産官学連携で地域の名産品を目指せ!-愛知県清須市の伝統野菜「土田かぼちゃ」が奇跡の復活-
織田信長の居城である清洲城で有名な愛知県清須市に、奇跡の復活を遂げた伝統野菜があります。その名は、「土田かぼちゃ」。
土田かぼちゃは、清須市の土田地区を中心に栽培が盛んだった日本かぼちゃです。
土田かぼちゃの外観は、濃い緑色の地に黄色の斑紋(色の比率で黄色地に黒い斑紋に見えることも)の独特の模様のある厚めの表皮が特徴的です。大きさは直径約30cmと大きめで、西洋かぼちゃに比べ、やや平たい形状をしています。
食味は、実は肉厚で、一般的なかぼちゃに比べ、繊維質が多く、水分が多いため、もっちり・ねっとりとした食感です。実が柔らかいため、煮崩れはしやすく、甘味はあっさりとしており、淡白な味わいです。乳幼児の離乳食、スープ等には非常に向いているそうです。
明治時代には、縮緬かぼちゃ(現:あいちの伝統野菜)・早生白かぼちゃと並ぶ愛知県の三大かぼちゃとして市場評価が高く、高級食材として料亭などに卸されていました。
しかし、昭和に入り、甘味が強く、煮崩れしにくく、加工のしやすい西洋かぼちゃが日本に入ってきたことで、日本かぼちゃの需要は低迷。土田かぼちゃも次第に栽培農家も減って1950年代以降は市場から姿を消してしまいました。
土田かぼちゃに復活の機会が訪れたのは、50年余り経った2007年。
土田かぼちゃの種子を保存している農家が市内で見つかったことで、清須市が特産品として保護していくこととし、復活への取組みが進められました。地元農家の協力を得て、3世帯で栽培してもらっているほか、市主催の農業体験塾でも栽培しています。
栽培農家は4軒、収穫は早いと7月の終わりぐらいから8月お盆前までで、年間の収穫量はわずか1500㎏。そのため、市場に出回らない幻のかぼちゃと言われていますが、今年(2022年10月5日時点)は、イオンで販売されました。販売店舗はワンダー店、ノリタケ店、茶屋店、南陽店、八事駅、ナゴヤドーム店、熱田店、大高店です。
土田かぼちゃそのものを購入するのは難しい方には、土田かぼちゃを使った加工品もあるので、そちらで楽しむことができます。
清須市では、土田かぼちゃを名物にしようと地域での動きが広まっており、収穫後は学校給食で提供されるほか、地元の和菓子店や喫茶店が和菓子や洋菓子などの加工品にして販売しています。粕漬け、かりかり梅みそ漬け、どら焼き、ういろう、羊羹、和風ケーキ、プリン、マドレーヌ、クッキー、白玉黒みつがけ、土田かぼちゃカレーなど幅広い商品に加工されています。
中でも、「土田かぼちゃアイス」(1個350円)は、清須市観光協会が商品化したもので、2020年6月から清須市内3カ所で販売を始めています。土田かぼちゃをペースト状にし、牛乳と混ぜて、まろやかな口どけに仕上げたアイスで、清州のおみやげセレクションにも選ばれています。土田かぼちゃの下加工の作業には、愛知文教女子短大の学生が参加し、カップのデザインは、名古屋デザイナー学院の学生が手がけ、産官学が連携して商品化しました。
めったに市場には出ない幻の土田かぼちゃ。もし、出会えたらお見逃しなく。また、清州にお出かけの際には、ぜひ、土田かぼちゃのスイーツなどもお試しあれ。
【参考資料】
清須市HP
清須おみやげセレクション