名古屋駅前で伝統野菜「愛知本長なす」がお出迎え -名古屋の玄関口でPRのために観賞用として栽培-

高層ビル群が空を覆うようにそびえ立つ名古屋駅は、東海地区の玄関口として、1日あたりの平均乗降客数約111万人(新幹線含む)が利用する国内でも主要な駅の一つです。

名古屋駅高僧ビル群

名古屋駅高僧ビル群

名古屋駅桜通口前のタクシー乗り場の東側には、名古屋を訪れた方をおもてなしする「花の環花だん」があり、四季折々に、彩り豊かな花が植えられ、行き交う人々の目を楽しませてくれています。

その一等地の花壇に、今年はなんと野菜が登場しました。

名古屋駅前「花の環花だん」

名古屋駅前「花の環花だん」

植えられたのは、愛知県の伝統野菜である「愛知本長なす」。この花壇に野菜が植栽されることになったきっかけは、昨年(2022年6月)に、名古屋市の許可を得ず、「無断」で、ナスやピーマン、トウモロコシが栽培されるという出来事があったためです。

通常、名古屋市では、植え込みを利用するには企業・団体などの申請が必要で、栽培できるのは原則、花などで鑑賞用として楽しめるものに限られており、野菜は収穫物にあたるとして認められていませんでした。「花の環花だん」は、名古屋市が管理する場所であるため、野菜畑には撤去の要請が出されましたが、この一件はSNSでも話題となり、「撤去する・しない」で市民を巻き込んだ論争となりました。結果、野菜を植えた方が自主的に撤去されましたが、名古屋市の河村市長の後押しもあり、あらためて市の主導で「公式」に野菜が植栽されることになりました。

今年は、「あいちの伝統野菜」をPRするというコンセプトで、あま市産の「愛知本長なす」が植えられています。ナスは花壇に直接植えるのではなく、プランターに植えられ、その周りを花々が囲う形を取っています。これは、単純にどの植物でも同じ土壌に植えれば良いというわけではないからでしょう。管理方法や植栽の手間が異なったり、他の植物の生長に影響するアレロパシーを考慮したり、展示野菜の入れ替えが簡易に行えるよう配慮されているのだと思われます。

愛知本長なす

愛知本長なす

ここで栽培されるものは観賞用に限られているため、野菜でも収穫物として取り扱われないかもしれませんが、もちろん、野菜にも花は咲きますし、スーパーで売っている野菜しか見たことのない子ども達への学びにもなることと思います。いずれにせよ、「無断栽培」から転じて「公式」に伝統野菜を植栽されるようになったことは、新しい視点で地域をPRすることができ、喜ばしい限りです。

「本長なす」の隣に置かれた看板には「名古屋市」の名前とともに、詳しい説明が書かれています。看板の下の方には、「名古屋生まれのあいち伝統野菜もあるでよー!」「秋まで待ってちょうだゃあよ!」というコメントも記載されています。

「愛知本長なす」の横に立てられた案内板

「愛知本長なす」の横に立てられた案内板

名古屋市の伝統野菜は、現在、「八事五寸にんじん(やごとごすんにんじん)」、「大高菜(おおだかな)」、「愛知大晩生キャベツ(あいちだいばんせいきゃべつ)」、「野崎白菜2号(のざきはくさいにごう)」、「徳重だいこん(とくしげだいこん)」の5品種が認定されています。今後、これらの伝統野菜も展示されるようになることが期待できます。

現在、「愛知本長なす」は、名古屋駅前のほか名古屋市役所前にも植えられています。名古屋駅や名古屋市役所を訪れる際には、ご覧になってみてはいかがでしょうか。

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