定された。葉に切れ込みが少なく、葉肉が厚い。

【食味】やわらかく、くせがないのが特徴。おひたし、マヨネーズ和え

【来歴】石川県への来歴は加賀藩5代藩主前田綱紀が産業の興隆を起こした1670年頃ではないかと言われている。

【時期】10月下旬~4月下旬

 

能登地方(能登伝統野菜)

❑ 中島菜(なかじまな)

【生産地】七尾市中能登町

【特徴】旧中島町で食べ継がれてきた漬け菜で、葉に刻みがあるのが特徴。

【食味】独特のほろ苦さと辛味がある。県内の試験研究機関において、中島菜には血圧上昇を抑制する機能性成分が他の野菜よりも多く含まれていることが確認され、注目されている。漬物、おひたし

【来歴】来歴は不明だが、漬物用として旧中島町で古くから栽培されて来た。全国的に名が知れるようになったのはテレビ番組で紹介された2001年から。

地域団体商標 能登伝統野菜

【時期】11~4月

 

❑ 沢野ごぼう

【生産地】七尾市 沢野

【特徴】七尾市の中山間にある沢野地区で栽培されている伝統野菜で、普通のゴボウの約3倍の太さがある。沢野地区のある崎山半島の特徴ある粘土質の土壌で栽培される。

【食味】香り豊かな風味と白く柔らかな肉質が特徴。

【来歴】350年前に京都から伝わった種を栽培したのが始まりで、加賀藩の献上品として栽培された。能登伝統野菜

【時期】10~11月

 

❑ 金糸瓜(きんしうり)

【生産地】七尾市中能登町

【特徴】かぼちゃの一品種。輪切りにして茹でると果肉が金の糸状にほぐれる。保存性が良く、自家用野菜として中能登の風土に根づいている。

【食味】ほぐれた糸状の繊維はシャキシャキとした食感がある。酢の物

【来歴】19世紀末に中国から導入されたものが各地で栽培され始めたといわれています。時期は定かではありませんが、中能登地域で報恩講料理として古くから地域に定着しています。能登伝統野菜

【時期】7~8月

 

❑ 神子原くわい(みこはらくわい)

【生産地】羽咋市 神子原

【特徴】羽咋市の標高120mの神子原地区の棚田で栽培されているくわい。お正月用の縁起物食材として木箱に詰め、稲わらをかぶせて出荷する。

【食味】あふれる香りとモッチリした食感が特徴。煮物、揚げ物

【来歴】昭和55年に在来の青くわいを転作作物として導入しました。おせち料理の

食材として県内市場へ出荷されています。能登伝統野菜

【時期】12月

 

❑小菊かぼちゃ(こぎくかぼちゃ)

【生産地】七尾市中能登町七尾鹿島

【特徴】直径15㎝の小型の日本かぼちゃで、上から見ると菊花に似ていることから名前がついた。

【食味】粘質で濃黄色の果肉で、淡白な風味が和食に最適。煮物、蒸し物、揚げ物、お菓子

【来歴】昭和40年半ばに転作を契機に旧中島町で栽培が始まった。排水対策や色づきを良くするため釣り下げ栽培を行っている。能登伝統野菜

【時期】7~8月

 

❑ かもうり

【生産地】七尾市中能登町

【特徴】とうがん。果実は長円筒形。重量は7kg程度。収穫期には白い粉で包まれる。果肉は厚く保存性に優れている。

【食味】淡白な風味は、だしを効かせた味付けに合い、和食に適している。煮物。

【来歴】中能登地域で古くから地域の食文化として定着し、栽培されてきた。能登伝統野菜

【時期】7~8月

 

加賀地方

❑ 金沢青かぶ

【生産地】野々市町富奥、白山市

【特徴】根形は、球形に近い偏円形で直径10cm、根重500g~600gの青丸首太カブ。

【食味】肉質はやや堅めだが、甘みがあり漬物にすると香りと歯応えがほどよく残る。”これがないと正月はこない”とまで言われる「かぶらずし」に使われる。

【来歴】かぶらずしの古い記録としては、宝暦七年(1757年)の頃の年賀の客をもてなす料理として「なまこ、このわた、かぶら鮓(すし)」との記述がある。

【時期】11~12月

 

❑ 加賀丸いも

【生産地】能美市五間堂、赤井、中の庄小松市高堂

【特徴】山芋。加賀平野の限られた地域で栽培されており、古くから選抜栽培され「まるいいも」となった。

【食味】野趣に富んだ風味と、豊富な栄養を含んでおり、特に粘りの強いのが特徴。各種の日本料理に使われるほか、高級菓子の原料としても使われる。とろろ汁、いもみそ汁、酢のもの

【来歴】大正時代、能美市五間堂の沢田仁三松、秋田忠作の両氏が自家野菜用として三重県から持ち帰り栽培したのが始まりといわれている。

【時期】10~12月

 

❑ 剣崎なんば(けんざきなんば)

【生産地】白山市(旧松任市剣崎)

【特徴】唐辛子。艶のある赤色をしており、普通の唐辛子に比べ非常に長く先がとがっているのが特徴。さやの長さは15㎝にもなる。

【食味】味は激辛だが、後味がほのかに甘く残りコクがある。調味料や漬物の辛味付けなどに適す。香辛料。

【来歴】明治以前から白山市の剣崎町で栽培されていた。戦後需要が減り一時廃れたが、1990(平成2)年に農協の一村一品運動で生産を再開。1991(平成21)年には剣崎なんば保存愛好会が設立され、生産振興が図られている。

【時期】8~11月

 

<参考資料>

金沢市(加賀野菜)

能登地方

加賀地方

石川県内市町のページ

北陸農林水産統計年報 令和3~4年

令和3年 農業産出額及び生産農業所得(北陸)

石川県の農林水産業の概要

 

 

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