日本の伝統野菜-47.沖縄県

1.地域の特性

【地理】

沖縄県は、日本列島の南西端に位置しており、東西約1,000km、南北約400kmの広大な海域に広がる49の有人島と多数の無人島の大小160の島々から成っています。直接隣接する県はなく、海に囲まれており太平洋と東シナ海に面しています。

沖縄県の総面積は2,281㎢で全国44位です。沖縄県の可住面積は約1,126 ㎢で、総人口は1,478,938人(2023年4月時点)です。
沖縄県の島々の中では、沖縄本島の面積が最も大きく、南北に細長く、最南端から最北端までの距離は約100kmを有しており、県の面積の約53%を占めています。これに西表島(いりおもてじま)、石垣島(いしがきじま)、宮古島(みやこじま)を加えると総面積の約 83%を占めます。

沖縄県の森林面積は1,069㎢であり、総土地面積に占める森林率は47%で、全国平均の64.3%より低いです。
山地は低山が多く、沖縄県の最高峰は石垣島にある標高526mの於茂登岳(おもとだけ)です。沖縄本島の最高峰は、標高498mの与那覇岳(よなはだけ)です。西表島の最高峰は、標高469 mの古見岳(こみだけ)、与那国島の最高峰は標高231mの宇良部岳(うらべだけ)です。宮古群島にいたっては、島全体がおおむね平坦で低い台地をなしており、最高標高地点は宮古島市城辺字比嘉の113mです。

沖縄県の河川は、沖縄独特の島嶼(とうしょ)地域や亜熱帯性気候といった特性から他府県とは異なる特性を有しています。いずれの河川も流域面積が小さく、流路延長が短くて急勾配となっており、河川流域や平地部が小さいです。流域や河道の貯留能力が極めて小さく、降雨は、ほとんど海へ直接、流れ出ます。年や季節によって、降雨量の変化が大きく、特に常時と洪水時では河川流量の差が大きくなるため、浸水被害や干ばつ・渇水による被害の常襲地帯です。
ちなみに沖縄県北部の本部半島には大変珍しい「塩川(しおかわ)」という川があります。 幅は約4m、長さ約300mの小さな川で、地元では「スガー」と呼ばれています。特異な点は、名前の通り、水が塩辛いことで、塩水が湧き出す川は日本では唯一です。また、世界で見てもたった2か所しかなく、天然記念物に指定されています。

また、西表島では、2023年4月から入島者数の制限を始めました。これは、観光公害を防ぎ、国の特別天然記念物に指定されているイリオモテヤマネコを保護するのを目的とするもので、入島者数の上限は、1日あたり1,200人、年間33万人に設定しています。また、島内の一部地域では、さらに厳しい上限を設け、ガイドの同伴無しでは、立ち入れないほか、車両の速度制限も設けるなど、さまざまな規制・制限があります。

【地域区分】

沖縄エリアに属する南西諸島は、かつて琉球王国(りゅうきゅうおうこく)と呼ばれる王制の国がありました。そのため、今もさまざまなところに「琉球(りゅうきゅう)」の名が残っています。

現在の沖縄県の自治体は11市、5郡、11町、19村があり、町は全て「ちょう」、村は全て「そん」と読みます。地域区分は北部、中部、南部(南部離島)、宮古・八重山に大分されます。

<北部地域 通称:山原(やんばる)地域>
名護市(なごし)、国頭郡(くにがみぐん)国頭村(くにがみそん)・大宜味村(おおぎみそん)・東村(ひがしそん)・今帰仁村(なきじんそん)・本部町(もとぶちょう)・恩納村(おんなそん)・宜野座村(ぎのざそん)・金武町(きんちょう)、伊江島(国頭郡)伊江村(いえそん)、伊平屋島(いへやじま)島尻郡(しまじりぐん)伊平屋村(いへやそん)、伊是名島(いぜなじま)島尻郡 伊是名村(いぜなそん)

<中部地域>
沖縄市(おきなわし)、うるま市(うるまし)、宜野湾市(ぎのわんし)、浦添市(うらそえし)、中頭郡(なかがみぐん)読谷村(よみたんそん)・嘉手納町(かでなちょう)・北谷町(ちゃたんちょう)・北中城村(きたなかぐすくそん)・中城村(なかぐすくそん)・西原町(にしはらちょう)

<南部地域>
那覇市(なはし)、豊見城市(とみぐすくし)、糸満市(いとまんし)、南城市(なんじょうし)、島尻郡 与那原町(よなばるちょう)・南風原町(はえばるちょう)・八重瀬町(やえせちょう)

<南部離島地域(すべて島尻郡に属する)>
久米島 – 久米島町(くめじまちょう)
慶良間諸島(けらましょとう)…渡嘉敷島(とかしきじま)渡嘉敷村(とかしきそん)、座間味島(ざまみじま)座間味村(ざまみそん)
粟国諸島(あぐにしょとう)…粟国島(あぐにじま)粟国村(あぐにそん)、渡名喜島(となきじま)渡名喜村(となきそん)
大東諸島(だいとうしょとう)…北大東島(きただいとうじま)(北大東村(きただいとうそん)、南大東島(みなだいとうじま)南大東村(みなみだいとうそん)

<宮古地域>
宮古島市(みやこし)、宮古郡(みやこぐん)多良間村(たらまそん)

<八重山地域>
石垣市(いしがきし)、八重山郡(やえやまぐん)竹富町(たけとみちょう)・与那国町(よなぐにちょう)

【気候】

沖縄県は黒潮が流れる暖かい海に囲まれており、海洋の影響を強く受けるため、気候区分は亜熱帯海洋性気候に属しており、高温・多湿であることが特徴です。

平均気温は7月から8月が最も高く、1月が最も低くなります。また国内の他の県と比べて 温度差が小さく、年間を通して温暖な気候です。海から吹く風のため夏季でも猛暑日(日最高気温が35℃以上)となることはほとんどありません。

降水量としては、梅雨時期の5月から6月、台風の影響を受けやすい8月から9月にかけて多くなっています。一方、梅雨明け直後の7月や冬季は 降水量が少なくなっています。

【農業の特徴】

沖縄県では、各地域や島ごとの土壌や自然環境を活かした農林水産業が営まれています。

農作物では、さとうきび、ゴーヤー、パインアップル、マンゴーなどの品目が収穫量全国第1位です。農業産出額は、この数年1,000億円前後で推移しています。

さとうきびの生産は、北部地域以外の全域で行われており、地域農業だけでなく地域社会を支えています。温暖な亜熱帯性気候を活かし、本土において国内産が端境期となる冬春期にいんげん、トマト、かぼちゃ等が出荷されており、野菜の国内での安定供給に貢献しています。特に、ニュージーランド産などの輸入品が中心となる2~4月期のかぼちゃでは、国内産はほぼ沖縄県産で占めており、高値で取り引きされています。

2.沖縄の伝統野菜

沖縄県では、「島野菜」とも呼ばれる野菜の中から「おきなわの伝統的農産物」として28種を選定しています。
その選定条件として、以下の3つをポイントとしています。

1.「戦前から食されている」…現在の食生活に定着している、または中高年の世代が幼少の頃に食べていた食材として認識されるものです。

2.「郷土料理に利用されている」…通常の家庭料理において比較的口にするものから、料亭などで提供されるものまで幅広く含みます。

3.「沖縄の気候・風土に適合している」…小規模生産から家庭菜園まで広く栽培されているもので、場合によっては山野菜や野草的な品目も含まれます。

このような定義に加えて、沖縄県のもつ健康長寿県というイメージから、実際にその機能性などが注目されており、今後の研究成果が期待されています。

ここでは、「おきなわの伝統的農作物」に選定されている28品目に加え、沖縄で古くから自生し、食されてきた海藻など全国的に知名度の高い作物もピックアップしてみました。また、伝統的農作物は、方言名に統一しました。

イーチョーバー(いーちょーぱー)

【生産地】本島中部、西原町

【特徴】セリ科ウイキョウ属。和名は茴香(ういきょう)。別名フェンネル。沖縄では、香味野菜として定着している

【食味】甘くスパイシーな香りと、わずかな苦味の風味が特徴。

【料理】天ぷら、魚汁の臭い消し、沖縄風のお好み焼き「ヒラヤーチ」、薬用酒など

【来歴】地中海原産の植物で、日本には平安時代に渡来したとされる。日本では長野県や鳥取県などで多く栽培されている。イーチョーバーの語源は胃腸葉であり、整腸作用のある野菜として認識されてきた。

【時期】通年

ウム(うむ)

【生産地】本島中部、読谷村

【特徴】和名は「さつまいも」「甘藷(かんしょ)」「紅芋(べにいも)」

【食味】上品な甘さで、ややねっとりとした食感が特徴。

【料理】焼き芋、蒸し芋、ウムニー(芋きんとん)、天ぷら、炊き込みご飯など

【来歴】宮古島の要職についていた長真氏旨屋(ちょうしんうじしおく)という人が、1597(慶長2)年に芋かずら(芋の茎)を宮古島に持ち帰ったという説と、1605(慶長10)年に、野國總管(のぐにそうかん)という人が、中国の福建省から禁輸品であった甘藷(かんしょ)の苗を持ち帰ったのが始まりとされる説がある。その後、儀間真常(ぎましんじょう)が栽培の普及に努め、各地に広められていった。いずれも貧困にあえぐ人々は甘藷によって救われ、その功績は今でも語り継がれている。

【時期】8月~1月

ウンチェー(うんちぇー)

【生産地】本島南部、豊見城市

【特徴】ヒルガオ科。和名はよう菜(ようさい)、えん菜(えんさい)、空心菜(くうしんさい)。真夏の沖縄では数少ない貴重な青野菜のひとつ。本州の空心菜と比べ、大きく育ち、茎はとても太く、根元は固い。

【食味】アクを強く感じることがある。

【料理】炒め物、和え物、汁物など

【来歴】沖縄では古くから水田や低湿地帯で栽培されてきた。最近では畑での栽培が主流となっている。

【時期】4月~9月

カンダバー(かんだばー)

【生産地】本島南部、豊見城市、八重瀬町

【特徴】ヒルガオ科のツル性多年草。和名は「かずら」または「やさいかずら」。甘藷(かんしょ)の一種だが、芋は育ちにくく、白色で水っぽい芋。食卓に上るカンダバーは葉や茎を食べるために開発されたもので、一般的なサツマイモの葉や茎よりも柔らかくクセが少ない。

【食味】葉は柔らかく、茎はシャキシャキとした食感で、味にクセはない。

【料理】煮物、和え物、カンダバージューシー(雑炊)など

【来歴】琉球の官吏が中国から沖縄にサツマイモを持ち帰ったのが由来とされる。「ウム・紅芋」の来歴と同様か。

【時期】7月~12月

クワンソウ(くわんそう)

【生産地】本島北部、今帰仁村

【特徴】ワスレグサ科。和名は「あきのわすれぐさ」または「ねむりぐさ」「常葉萱草(ときわかんぞう)」。安眠に効果があるとされ、食用というよりはむしろ民間療法的な利用が多い。ただし、「萱草(かんぞう)」という別名はあるが、漢方薬に使われるマメ科の「甘草(かんぞう)」とは異なる。白くて歯触りの良い茎を茹でて、和え物や煮込み料理に使う。

【食味】しゃきしゃきとした歯ごたえがあり、クセのないさっぱりとした味。

【料理】和え物、酢の物、汁物、炒め物、天ぷら等。若芽や葉、根元の柔らかい部分は和え物に、花は酢の物や天ぷらにして食す。

【来歴】九州列島から南九州まで自生し、沖縄では古くから庭の植栽や家庭菜園に植え薬用・食用に栽培されてきた。歴史的には、琉球王朝の時代から食されていたことが記録に残っている。海外との交易で栄えていた琉球には、中国から多くの冊封使(さっぽうし/さくほうし)が渡来し、琉球王府は冊封使をもてなす贅を尽くした料理の素材にクワンソウが使った記録が残っている。また、琉球王府の医師であった渡嘉敷親雲上通寛(とかしきつうかん)が、中国の北京に留学し、帰国後の1832(天保3)年に著した琉球食療法の指南書「御膳本草(ぎょぜんほんそう)」にも掲載されている。

【時期】通年

ゴーヤー(ごーやー)

【生産地】本島北部、宮古島市、糸満市、本島南部、宮古諸島、今帰仁村

【特徴】和名は「苦瓜(にがうり)」または「つるれいし」。

【食味】つぶつぶの大きいアバシゴーヤー等があまり苦くなく、つぶつぶが小さくて色の濃いものは苦い。苦味が強い場合は、塩もみした後、水気を切ると苦味がやわらぐ。

【料理】チャンプルー、天ぷら、サラダなど

【来歴】ゴーヤーの原産地は、インド東北部で、中国には明代(14世紀末)に伝わり、日本へは中国経由で1596~1615年の慶長年間に渡来したといわれているが、沖縄には本土よりも早く15世紀の前半までには伝わっていると考えられている。

【時期】通年 旬は4月~7月

サクナ(さくな)

【生産地】与那国島、八重山諸島

【特徴】セリ科の常緑多年草。和名は「ぼたんぼうふう」または「長命草(ちょうめいそう)」。

【食味】独特の香りがある。

【料理】和え物、天ぷら、刺身のツマなど

【来歴】沖縄諸島に多く分布している。海岸の断崖(がんぺき)や珊瑚(さんご)石灰岩(せっかいがん)でできた岩場などに多く自生し、濃い肉厚の緑の葉を繁茂(はんも)させる。沖縄の八重山地域では長命草とも呼ばれ、内臓器官に良い効果があるといわれている。千葉県、石川県などにも分布し、海岸の岩場や砂地に生えている。

【時期】通年

シカクマーミ(しかくまーみ)

【生産地】本島南部、八重瀬町

【特徴】和名は「四角豆(しかくまめ)」または「はね豆」「うりずん豆」。断面が四角で、角の部分にひらひらした翼がある。

【食味】コリコリしていて少し苦味がある。

【料理】若さやは軽くゆでて、サラダ類、揚げ物、炒め物、煮ものに使う。

【来歴】沖縄の夏の野菜不足を補うために1980年代に旧:農林水産省熱帯農業研究センター(現:国際農林水産業研究センター) によって研究され奨励された。熱帯地方原産で沖縄を中心に栽培されている。

【時期】5月~6月、10月~12月

シブイ( しぶい)

【生産地】宮古島市、糸満市、本島南部、豊見城市、宮古諸島

【特徴】和名は「とうがん」

【食味】味は淡白でさっぱりしている。肉や魚の旨味が充分しみ込むため,汁物や煮物に適しており、特に豚肉と相性が良い。

【料理】汁物、煮物など

【来歴】アジアの熱帯地方が原産で、日本には5世紀頃中国を通して朝鮮半島から伝来し、栽培されるようになった。

【時期】通年

シマナー(しまなー)

【生産地】本島南部、豊見城市

【特徴】アブラナ科。和名は「からし菜」、別名「チキナー」

【食味】独特の辛味が特徴。辛味がきつい場合は塩漬け(チキナー)にしたり、湯通ししたりすると辛味が和らぐ。色もよく柔らかくなるので和え物やサラダに最適。

【料理】塩漬けしたものをチキナーといい、豆腐などと一緒に炒めて食す。他に炒め物、和え物など。

【来歴】古くから沖縄で親しまれている野菜で、シマナー(島菜)と呼ばれている。原産地は中央アジア、沖縄へは中国から伝わったといわれている。

【時期】通年

ターンム(たーんむ)

【生産地】本島北部、本島中部、宜野湾市、金武町

【特徴】サトイモ科。和名は「田芋(たいも)」。別名「水芋(みずいも)」。水田の中で子芋を次々と増やす事から、子孫繁栄をもたらす縁起物として、沖縄の正月や盆などの行事料理には現在でも欠かせない食材。芋(いも)だけでなく、芋茎(ずいき)も食す。

【食味】独特の粘りと風味がある。芋茎(ずいき)はムジと呼ばれ、繊維を取り除いて調理する。下準備として水に浸してあく抜きをする。

【料理】田楽(でんがく)、揚げ物、炊き込みご飯など

【来歴】水田で栽培される里芋の一種で、南方から伝わったかなり古い作物。

【時期】12月~4月

チシャナバー(ちしゃなばー)

【生産地】糸満市、本島南部

【特徴】和名「かきちしゃ」「ちしゃ」。立ち性で、草丈が1m近くになるため、下葉からどんどんかき取って収穫する。そこから、[掻きチシャ]と呼ばれる。草丈20cmを超えたら収穫開始。

【食味】葉は硬く、苦みがやや強いため、生食には余り向かない。油炒め等で利用する。

【料理】サラダ、白和え、味噌汁

【来歴】古くに中国経由で伝来し、奈良時代から「掻きチシャ(かきちしゃ)」という名で栽培されていた。

【時期】7月~3月

チデークニ(ちでーくに)

【生産地】本島中部、糸満市、本島南部、中城村

【特徴】和名は「島にんじん」。方言で「黄色い大根」を意味する「チデークニ」と呼ばれる。細長く薄い黄色をしており、見た目はゴボウと良く似ている。

【食味】歯ごたえは柔らかく、味は、ほのかな甘みがある。香りはセリに似た独特の爽やかな香り。

【料理】汁物、煮物、炒め物など

【来歴】17世紀にシルクロード、中国を経て、日本に伝わりました。黄色が特徴の沖縄の在来種ですが、一時は東北地方から九州地方まで広く栽培されていたようです。

【時期】10月~3月

チンクワー(ちんくわー)

【生産地】糸満市、本島南部

【特徴】和名は「島カボチャ(しまかぼちゃ)」。夏の暑さや病害虫にとても強く、家庭での栽培にも適し、育てやすい。果実は長期間保存でき、貯蔵野菜としても重宝される。

【食味】少し水っぽく、あっさりしている。乾燥させることで、歯ごたえが出て食感が良くなる。

【料理】炒め物、煮物など。煮くずれせず、炒め物や煮物でも美味しく調理できる。

【来歴】日本カボチャの系統で、沖縄の在来種。現在は、家庭菜園でよく栽培されている。

【時期】10月~6月

デークニ(でーくに)

【生産地】本島北部、本島中部、国頭村、本島南部、大宜味村、南城市、中城村

【特徴】和名は「島だいこん」。沖縄特有の大根で貯蔵性がある。形状は様々なタイプがある。丸々と大きいものが多い。

【食味】瑞々しく、煮崩れしにくい。味染みが良い。

【料理】汁物、炒め物、漬物など。年越しや正月の肉汁に、肉や昆布とともに用いられる。

【来歴】大根は地中海沿岸を原産地とし、日本へは中国を経て伝わり、古くから栽培されている。沖縄に根づいた在来種。各地でしかとれない特産の大根が多くある。青首だいこんに席巻されていたが、最近見直されつつある。

【時期】12月~3月

ナーベーラー(なーべーらー)

【生産地】糸満市、本島南部、南風原町、八重瀬町

【特徴】和名は「へちま」「糸瓜(いとうり)」。沖縄では、ゴーヤーと並ぶ夏野菜の横綱格。開花から約2週間頃の若い実を食用にする。

【食味】食用のヘチマは、形は、太めのきゅうりのようで、ナスやズッキーニのような食感である。果肉は少しぬめりがあり、柔らかく、味は淡白。加熱するととろりと軟らかくなる。みずみずしく、まろやかな甘みがあるが、特有の土臭さを感じることもある。

【料理】味噌煮、炒め物、汁物など

【来歴】中国、インドでは古くから栽培されており、日本には中国を経て渡来した。沖縄には、江戸時代前期に伝来したとされる。現在は、繊維のあまり発達しない品種を栽培しておいる。衝撃に弱く長距離の輸送には向かないため、ほとんどが沖縄県内で消費される。

【時期】通年

ヌービル(ぬーびる)

【生産地】石垣島、八重山諸島

【特徴】和名は「ノビル」。食用には柔らかい若い葉、鱗茎を用います。

【食味】ネギのような辛味とにんにくを思わせる香りとぬめりが特徴。

【料理】若い葉は軽く茹で、酢の物、マヨネーズ和え、煮浸しなど。鱗茎は即席漬けやみそにつけて食す。全草には、ニラに似た香りがある。

【来歴】日本全土の日当たりのよい草地、土手などに普通に群生する多年草。古く中国から渡来した史前帰化植物。万葉集のなかにもヒルとして登場する。繁殖は極めて旺盛で、戦後の食糧難時に、よく炒めて食べていたとされる。

【時期】通年

パパヤ(ぱぱや)

【生産地】石垣島、本島中部、八重山諸島、読谷村

【特徴】和名は「野菜パパイヤ(やさいぱぱいや)」

【食味】パパイヤは煮ると大根のような食感がでる。

【料理】炒め物、汁物、サラダなど。生で食す場合は、少々辛めのドレッシングが合う。調理時は、流水に曝してアクを抜く。炒め物にも良い。

【来歴】熱帯アメリカ原産で、沖縄へは中国から台湾を経て18世紀頃に入ってきたと言われている。熱帯・亜熱帯の気候で育つため、葉野菜が少なくなる暑い夏の貴重な野菜として親しまれている。

【時期】通年

ハンダマ (はんだま)

【生産地】本島南部、八重瀬町

【特徴】和名は「水前寺菜(すいぜんじな)」。葉表が緑色、葉裏が紫赤色している。

【食味】加熱するとヌメリが出るのが特徴。

【料理】サラダ、炒め物、雑炊など。茹でて和え物、雑炊、汁の具にするとほんのり紫に色づく。

【来歴】原産地の熱帯アジアから中国を経由して日本に伝わったとされるキク科の多年草。寒さに弱いため、日本国内では沖縄から南九州の温かい地に自生しているが、石川県では金時草(きんときそう)の名で栽培されている。沖縄では古くから「血の葉・不老長寿の葉」と言われ、民間療法薬としておおいに活躍してきた。

【時期】1月~11月

ヒルンクワー/ヒル(ひるんくわー/ひる)

【生産地】本島北部、本島中部、本島南部

【特徴】和名は「葉ニンニク」

【食味】「にんにく」を直接食べるよりも香りがやわらかく、葉はニラよりも歯ごたえがある。炒め物に向く野菜。

【料理】炒め物、鍋物、和え物など

【来歴】古くに中国より日本へ入ってきたと考えられている。沖縄では15世紀には、すでに葉や鱗茎が食用にされていたとされる。

【時期】1月~3月

フーチバー(ふーちばー)

【生産地】本島南部、八重瀬町

【特徴】和名は西蓬(にしよもぎ)。独特のさわやかな香りと葉が大きいのが特徴。

【食味】茎は硬いが先端に近いところは柔らかく食べられる。基本的に葉を食べる。苦味が少ないので直接食べることができる。

【料理】雑炊、汁物の薬味など。沖縄では古くから細かく刻んでシューシ(炊く込みご飯)に入れたり、肉汁や魚汁、山羊汁の臭み消しや薬味として食されてきた。

【来歴】沖縄県以外では手に入れにくい。

【時期】通年

フーロー豆(ふーろーまめ)

【生産地】本島北部、名護市

【特徴】和名は「十六ささげ」「長ささげ」「大角豆(ささげ)」。形はいんげんに似ているが、いんげんより柔らかく、火が通りやすい。

【食味】柔らかく、淡白でさっぱりとした味わい

【料理】ごま和えやお浸し、油炒め、煮物、天ぷらなど。

【来歴】中央アフリカ、サハラ砂漠の南のサバンナ地帯が原産。日本へは奈良時代に中国から渡来したとされる。沖縄県での文献の記録は、1890(明治23)年に沖縄県農事試験場編が編纂した『花草類真写図(かそうるいしんしゃず)』に記載があり、沖縄ではすでに知られた存在であった。現在、主に愛知県と岐阜県、奈良県及び鹿児島県の種子島や奄美群島から沖縄県を中心とした地域で生産されている。

【時期】5月~10月

フェラムシルー(ふぇらむしるー)

【生産地】石垣島八重山諸島

【特徴】樹上や岩肌に着生する常緑のシダ類。和名は「オオタニワタリ」。温暖な地域で取れ、沖縄や南九州、台湾などにも分布している。葉の長さは1m以上になる。葉先のクルっとした独特の形の新芽の部分を食す。八重山諸島では食用に栽培されており、野菜として食べられている。うぶ毛が生えているので、ブラシなどでよく洗う必要がある。長寿食として地元では人気だが沖縄本島では手に入りにくい。

【食味】野菜と山菜の間のような独特のぬめりとコリコリとした歯触りが特徴。

【料理】天ぷら、お浸し、パスタ、炒め物、煮物のあしらい、精進料理など

【来歴】八重山地方では、行事や祭事などにもよく使われる。

【時期】8月~6月

モーウイ(もーうぃ)

【生産地】本島北部、糸満市、本島南部、今帰仁村

【特徴】和名は「きゅうり」「ニッカ」。果皮は赤茶色で、細かい網目状の模様が特徴。

【食味】果肉は白く淡白な味。胡瓜(きゅうり)に似ているが、胡瓜より締まっており、青臭さがない。

【料理】炒め物、和え物、サラダなど。黒砂糖漬けや酢の物にしても食される。

【来歴】15世紀に中国華南地方から持ちこまれ、琉球王朝時代の宮廷料理の食材だったが、のちに一般家庭へも広がった。台風の多い沖縄では、強風に負けない夏の大事な野菜のひとつとして、農村ではほとんどの家で自家用につくられている。

【時期】7月~10月

ヤマン(やまん)

【生産地】本島北部、本島中部、大宜味村、うるま市

【特徴】ヤマノイモ科。和名は「だいじょ」「山の芋」。東南アジアからアフリカまで、広く熱帯地方で食用とする植物。つるを伸ばして茂り、根の部分に栄養分を貯え、巨大なイモを作る。1株100kgにも肥大することから本島中部地域では、その大きさを競うヤマイモスーブ(勝負)が毎年開催されている。果皮は黒褐色~紅褐色を帯び、可食部は、白色だけでなく紫色(紅ヤマイモ)もある。

【食味】非常に粘りが強い。

【料理】天ぷら、炒め物、煮物など。また、カルカンなどの菓子に加工する。饅頭の皮に入れれば、色粉を使わなくても赤い饅頭が出来る。粘りが強いので、すりおろして油で揚げるなど揚げ物。

【来歴】日本で採れる山芋は大きくジネンジョ、ダイジョ、ヤマノイモの3種類に分けられる。ダイジョは東南アジアを原産とし、アフリカや熱帯アジア、ラテンアメリカなどの広い地域で主食として栽培されている。日本でも沖縄や南九州など一部の地域でわずかに栽培されている。ダイジョは寒さに弱く、12℃以下になるとタネイモが腐るため、寒冷地での栽培が難しいとされる。白色や赤紫色があり、調理用の着色料としても利用できる。

【時期】12月~5月

ラッチョウ(らっちょう)

【生産地】本島北部、宮古島市、宮古諸島、伊江村

【特徴】和名は「島らっきょう」。本土のものより小ぶり。

【食味】香りと辛味が強い。パリパリした食感

【料理】塩もみして生食、炒め物、天ぷらなど

【来歴】平安時代に中国から薬として沖縄に伝来したと言われている。

【時期】1月~5月

ンジャナ(んじゃな)

【生産地】本島南部、八重瀬町

【特徴】和名は「ニガナ(にがな)」。海岸沿いの岩場や砂地に自生するキク科の植物で栄養素が高く、昔はこの青汁を飲んでいたとされる。

【食味】名前の通り、苦味が特徴。

【料理】アクがあるので、和え物や生で食す時は、冷水にさらすして使う。汁物、かき揚げ、生の葉を細かく千切りにし、豆腐とピーナツバターで白和えにするのが一般的。

【来歴】沖縄では,琉球王朝時代から食され、風邪の予防等利用されてきた。

【時期】通年

ンスナバー(んすなばー)

【生産地】本島南部、豊見城市

【特徴】アカザ科。和名は「不断草(ふだんそう)」。次々と葉が絶えることなく出てくるので、「不断草」と呼ばれるようになったとされる。暑さと乾燥に強くよく繁殖するので、沖縄では終戦後、野菜が少なかった時期によく食べられていた。次々に葉が出てくる野菜には、アブラナ科の「高菜(たかな)」があるが、「ンスナバー」はほうれん草と同じアカザ科。うちわのように肉厚で、中央の太い大きな葉脈が特徴。

【食味】葉は柔く、茎はシャキシャキとした食感。アクが強いため必ず下茹でをする。

【料理】炒め物、汁物など

【来歴】原産国は南ヨーロッパで、シチリア島では紀元前から栽培されていたとされる。日本へは中国を経て明治時代に伝えられた。

【時期】12月~5月

以上が、「おきなわの伝統的農作物」28種です。

 

以下は、ちょっと珍しい作物や野菜ではありませんが、よく知られている海藻類をご紹介します。

阿檀(あだん)

【生産地】南西諸島、小笠原諸島

【特徴】タコノキ科。南西諸島と小笠原諸島で自生する植物。パイナップルのような実をつけるが、果実は繊維質で細かいトゲを持っているため食用には適していない。葉芯の白っぽく柔らかいところを8-10㎝切り取って食用とする。八重山地方では、アダンの新芽を湯がいてあく抜きし、煮物や炒め物として食べることがある。新芽は、1本の木から15cmほどしか採取できない。

【食味】見た目も味も筍(たけのこ)のよう。ほのかに甘いが、あく抜きが不十分だったりすると唇がヒリヒリとしたような痛みを伴うことがある。

【料理】新芽の天ぷら、炒め物、精進料理など

【来歴】沖縄では古くからアダンの葉を煮て乾燥させ、繊維をゴザやかごに加工して利用されてきた。現在ではあまり食用にされない。

【時期】

東邦大学医療センター 大森病院東洋医学科(鍼灸・漢方)「日本の土壌と文化へのルーツ41[医食同源としての沖縄」

島唐辛子(しまとうがらし)

【生産地】沖縄県全域、石垣島、久米島、宮古島

【特徴】木立唐辛子(きだちとうがらし)の一種。沖縄の島野菜を代表する激辛の唐辛子。1本の長さは3cm程、太さ1cm弱。8月〜11月の期間に何度も実をつけるといいう特徴がある。

【食味】一般的な唐辛子よりも絡みが強く、熟す前の「青唐辛子」としても熟してから「赤唐辛子」としても食べることができる。

【料理】調味料

【来歴】18世紀に薩摩藩を経由して沖縄に伝わってきたとされる。沖縄の方言では「コーレーグース」と呼ばれている。その語源は高麗(こうらい)の薬(くすり)という意味の「こうらいぐすい」が訛ったものと言われている。今は、沖縄の人にとって、「コーレーグース」は「島トウガラシを泡盛に漬け込んだ調味料」を指すことが多い。また、ナスミバエという害虫の拡散を防ぐため、生の島トウガラシを沖縄県外に持ち出すことは禁止されている。乾燥したもの・加工品は持ち出しOK。

【時期】8〜11月

多良間島黒ささげ(たらまじまくろささげ)

【生産地】多良間島

【特徴】宮古地方では、宮古地方では昔から「黒小豆(くろあずき)」と呼び、常食されている。小豆(あずき)と付いているが、植物学上では「ササゲ」。宮古島では,「ふきゃぎ」や「ふちゃぎ」とも呼ばれている。

【食味】柔らかく甘味がある。一般的な小豆と比べ、栄養価が高い。特にアントシアニンが豊富。

【料理】ぜんざい、小豆ご飯など

【来歴】さとうきび畑の裏作に栽培されている。島の人は味の濃い「黒小豆」(黒ささげ)を好み、畑の緑肥用として作られ、各家庭で自家消費されている。多良間島では「黒ささげ」を黒糖に次ぐ特産品に育てようと取り組んでいる。ちなみに、山口県では、「武士は小豆を煮て皮が割れることを『切腹(せっぷく)』と結びつけ嫌がり、赤飯には必ずささげ豆を使っていた」とされ、現在でも赤飯にはササゲ豆が使われている。

【時期】5月~9月

日本の郷文化「多良間島の名産物」

アーサ(あーさ)

【生産地】北中城村

【特徴】和名は「ヒトエグサ」。沖縄の岩場に生える緑色海藻。「アオサ」とも呼ばれるが、一般的な「アオサ」とは分類学上異なる。

【食味】味は淡白だが、深いコクと磯の香り。

【料理】汁物、卵焼きや麺類のトッピングなど

【来歴】不明だが、琉球王国時代の栄養学書「御膳本草(ぎょぜんほんぞう)」のコケ類の欄には、乾苔(あおのり)や、地衣(はたけあをさ)との記載がある。現在では、養殖も盛んで、沖縄県内では、北中城村や、恩納村・宮古島などが主な生産地。

【時期】1月~4月

海ぶどう(うみぶどう)

【生産地】自然の群生は宮古島の一部

【特徴】熱帯性のイワズタ科の緑藻。標準和名は「クビレズタ」。別名「グリーンキャビア」とも呼ばれる。天然海ぶどうが多くみられる宮古島では「ンキャフ」と呼ぶ。「海ぶどう」という名の如く匍匐(ぶどう)茎をのばし、その途中からさらに直立する茎が生え、細かな粒が密生する。この部分を食用する。特殊な外見を持つが、実際は複数の核を持つ単細胞からなる、珍しい植物。

【食味】プチプチとした独特の食感とさっぱりとした海の香り。

【料理】生でサラダや刺身の添え物、和え物、丼物など

【来歴】もともとは沖縄本島にはなく、宮古島の一部の湾にしか自生していなかった。現在、養殖生産量1位は沖縄県。恩納村や久米島が主産地。独特の食感から人気が高い特産品。

【時期】通年

沖縄もずく

【生産地】久米島

【特徴】ナガマツモ科の海藻。沖縄では「スヌイ」と呼ばれる。独特のぬめりと柔らかさを持ったこの黒っぽい褐色の色のもずく。天然の「沖縄もずく」は、全体の1%ほどしかない。自生している「もずく」をひとつひとつ丁寧に手摘みして収穫する高級食材。

【食味】独特のぬめりと柔らかさを持つ。

【料理】酢の物や天ぷら、味噌やピーナッツ和えなど

【来歴】南西諸島で古くから食用されてきた。琉球王朝の薬膳料理に、「沖縄もずく」の酢の物や天ぷらが記録されている。

養殖の「もずく」は、恩納村漁業研究グループと水産業改良普及所の共同研究により、1975(昭和50)年から養殖手法の実証試験を行い、1977(昭和52)年に初めて養殖もずくが水揚げされた。その後、様々な改良・試験を繰り返し、現在の養殖技術が確立された。現在、養殖されている種類としては「沖縄もずく」(通称:フトモズク)と「もずく」(通称:イトモズク又はホソモズク)の2種類があるが、ほとんどは「沖縄もずく」。

【時期】4月~6月

 

【参考資料】
沖縄県の市町
沖縄県農林水産部流通・加工推進課「おきなわ農林水産物データベース」
沖縄県「沖縄の伝統的農産物 おもしろ草紙」
東邦大学医療センター 大森病院東洋医学科(鍼灸・漢方)「日本の土壌と文化へのルーツ41[医食同源としての沖縄」
日本の郷文化「多良間島の名産物」

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