秋の味覚といえば?-完全甘柿三重多気町発祥の「前川次郎柿」-
栄養価の高い「kaki」は海外でも人気
秋の味覚は?と聞かれたら何を答えますか?
さつまいも、梨、かぼちゃ、栗、ぶどう、そして、柿…。
「食欲の秋」といわれるこの時期、美味しくて栄養価が高い食材がたくさん収穫されます。
今回は伝統野菜ではありませんが、日本の伝統果物「柿」についてご紹介したいと思います。
柿は古くから日本で栽培されてきた果物です。近年「kaki」としてアジアやヨーロッパでも名前が知られ海外でも人気です。旬の時期は品種によって異なりますが、主に9~12月が旬。10~11月には最も数多くの品種が店頭に並びます。
「柿が色づくと医者が青くなる」といわれるほど栄養価の高い果物で、タンニンをはじめ、ビタミンCやカロテン、食物繊維などを多く含んでいます。
柿の渋みはタンニンという栄養素
柿の渋みのもとであるタンニンにはアルコールを分解する作用があります。また、利尿作用のあるカリウムも豊富に含んでいるため、二日酔いの朝に食べるとよいと言われます。タンニンは、渋柿、甘柿のどちらにも含まれています。渋柿のタンニンは水溶性で口に入れた時に唾液で溶けて渋味になります。甘柿は不溶性で口の中で溶けないため渋味を感じず摂取できます。
もともと柿はどれも渋柿で、甘柿というものはありませんでした。渋柿の突然変異でできた甘柿に品種改良を重ねてできたものです。現在、柿のタイプは大きく5つに分類できます。
完全甘柿 | 甘柿の中で、種が入らなくても渋みが抜けるものを完全甘柿という。甘味が強いのが特徴 | 次郎柿や富有柿など |
不完全甘柿 | 甘柿の中で種が多く入ると渋みが抜けるものを不完全甘柿という。種ができないと渋柿になる傾向がある。渋抜きをして出荷。 | 西村早生柿、禅寺丸、筆柿など |
不完全渋柿 | 熟しても硬いうちは渋みが残る柿で、生食向けには、アルコールや炭酸ガスを使って渋抜きをして出荷。 | 刀根早生柿や平核無柿など |
完全渋柿 | 渋柿の中で、種が入っても渋いままのものを完全渋柿という。渋抜きをすると程よい甘みになる。 | 西条、愛宕など |
変種 | 外皮が艶のある黒い色になるものや、小さな実のものがある。中国から持ち込まれたとされ、柿渋を取るのに使われてきた。 | 黒実柿・黒柿や豆柿(信濃柿、小柿)など |
<参考資料>農林水産省ホームページ「柿の種類」
甘柿の見分け方
甘柿か渋柿かの見分け方ですが、一般的には平たくて四角い形で重さがあるのが甘柿、丸い、もしくは細長い形で先がとがっているのが渋柿と言われています。しかし、品種が多く様々な形があるため、実際には見かけで正確に知ることは容易ではありません。
見かけで選ぶポイントとしては、実に黒い点々が出ているものは甘い確率が高いです。食べる人には嫌がられることもあるのですが、実に黒い点がいくつも浮き出ているのはタンニンが溶け出ていないため渋みが少ないサインです。
完全甘柿、三重・多気町発祥の前川次郎柿
美味しい柿を食べるのであれば品種で選ぶのが確実です。
甘柿の品種として有名なものには富有柿や次郎柿がありますが、ここでは、三重県の伝統果物で多気町が発祥とされる「前川次郎柿」をご紹介します。
甘柿の最高級品として知られる「次郎柿」ですが、多気町の「前川次郎」は、今から63年前の昭和32年(1957)に生産者の前川唯一氏が自園の次郎柿の中に特別早く熟する枝を発見したものです。これを「前川次郎」と命名しました。その後、全国で栽培されるようになりましたが、やはり発祥の地の風土・気候に適応して変異した品種ならば、発祥の地の歴史と文化を感じながら現地のものを食したいもの。
品質は、肉質がやや硬く「次郎は歯で食べる」と言われるほど歯ごたえが良いのが特徴です。種はなく、シャキシャキした食感があります。甘味は強く、富有柿より糖度が高くなります。ビタミンCはみかんの2倍と栄養もたっぷり。この「前川次郎柿」は多気町のふるさと納税のお礼の品にもなっています。
多気町には、全国でも珍しい高校生レストランがあります。調理師を目指す相可高校食物調理科調理クラブの生徒が先生の指導のもとでレストランの経営と調理を行っています。地元の食材を最大限に使って考えられたメニューを揃えた人気のレストランです。
高校生たちは、天候の影響により表面にキズがついてしまい出荷できない柿が多量に出た時も、「農家が丹精込めて育てた柿の表面にキズがあるだけで、流通できないのはもったいない、少しでも農家のためになりたい」と立ち上がり、柿クッキーや柿のシュトーレンなどを作って応援しました。こちらも多気町のふるさと納税のお礼の品です。
柿を使ったさまざまなレシピ
柿は栄養価が高く、食後のデザートにもぴったりの果物ですが、大量にあると消費しきれないこともありますよね。そんな時には、ぜひ、スイーツや料理に使ってみてください。
熟しすぎた時は、冷凍するとシャーベットのようになり、美味しくいただけます。
また、牛乳があれば、なんとゼラチンも卵も使わずに、とろとろの「柿プリン」が作れます。柿と牛乳、砂糖をミキサーに入れて攪拌し、容器に入れて3時間ほど冷やすだけ。これは、牛乳のカルシウムと柿のペクチンで固まるからなのです。(そのため豆乳だと固まりません)
ほかにも「柿のなます」「柿サラダ」「柿ジャム」「柿マフィン」「柿のドライフルーツ」「柿のヨーグルト和え」「柿クッキー」「柿マヨネーズ」「柿羊羹(ようかん)」「柿酢」…。バターやオリーブオイルで炒めたり、鍋に柿を入れたりする方もいらっしゃいます!もちろん、ピューレやパイにも使えます。調理のバリエーションは、とても豊富なので大量購入しても、きっと全部使えちゃいますよ。
渋柿から甘柿に至るまで調理の仕方でバリエーション豊かな食べ方ができる柿。
この秋は、美味しい柿で、いろいろな料理を楽しんでみてはいかがでしょうか?
【関連資料】
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