冬でも熱い戦い!全国学校給食甲子園-朝倉山椒で兵庫県・養父市立学校給食センター初優勝
養父市立学校給食センターが初優勝
日本中の学校給食の献立を競い合う「全国学校給食甲子園」では、毎年「地場産物を活かした我が校の自慢料理」をテーマに熱い戦いが繰り広げられます。
同大会は、NPO法人21世紀構想研究会が主催しており、文科省、農水省、全国学校栄養士協議会、日本給食サービス協会など9団体が後援。キユーピー、日清食品ホールディングス、マルハニチロ、三島食品、学校給食用食品メーカー協会など49の企業・団体・個人が協賛しています。
今年は、1,701校(給食センター含む)からの応募があり、4次にわたる予選を経て、6ブロックの代表12校が選出されました。
決勝大会は、2018年12月8~9日に東京の女子栄養大学駒込キャンパスで行われました。1日目は、食育授業コンテントで地域の食材プレゼンテーションが行われます。2日目は、実際に60分以内に6食の給食を調理して、厳正な審査を受けます。
選考基準は、文部科学省の学校給食摂取基準をクリアしていること、衛生管理を徹底し調理できていること、地場産物の特色を生かし、子どもが喜ぶおいしい献立であることなどがポイントになります。
そして、見事、優勝を勝ち取ったのは兵庫県の養父(やぶ)市立学校給食センター!
初優勝を飾りました。
伝統野菜の朝倉山椒を活かす
養父市は、兵庫県の北部に位置する中山間地農業地で、伝統野菜の朝倉山椒(あさくらざんしょう)という特産品が有名な地域です。但馬地方では「朝倉さんしょ」と呼んでいます。
朝倉山椒は、養父市八鹿町朝倉が発祥の地とされ、八鹿朝倉村の豪族朝倉氏とその地名から朝倉山椒の名がついたとされます。
400年以上にわたり、この地で栽培されてきた歴史を持ち、豊臣秀吉が白湯に焦がした山椒を入れて飲み、「風流」と喜んだという記録や生野奉行の間宮直元が徳川家康に献上したという記録が残っています。当時は、高級贈答品として珍重され、庶民の口には入らなかったようです。現在では、地域ブランド「朝倉さんしょ」として盛んに栽培されています。
朝倉山椒の特徴は、木にはトゲがなく、雌雄の木のうち、雌木に山椒の実は大粒で、鮮やかなグリーンをしています。また、ほかの山椒に比べて柑橘系の爽快な香りのリモネン、ペパーミントのような香りのフェランドレンの芳香成分の割合が多く、柑橘系のフルーティーな香りがするため、香り高い山椒として知られています。
味わいは、山椒特有の渋みが少なく、まろやかな味とピリリとした辛味があり、さまざまな料理の味を引き立てます。実が柔らかく加工に適しているため、フランス料理のペーストである「タプナード」や、山椒ジェノベーゼ、山椒味噌、山椒佃煮、ぺペロンオイルなどの商品がつくられています。
優勝した献立は文化や歴史にも触れる
優勝した献立は、浅黄豆入り古代赤米ごはん、白身魚のマヨネーズ焼き~朝倉さんしょうソース~、れんこんのごま酢あえ、八鹿豚とやぶ野菜の豚汁、畑ヶ中の富有柿、牛乳で、地産地消で養父市産の食材がふんだんに使用されています。
「浅黄豆入り古代赤米ごはん」は、養父市の児童・生徒が考案した学校給食献立を表彰する「養父市学校給食甲子園」で2016(平成28)年度に入賞した献立である「古代赤米ごはん」に、兵庫県下の在来種の青大豆である「八鹿浅黄(ようかあさぎ)」を加えた献立とのこと。
養父市で作られる赤豆は、約1,300年前に平城京に献上された記録もあり、文化や歴史にも、しかっり触れることができる献立になっています。
養父市学校給食センターは地域の小中学校22校に給食を届けています。地域の食材を通じて、地域の文化や歴史を学びながら、食べる美味しい給食は楽しいですね。
養父市立学校給食センターの皆さま、この度の初優勝おめでとうございます!
【参考資料】
養父市HP第13回全国学校給食甲子園決勝大会で優勝
やぶ市観光協会「朝倉山椒」
養父市「まちの文化財(86)徳川家康と朝倉山椒」