西洋カボチャの走りの品種 加賀野菜の打木赤皮甘栗かぼちゃ

もうすぐハロウィンですね!

ハロウィンは本来は収穫祭

ハロウィンは、毎年10月31日に行われる夜祭りです。街には、カボチャをモチーフにしたものをはじめ、さまざまハロウィングッズがあふれています。

ハロウィンの起源は、古代ケルト民族が行っていた行事で、秋の収穫を祝うとともに悪霊を追い払う宗教儀式「サヴィン祭」であるとされます。

この日は、子どもたちが、お化けや悪霊の格好をして、近隣の家々を「Trick or Treat(お菓子をくれないといたずらするぞ)」と脅しながら回り、お菓子をもうという風習があります。お菓子を渡すことで悪いものや災いに去ってもらうという意味合いがあるそうです。

日本でも、日本風ハロウィンを楽しむ人々が増えてきており、全国的にイベントなどが開催されています。近年は、仮装した若者たちが東京・渋谷に自然発生的に集まり騒動になったことで知名度が高まるとともに、年中行事の一つになりつつあります。

ハロウィンの飾り物

日本にある赤皮カボチャは?

カボチャで作るジャックオランタン

さて、そんなハロウィンに欠かせないのが、「Jack-o’-Lantern(ジャックオランタン」という提灯です。カボチャくり抜いて作るものだと思っていましたが、本来は橙色のカボチャではなく、白いカブを使うのだそうです。さすがに今は、カボチャでもカブでもなく陶器やプラスチックで作られたものがほとんどです。

ジャック・オ・ランタン

日本には少ない橙色のカボチャ

もし、手作りで「ジャックオランタン」を作ろうと思っても、日本では橙色のカボチャは、なかなか手に入らないと思います。

そこで、今回は、カボチャつながりとして、伝統野菜の中でも美しい橙色をしている「打木赤皮甘栗かぼちゃ(うつぎあかがわあまぐりかぼちゃ)」をご紹介したいと思います。高級野菜なので、ジャックオランタンを作るのではなく、調理して食べてくださいね。

加賀野菜の打木赤皮甘栗かぼちゃ

市場に多いのは西洋カボチャ

日本におけるカボチャの種類は、西洋カボチャ、日本カボチャ、ペポカボチャの3つに大きく分けられますが、市場に出回る多くの品種は西洋カボチャです。果皮の色には、灰緑色の青皮系、濃緑色の黒皮系、朱色の赤皮系などがあります。

黒皮系かぼちゃ

 

「打木赤皮甘栗かぼちゃ」は、石川県の伝統野菜である加賀野菜の一つで、金沢市打木町で生産されている固定種です。

打木赤皮甘栗かぼちゃ

打木赤皮甘栗かぼちゃ 果実

果皮の色が特徴的

「打木赤皮甘栗かぼちゃ」は、西洋系カボチャの一種で、福島県会津の「赤皮栗かぼちゃ」を石川県金沢市に導入したものです。赤皮栗かぼちゃは、会津栗(あいづくり)かぼちゃ、甘栗(あまぐり)かぼちゃとも呼ばれています。

特徴は、その外見にあり、果皮が色鮮やかなオレンジ色をしています。形状はコブのない丸みのある果実で、ヘタの部分が飛び出しており、パッと見るとタマネギのようなシルエットです。重さは約1.1kgほどで、小ぶりなものがほとんどです。

西洋カボチャの走りの品種

会津から金沢へ

「打木赤皮甘栗かぼちゃ」は、1916(大正5)年頃に福島県会津で育成された西洋カボチャの走りである品種の赤皮栗(あかあがわくり)を、1933(昭和8)年に金沢市打木町の篤農家である故・松本佐一郎氏が導入したそうです。着果性や色味の良いものを選抜して育成し、1943(昭和18)年頃にほぼ完成し、戦後発表された品種なのだそうです。

戦後は、金沢市安原地区で栽培が広まり、1952~53(昭和27~28)年頃には、金沢市の砂丘地はもちろん、関西・関東方面にも栽培が広まりました。

鮮やかな果皮の色で人気に!

当時は、まだ日本カボチャが主流であり、果皮は黒緑色でコブが多い外見のものがほとんどの中で、「打木赤皮甘栗かぼちゃ」は、果皮の色が鮮やかな橙色で美しく、果肉が厚くて甘いことから、金沢の料理の彩りとして使われるなどし、京阪市場でも圧倒的な人気となったそうです。

しかし、その後、えびすカボチャの台頭や消費者趣向の変化から「打木赤皮甘栗かぼちゃ」需要が減っていきました。

再び市場から引き合い

徐々に栽培面積が増加

近年は、わずか栽培されている程度となっていましたが、最近は市場からもひきあいが増加しつつあり、徐々に栽培面積が増えてきているそうです。

「打木赤皮甘栗南瓜」は、伝統野菜の中でも、珍しい赤皮のカボチャです。皮は、薄く柔らかいので、そのまま調理することができます。キレイな色の皮をそのまま調理することができます。「甘栗かぼちゃ」とも呼ばれることでもわかるように、果肉は、とても甘く、食感も水分量が多く、ねっとりとしています。そのため、煮物やスープに使われたりします。

出荷時期は6~7月ですが、丸ごと保存するなら、冷暗所で2~3ヶ月は保存できます。7月下旬に収穫したものであれば、ちょうどハロウィンまで持ちますね。

甘くて、水分量の多いため、カボチャプリンにもピッタリです。次のハロウィンには、「打木赤皮甘栗南瓜」を使ったスイーツはいかがでしょうか?

ハロウィンのスイーツ

※当協会はカボチャプリン推していますw

 

【参考資料】

加賀野菜「打木赤皮甘栗かぼちゃ」

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