日本の伝統野菜―10.群馬

1.地域の特性

【地理】

群馬県は本州のほぼ中央に位置し、総面積は6,362 km²で、全国21位、関東平野では栃木県に次いで第2位の広さです。東は栃木県、西は長野県、南は埼玉県、北は新潟県、福島県に接する内陸県で、海はありません。

群馬県は、山地が多く南東部以外は山に囲まれています。標高10mから2,000m を越える山岳地域に至る起伏の多い複雑な地形が群馬県の特徴です。

県内の地域は大きく5つに分かれ、県北部一帯の北毛地域は、東北毛(ひがしほくもう)と西北毛(にしほくもう)に、県南部は中毛(ちゅうもう)、西毛(せいもう)、東毛(とうもう)地域に分かれています。

北部一帯の北毛(ほくもう)地域は、標高2,000mを超す山々がそびえる豪雪地帯で、スキー場が多くあります。北東部から東部にかけては武尊山(ほたかやま)、足尾山地(あしおさんち)があります。福島県との県境地域は、尾瀬国立公園が有り、自然環境保護のため車両の乗り入れが規制されているため車両による往来はできません。

北西部から上信越県境には三国山脈(みくにさん脈)が連なり、西部に向かって、谷川岳(たにがわだけ)、本白根山(もとしらねさん)、四阿山(あずまやさん)、浅間山(あさまやま)と連なっていきます。県内には赤城山(あかぎやま)・榛名山(はるなさん)・妙義山(みょうぎさん)の上毛三山(じょうもうさんざん)があります。浅間山や草津白根山は活火山であり、国際的な観光地草津温泉を始め伊香保温泉・水上温泉・四万温泉・万座温泉など温泉地が豊富であります。

南東部は関東平野に連なっており、県の人口の7割ほどが集中しています。複雑な地形に合わせ、拠点は県内の地域ごとに分散しているため、目立った拠点が存在せず、前橋市と高崎市周辺が中心地域となっています。県中央部の中毛地域には、県庁所在地の前橋市や、着物の銘仙(めいせん)の産地である伊勢崎市があります。県西部の西毛地域は、首都圏と信越地域を結ぶ交通の要衝・高崎市があります。県東部の東毛地域は、織物業が盛んで織都と称される桐生市、自動車産業を中心とした工業都市・太田市がある。

河川は、国内最大の流域面積を誇る利根川(とねがわ)とその水源である大水上山(おおみなかみやま)があります。県内を流れる吾妻川(あがつまがわ)、神流川(かんながわ)、渡良瀬川(わたらせがわ)などの県内を流れる河川の水を集め、東に向かって流れ、太平洋及び東京湾に注ぎます。また、分水嶺をはさんだ信濃川流域の野反湖(のぞりこ)と阿賀野川(あがのがわ)流域の尾瀬の水は日本海へと流れていきます。

【気候】

群馬県は、太平洋側に位置しているため、気候は太平洋気候に分類されます。しかし、山岳地域では標高2,000mを越える一方、南東部の平野部では数10mと標高の差が大きく、その複雑な地形は気候にも影響を及ぼします。地域の標高や地形、位置などによって、気候の違いがあり、山岳特有の気候から平地の気候まで見られます。

冬季、北部や北西部は雪の日が多く、上空の寒気が強ければ大雪になり豪雪地域と指定されるところもあります。平野部では乾燥した晴天の日が多くなりますが、上空の寒気が強いと雪が降ることもあります。

夏季は、猛暑日が多く、最高気温は全国的に見ても上位です。地面付近の気温が高いことから大気の不安定な状況となりやすく、夏季の雷の発生は全国第 2 位(第 1 位は宇都宮)となっています。8 月中旬を過ぎると太平洋高気圧の勢力が衰え始めるため、雷の発生も少なくなります。

日照時間は、年間を通して長く、特に秋から春にかけては晴天の日が多いため、冬場の農産物の栽培も多い。

【農業の特徴】

群馬県の耕地面積は約6万7,600haで全国第19位です。同県の農業は、肥沃な農地と豊富な水資源、穏やかな気候に恵まれ、米麦、畜産、園芸作物など多彩な農畜産物の生産が行われています。農業産出額は2,454億円で全国第14位(2018年)と前回の11位より、やや順位を下げました。内訳は、野菜が32%、米が19%、乳用牛が15%で、米よりも野菜の生産が多く、畑面積は全国10位です。

県内の標高は、10~1,400mの間に分布しているため、場所によって気温や環境が大きく異なります。そのため、いろいろな野菜や果物が生産されています。標高の低い地域では冬の豊富な日照量を生かし、本来、夏に栽培されるトマトやキュウリの温室栽培を行い、標高が高く夏でも涼しい地域では、冬の野菜であるキャベツや白菜を栽培するなど、その地形を生かして一年を通しさまざまな農産物を生産しています。

かんぴょう、うど、二条大麦、いちごの生産量は全国1位を誇っています。

地域は、大きく県北地域、県央地域、県南地域の3つに分かれ、県北地域の主要農産物は、水稲、二条大麦、小麦、いちご、にら、なす、トマト、ねぎ、うど、日本なし、スプレイ菊。県央地域は水稲、二条大麦、小麦、いちご、六条大麦、らっかせい、にら、こんにゃく、さといも、なす、トマト、たまねぎ、はくさい、日本なし、そば、えごま、シクラメン、スプレイ菊。県南地域は水稲、二条大麦、小麦、いちご、かんぴょう、なす、トマト、たまねぎ、はくさい、かき菜、アスパラガス、ぶどう、トルコギキョウが主に生産されています。

 

2.群馬の伝統野菜

群馬県は、農業産出量の4割を野菜が占めており、首都圏への重要な食糧供給基地になっています。2008(平成20)年度からは、「野菜王国・ぐんま」を創設して、野菜の生産振興の強化総合対策を創設し、生産振興に積極的に取り組んできています。

きゅうり、トマト、なす、いちご、キャベツ、ほうれんそう、レタス、ねぎの8品目を重点品目として支援するほか、ブロッコリー、たまねぎ、えだまめなどの地域推進品目又は加工・業務用野菜を対象に、組織的に取り組む野菜生産の拡大・販路拡大等の取組を支援しています。

伝統野菜についての取り組みは県全体では明確には行われておらず、基準もはっきりしていませんが、各地域で在来種を保存・復活させる動きが見られます。

複雑な地形や火山灰土壌、良質な水源など豊かな自然のもと、土壌も多様なため、同じやさいでも、土地々々の品種が数々みられます。特にねぎは、全国的にも名の知られる「下仁田ねぎ」をはじめ、今回のリストには掲載していませんが、「立石ねぎ」、「尾島ねぎ」など地名を冠したねぎが数種類あります。また、南牧(なんぼく)村の在来種であるインゲン豆「南牧ぶるう」や「南牧うり」など最近、知られ始めた品種や神流村の「アワバタ大豆」など豆・雑穀などの在来作物もあり、まだ多くの品種が存在する可能性があります。

ここでは、群馬県の在来品種として、来歴が確認でき、市場で認知されている21種を紹介します。

 

❏ 赤いも(あかいも)

【生産地】多野郡神流町

【特徴】皮が赤みがかっている小ぶりのじゃがいも。

【食味】粘質で甘みがある。皮付きのまま丸ごと調理すると煮崩れしにくく、蒸かしてから焼いた「いも串」や、茹でてから炒める「油炒め」は、名物郷土料理。

【来歴】群馬県南西部の多野郡神流(かんな)地区の急峻な山間部で、江戸時代からで栽培されてきた。2010(平成22)年に「あかじゃが」として商標登録し、地域特産品としてPRを推進している。

【時期】

 

❏ 石倉根深ねぎ(いしくらねぶかねぎ)

【生産地】前橋市石倉町

【特徴】白い部分の多い根深系ねぎ。寒さに強く、冬の間も伸長を続ける。病気や土をあまり選ばず、作りやすい品種。

【食味】白身が長く、緻密な肉質でありながら柔らかく、甘味がある。

【来歴】石倉根深太ねぎは、前橋市石倉町周辺で昭和初期から栽培されている。伝統野菜は自家栽培が主流で市場に出回る機会は少なく、種もほとんど入手できないが、石倉根深ねぎは、種苗会社が種を販売しており購入することができる。

【時期】10月~3月

 

❏ 入山きゅうり(いりやまきゅうり)

【生産地】吾妻郡中之条町入山地区

【特徴】短くて太い。果実の長さは20㎝前後、太さ(直径)は3~4㎝ほど。皮は薄い黄色味を帯び黒いイボがある。

【食味】果汁が多く、瑞々しいく柔らかい。甘味があり、香りが高い。生食や漬物などで食すと美味しい。

【来歴】吾妻郡中之条町入山地区を中心に、主に自家消費のために栽培されてきた。地元の人たちは「昔から自家採種し作っていた」とし、江戸時代に入ったものか、それ以前からかは、文献もなく、はっきりしたことはわかっていない。 「入山きゅうり」という名称は六合村の北部、旧入山村を中心に栻培されているためで、「京塚(きょうづか)きゅうり」とか「満州(まんしゅう)きゅうり」、最近では「六合(くに)きゅうり」などという呼び方もされている。同じようなきゅうりは、六合村(くにむら)だけでなく、近隣の吾妻郡の地区でも見られ、隣の嬬恋村鎌原地区では「鎌原(かんばら)きゅうり」と言われている。 【時期】7月~ 9月

 

❏ かき菜(かきな)

【生産地】館林市

【特徴】アブラナ科アブラナ属の野菜。耐寒性が高く、秋口に播種し、厳冬期を過ぎて春先に収穫する。農薬の使用頻度が少なく、1株から3回ほど収穫でき、高齢化が進む農家にとって比較的身体への負担が少ない特長を持つ。

【食味】茎が柔らかく、甘味があり、味にクセがないので、様々な料理に用いられる。お浸しなど、茹でて食されることが多い。早く傷みやすいため、収穫・購入から数日で使い切るか、下ごしらえする必要がある。栄養価(ビタミンやミネラル)は最近のF1ホウレンソウやコマツナを上回る。

【来歴】北関東(特に群馬県館林市や栃木県佐野市など両毛地域)で栽培され、古くから春先の野菜として重用されてきた。「なばな」と同系統だが、西洋アブラ菜ではなく、在来種またはその変種と見られる。成長中の植物の若芽を掻き取って収穫する事から「かき菜」と呼ばれるようになった。

【時期】12月~4月、

 

❏ 上泉理想だいこん(かみいずみりそうだいこん)

【生産地】前橋市(旧:勢多郡桂萱村)

【特徴】葉色は中間で首部の充実よく、中心部より尻部まで適度に肥大。色白で皮が薄い。根長40~50cm。

【食味】甘みが多く、肉質が緻密で歯切れが良い。煮・漬物用。干し大根、たくあん漬けに適している。

【来歴】練馬ダイコンの改良種で地大根の一種。1929(昭和4)年に地域の農家の間で「日本一のだいこん」を目指し品種改良が試みられ、1940(昭和15)年に

育成者は篤農家・渡辺友作とされる。

【時期】11月~12月

 

❏ 京塚かぶ(きょうづかかぶ)

【生産地】吾妻郡中之条町入山地区(旧六合村)

【特徴】地下部は直径10cmくらいで軟らかく、地上部は40cmと長く大きいのが特徴。

【食味】煮物や漬物として利用されるほか、生で食べても甘くて美味。葉の部分はお味噌汁や炒め物にしてもよく、また乾燥させて保存食としても重宝されている。

【来歴】同地区を中心に主に自家消費を目的として栽培されてきた。

【時期】10月

 

❏ 国分にんじん(こくぶにんじん)

【生産地】高崎市国府地域

【特徴】葉先から根の先まで1メートル近い長さがある長細い。可食部も60㎝ほどと長い。

【食味】こくのある甘味で、香りも高い。やわらかい食感を持ちながら煮崩れしにくいのが特徴。煮物に適しているほか、きんぴら、松前漬け、野菜スティックによる生食などで食す。

【来歴】大正時代に国府地域の農家が改良して生み出され、昭和30年代前半頃まではにんじんの代表品種として、多くの農家により生産されていた。昭和30年代後半に生産農家も数軒を残すまでに減少したが、平成20年頃から地元の有志で復活に取り組み、徐々に生産量を増やしている。

【時期】11月~3月

 

❏ 国府白菜(こくぶはくさい)

【生産地】国府地域(高崎市引間町付近)

【特徴】ずっしりと重く、甘みが強いことから鍋を始めとして、浅漬けやキムチにも適しています。

【食味】肉厚で柔らかく、食味が甘い。漬け物や鍋にはもちろん、キムチや浅漬けにしてもとても美味。

【来歴】「国府白菜」は、榛名山の噴火による火山灰の堆積でできた肥沃な土地をもつ高崎市の国府地域で育てられた白菜の総称。他の土地で 栽培されても同様の甘さや食味を得られな いため、「国府白菜」と呼ばれている。

【時期】11月~3月

 

❏ 下植木ねぎ(しもうえきねぎ)

【生産地】伊勢崎市下植木地区

【特徴】白い根の部分は20㎝、緑色をした葉の部分は50㎝ほどの長さで、太いところは直径5㎝ほどあり、下仁田ねぎのように太い白根から薬が扇状に広がり、全体的にずんぐりした形をしている。

【食味】熱を加えるとトロッとして甘みが出る。鍋や煮物で食す。

【来歴】江戸時代風土記に「もっとも美味なるもの」と記され、200年以上にわたり大切に栽培・保存されてきた。かつて、伊勢崎銘仙を扱う織物業者によって、京都・大阪の問屋筋へのお歳暮として使われ、以来市場に出ることは稀で、宅配を中心に出荷されてきたが、現在は減少し、生産者は15~16人しか残っていない。

【時期】12月~1月

 

❏ 下仁田ねぎ(しもにたねぎ)

【生産地】甘楽郡下仁田町

【特徴】群馬県を代表する伝統野菜。知名度も高い。白い部分が太くて短いのが特徴。太さは直径4~5㎝のものもある。需要の増加に伴い、群馬県農事試験場が前橋市で栽培してみたがうまくいかず、下仁田の土壌を前橋まで持っていって栽培しても結果は同じであった。長野県農事試験場でも栽培を試みたが、育ちすぎて葉が硬い棒のようになり、とても食べられたものではなかったと『下仁田町史』の記録にある。

【食味】特有の肉質で、熱を通すとトロッと柔らかくなり、甘みが広がる。鍋や煮物で食す。

【来歴】下仁田ネギの由来についてあまり詳しいことは分かっていない。中国西部より我が国北部に入った「加賀」という品種との類似が取りざたされているが、ルーツについてはこれ以上の追跡はできない。古くから作られてきたこのネギは、江戸時代の大名にも好まれたといい、幕府城内の旗本から地元名主へ「葱200本至急送れ、運送代はいくらかかってもよい」という趣旨の手紙が送られた記録が残っている。また、地元高崎藩の殿様が諸国大名への年末年始の贈答品としていたという記録もあり、別名「殿様ネギ」とも言われる。

【時期】11月~1月

 

❑ 十文字だいこん(じゅうもんじだいこん)

【生産地】高崎市十文字町

【特徴】たくあん漬け用のだいこん。形状は長細く50㎝の長さに育つ。半分から下部にかけて緩やかに下ぶくれして、多少の曲がりがある。そのため、他のだいこんと比べて土から抜きにくい。重さは1~2㎏にもなるため、洗って干してと一連の手作業を続けるとかなりの重労働になる。

【食味】肉質がキメこまかく歯切れが良い。たくあん漬けにするとその特徴が際立つ。

【来歴】同地区では古くから大根の生産が盛んに行われてきた。現在は生産者が限られているものの、ブランド力を高めるための取組も行っている。

【時期】11月中旬~12月下旬

 

❏ 陣田みょうが(じんだみょうが)

【生産地】高崎市倉渕町(旧:倉渕村)

【特徴】高品質でボリューム感のある鮮紅色のみょうが。花らいの発生が早く、草丈は大きく育つ。葉も大きく茎が太い。地際部の花青素が出にくく、軟化栽培には向かない。

陣田は、倉渕町(旧倉渕村)の最北端に位置しており、標高約650メートル。土性は浅間火山による小石を含む黒色火山灰土壌。みょうがの栽培には、“みょうが畑10a(1,000㎡)に落葉樹林30a”と言われるほど落葉を大量に必要とする。楢(なら)や椚(くぬぎ)の広葉樹林が確保できる山間地は、半陰性のみょうが栽培に適しており、同地区では林の中でのみょうが栽培が盛んだった。ハウス栽培などによる大量生産は行っておらず、露地栽培のみ。

【食味】養液栽培より自然独自の香りが強く、みょうが本来の味と香りが楽しめる。用途は夏の花みょうが。薬味、漬物等で食す。

【来歴】陣田地区に自生していた「みょうが」を昭和初期に畑地で栽培するようになったのが始まり。品質・味ともに優れていたため、集落内での栽培が広まった。昭和30~40年代頃には、京浜市場で、高値で取引きされ、村の特産物「陣田みょうが」として一大ブランドを築いた。

【時期】7月~9月

 

❏ 高山きゅうり(たかやまきゅうり)

【生産地】吾妻郡高山村

【特徴】大きさに特徴があり、一般のきゅうりの3~4倍。1本の重さは約 300 ~ 500g、長さも25 ~ 30cmほどあり、ずんぐりとした形状。皮の色は薄い黄緑色、白く、かすれたような模様が入る。

【食味】果皮や果肉は肉厚でやわらかく、しゃきしゃきとした歯ごたえ。漬物や酢の物にすると美味しい。

【来歴】入山きゅうりと同様に由来は不明だが、吾妻郡高山村で、何世代にもわたって、農家で受け継がれてきた地元のきゅうり。

【時期】7月中旬~ 10 月

 

❏ 田口菜(たぐちな)

【生産地】前橋市田口町

【特徴】アブラナ科の摘み菜。葉色は淡緑色で、葉の切込みは強い。茎は細い。特に耐寒性が強い。つぼみのついた茎を手折って収穫する。

【食味】淡白でクセがなく、若干の苦みと甘みがある。独特の風味。かつては正月に雑煮と一緒に食した。極短時間で茹で、水にさらさずに余熱で茹で上げるのがコツ。

【来歴】古くから田口地区で栽培されてきた。かつて明治天皇の行幸の際に献上したところ、美味であると賞賛され、地名から「田口菜」と命名を許可され、以後、そう呼ばれるようになったと伝えられる。

【時期】9月下旬に播種し、1月に収穫。2月下旬~4月中旬

 

❏ 時沢だいこん(ときざわだいこん)

【生産地】前橋市(旧:勢多郡富士見村大字時沢)

【特徴】 ―

【食味】 ―

【来歴】江戸時代から栽培されていたとの記録がある。『富士見村誌』には「村内に於ける名産」記されている。元は「不動堂大根」と呼ばれていた。前橋藩主酒井侯が沢庵和尚に勧められ、軍用に備蓄するため領内各地から集めただいこんの中から選ばれ、漬物に加工した。第二次世界大戦中は海軍に納入された。昭和30年代までは首都圏にも出荷されていたが、やがて、生産量は減少。2009年の上毛新聞の記事「「時沢大根」復活へ 地域おこしでプロジェクト」によると幻の大根と言われている。

【時期】 ―

 

❑ 猫の目いんげん(ねこのめいんげん)

【生産地】桐生市・みどり市東町

【特徴】名前の通り猫の宏美のような美しいツヤのある豆。白豆と黒豆がある。

【食味】煮豆や餡にして食す。早採りして青莢(あおさや)を食したりもする。

【来歴】自家用を中心に栽培され、各戸で自家採種されてきた。みどり市東町のごく一部の農家で明治時代から伝統的に栽培されている。「ねこまなこ」「ねこのめまめ」とも呼ばれる。

【時期】

 

❏ 幅広いんげん(はばひろいんげん)

【生産地】吾妻郡中之条町入山地区

【特徴】筋が無く、幅は2cm、長さは15~20cmほどの幅広・平鞘いんげん。色は薄黄緑色。

【食味】現在多く販売されている「モロッコいんげん」より、やや小ぶりで果肉は柔らかいのが特徴。味が良い。

【来歴】同地区を中心に、主に自家消費のために栽培されてきた。大正時代の終わり頃、梨木地内に導入された金時いんげんの中から、良いものを選び出して栽培されるようになった。入山地区以外では栽培されていない。草津温泉の客用に販売されてきた。現在は、地区内に2名の生産者のみで、ほぼ自家用。希少で数が少ない。

【時期】7月~ 9月上旬

 

❏ 紅花いんげん(べにはないんげん)

【生産地】

【特徴】大粒で美しい外観、良食味で、高級感のある豆。子実の形は楕円体、種皮の地色は紫、斑紋の色は黒、斑紋の種類は偏斑紋・小、環色はなし、粒の大小は極大である。

【食味】極大粒のため非常に見栄えが良く存在感があり、茹でるとほっくり感があり食べ応え抜群。主に高級甘納豆や煮豆の原料として利用される。煮豆のバリエーションとして、ブランデー風味、コーヒー風味、紅茶(アールグレイ)風味、黒砂糖風味があり、ドライフルーツと一緒に煮たシナモン風味などがある。粒の特徴を活かした蒸ようかんも高級感があり美味。

【来歴】中南米を原産地とし、1663年にはヨーロッパに導入されたが、十分な結実をみなかったため鑑賞用が主だった。日本には徳川時代に伝来。当初の用途は鑑賞用だったが、昭和に入ってから、マルチ播種やパイプ支柱栽培での増収、さらに大型支柱栽培が普及し、栽培面積が増加していった。群馬県では1920年(大正9年)吾妻郡六合村入山大沢の大塚政美氏が北海道大和種苗よりベニバナインゲン12粒を購入し試作を始めた。

【時期】10月下旬~11月中旬(乾燥させているため通年供給可)

 

❏ 宮内菜(みやうちな)

【生産地】高崎市、前橋市

【特徴】アブラナ科の野菜。葉色は淡緑色で葉柄は長めである。第1側枝30本、第2は65本前後。再生力が非常に旺盛な晩生多収品種であり、2カ月にわたって何度も収穫できる。

【食味】葉には浅い切れ込みがあり、葉肉が柔らかい。甘味と風味に富み、食味が良い。クセがないので、おひたしや和え物、炒め物、みそ汁の具など幅広く使われる。根元に近い茎の部分が一番美味といわれる。ビタミンCやカルシウムを豊富に含み栄養価が高い。

【来歴】前橋市芳賀地域で栽培され始めたのが始まり。「かき菜」と呼ばれることもある。

【時期】2月~3月

 

❏ 宮崎菜(みやざきな)

【生産地】富岡市宮崎

【特徴】富岡市宮崎の丘陵地で古くから栽培されている漬け菜の一種。葉の切れ込みは大きく深い。早生、種は小粒でやや赤味を有す。用途は青果としての市場出荷はわずかで、浅漬け加工による直売が行われている。人によっては、野沢菜や小松菜に比べて食味が良いという。

【食味】浅漬けにするとピリッとした辛味と歯切れの良さが味わえる。他の地域で栽培すると、この独特の風味が出せないと言われている。

【来歴】富岡市宮崎の丘陵地で古くから栽培されている。年代や来歴は不明。

【時期】9月下旬まき、収穫12月から、3月上旬より抽台を利用

 

❏ 沼須ねぎ(ぬますねぎ)

【生産地】沼田市

【特徴】他のねぎに比べて葉が長くとがっており、白い部分が長い。寒さに強い。

【食味】柔らかく食味が良い。加熱する調理に向く。

【来歴】古くから沼田市を中心に栽培され、昭和初期には麦の間作で産地が形成されていた。しかし、病害に弱い等栽培の難しさから作付けが減少し、現在は、沼田市沼須町を中心に数件の農家が採種し、ねぎ苗の注文に応えている程度。春先には種苗店で苗が購入できる。

【時期】現在はねぎ苗のみの販売

 

 

【参考】

公益財団法人食の安全・安心財団「地方特産野菜図鑑」

きたかんナビ(上毛新聞社、下野新聞社、茨城新聞社で共同運営する観光情報サイト)

ぐんまアグリネット

ぐんまの農業

群馬県農業技術センター 群馬県耕地土壌図

 

 

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