日本人の野菜の摂取量は減少している!? 野菜のフィトケミカルで体の酸化を防ごう!
1日の平均野菜の摂取量は?
政府が主導する「健康日本21」では、掲げている日本人の成人の1日の野菜摂取量の目標は、350gです。
しかし、2018年9月に発表された平成29(2017)年国民健康・栄養調査によると、日本人の1日の平均野菜摂取量は288.2gと目標の8割ほどにとどまっています。
年代別に見ると、60歳代がもっとも多く野菜を摂取していますが、働き盛りの20~40歳代では、7割ほどしか摂取できていません。男性では30歳代が257.1gと少なく、女性では20歳代がなんと218.4gと目標の6割ほどしか摂取できていないという結果でした。(厚生労働省:平成 29 年国民健康・栄養調査結果の概要 P21より)
さらに、農林水産省の食料需給表からも野菜の供給量も、国民一人あたりの年間の供給量が、昭和60(1985)年の111.7kgに対して、平成28(2016)年には88.6111.7kgに減少しており、野菜の摂取量は減少していることがわかります。この7年ほどは、ほぼ横ばいで推移しており、100kgを超えることはありません。
このような野菜摂取量の減少は、欧米化した食生活の変化が大きな原因と考えられています。
農林水産省大臣官房政策課食料安全保障室 平成29年度「食料受給表」(参考3)より野菜の数値のみみ抽出して作成
和食でフィトケミカルを摂取
これまで、日本人が食べてきた和食は、穀類を主食に、魚、野菜、豆、海藻を副菜とし、野菜や発酵食品の摂取も多く低カロリーでした。
和食によく使われる食材である野菜、豆類、芋類、海藻、お茶や果物、ハーブには、「フィトケミカル」(ファイトケミカル)という植物に由来する生理活性物質が含まれています。必須栄養素ではありませんが、体に良い作用をするので、健康維持には、進んで摂取したい成分です。
たとえば、ブドウから作られる赤ワインに含まれるポリフェノールやブルーベリーに含まれるアントシアニンなどは聞いたことがあるのではないでしょうか。大豆に含まれるイソフラボンやサポニンも有名なフィトケミカルです。サポニンは渋みや苦味の成分で、抗酸化作用に加え、脂質やコレステロールを除去する働きがあるとされています。
ほかにもニンジンやカボチャに含まれるβカロテンやホウレンソウ、ケールに含まれるルテイン、ブロッコリーやキャベツに含まれるスルフォラファンなど発見されているものだけでも約500種類ほどあり、現在も研究が進められています。
注目は抗酸化作用
野菜のフィトケミカルの作用のなかでも、特に注目されているのが、抗酸化作用です。
体におけるDNAやたんぱく質といった生体成分の酸化は、さまざまな病気や老化の原因になると考えられており、がんや認知症、生活習慣病とも密接な因果関係があるといわれています。
この酸化を防ぐためにも抗酸化作用のあるフィトケミカルを摂取することが予防に役立つと期待されています。フィトケミカルは外敵から身を守る成分でもあるため、ビニールハウスや農薬で守られず、紫外線や害虫などにさらされて育った無農薬野菜などは特にフィトケミカルの量が多くなります。また、傷のある野菜にも傷を治そうとする力を働かせているためフィトケミカルが多いとされています。
野菜の食べ方としては、フィトケミカルは特に皮と実の間や種に多く含まれているため、よく洗って皮ごと使うと良いのですが、農薬の問題もあるので、そのあたりのさじ加減が難しいところです。古くからある調理法などは野菜の特徴を活かしているので、参考になります。いろいろな野菜をバランスよく食べてフィトケミカルを摂取したいものです。
【参考資料】
平成 29 年国民健康・栄養調査結果の概要
農林水産省大臣官房政策課食料安全保障室 平成29年度「食料受給表」