気になるニオイが野菜で変わるかも!?加齢臭や腸内環境の悪化による体臭を改善するおススメ野菜はこれだ!

この季節、毎日のようにうだるような暑さが続いていますね。外に出るだけでじっとり汗ばみ、気づけばシャツが肌に張り付くほど濡れてしまうことも。そんな時、ふと気になるのが体臭。「もしかして、私、ニオってないかな…?」という不安な気持ちになりませんか?

汗は、時間が経つにつれて独特のニオイに変わってしまうことがあります。汗そのものはほとんど無臭ですが、それが皮膚の表面にある常在菌などと混ざり合うことで、体臭の原因となる物質が発生します。汗と体臭には密接な関係があるのです。そして、実は、この体臭、毎日の食生活、特に野菜の摂取量とも密接に関わっているのです。

ここでは、体臭改善に野菜が効果的である理由をみて、体臭改善効果のある野菜の具体的な活用法をご紹介します。
この夏は、体臭のためにも、たくさん野菜を食べましょう!

体臭の正体と発生メカニズム

なぜ、体臭は発生するのでしょう?まずは、体臭のメカニズムを理解することが、適切な対策を講じる第一歩です。

体臭は単一の原因で発生するわけではなく、様々な要因が複雑に絡み合って生じます。ここでは、体臭の原因と発生のメカニズムをみていきたいと思います。

アポクリン汗腺からの汗と常在菌

体臭の最も一般的な原因は、アポクリン汗腺から分泌される汗です。アポクリン汗腺は、ワキの下やデリケートゾーン、乳輪など、特定の部位に集中しており、皮脂腺と連携しています。ここから出る汗には、タンパク質、脂質、アンモニア、尿素、ミネラルなどが含まれています。
分泌されたばかりの汗自体はほぼ無臭ですが、これが皮膚表面の常在菌(特にブドウ球菌など)によって分解される際に、特有のニオイ物質(低級脂肪酸、フェノール類、アンモニアなど)が発生します。これが、いわゆる体臭の主な原因となります。

皮脂の酸化と加齢臭

年齢を重ねると特に気になり始めるのが加齢臭です。これは、40代以降に増加するとされる「ノネナール」という物質が主な原因とされています。「ノネナール」は、古い油、ろうそく、枯れ草、腐ったチーズのような臭いに例えられます。皮脂に含まれる「パルミトオレイン酸」という脂肪酸が、活性酸素によって酸化・分解されることで生成されます。加齢とともに抗酸化力が低下したり、皮脂の組成が変化したりすることで、「ノネナール」が発生しやすくなると考えられています。ちなみに、ふんわり甘い赤ちゃんの匂いは、「ノナナール」です。紛らわしいですね。

そして、健康な10~20代前半の女性に多いのが「ラクトン」という桃のような甘い匂いの成分です。「ラクトン」は20代後半から減少し、30代以降で激減するそうです。これは、女性ホルモンの分泌や腸内環境のよさ(善玉菌であるビフィズス菌の多さ)に関連があることがわかっています。一方、加齢臭の原因となる「ノネナール」は30代後半から増え始め、40代以降で急激に増加します。

「ノネナール」を抑え、「ラクトン」を直接増やす方法は不明ですが、いずれも体内で自然に生成される成分であるため、分泌量は体質やホルモンバランス、食生活など様々な要因に影響されます。特に腸内環境を整えることは体臭改善に有効だと考えられます。

腸内環境の悪化による体臭・口臭

口臭や、体から発せられる独特のニオイの中には、腸内環境の悪化に起因するものも少なくありません。肉や乳製品などの動物性タンパク質や脂質を過剰に摂取すると、腸内で悪玉菌が優勢になり、未消化のタンパク質が腐敗発酵します。

この過程で、アンモニア、硫化水素、インドール、スカトール、アミン類といった、強い悪臭を放つ物質が生成されます。これらの物質は腸から吸収されて血液中に入り込み、肺を経由して口臭として、また汗や皮膚ガスとして体外に排出されることがあります。便秘がちな人や、偏った食生活を送っている人に多く見られるタイプの体臭です。

疲労臭とストレス臭

「疲労臭」というものもあります。疲労が蓄積すると、体内でエネルギー代謝が滞り、乳酸やアンモニアといった疲労物質が蓄積されやすくなります。特にアンモニアは強いニオイを放ち、汗や呼気として排出されることで「疲労臭」として感じられることがあります。
また、近年研究が進んでいるのが「ストレス臭」です。ストレスを感じると、体内で特定の揮発性成分(例えば、アリルメルカプタンなど)が生成され、これが体臭として現れる可能性があると指摘されています。

病気が原因となる体臭

まれに、糖尿病、肝臓病、腎臓病などの特定の病気が原因で、独特の体臭が発生することがあります。例えば、糖尿病の「アセトン臭(甘酸っぱいニオイ)」、肝臓病の「アンモニア臭(ツンとしたニオイ)」、腎臓病の「尿臭」などが知られています。もし、体臭が急に変化したり、他の体調不良と併発したりする場合は、医療機関を受診してください。早期発見・早期治療が大切です。

野菜が体臭を改善する⁉

このような体臭の原因の中でも、多くの人が体験する「加齢臭」や「腸内環境の悪化による体臭」の改善に、野菜の摂取が役立つと言ったら驚くでしょうか?
野菜が体臭の改善に役立つという説には、いくつもの科学的な根拠が存在します。
なぜ、野菜が体臭改善の強力な味方となるのか?その科学的なメカニズムを詳しく見ていきます。

最強の「抗酸化作用」でニオイの元を無力化する!

前述の通り、加齢臭の主な原因である「ノネナール」は、皮脂の酸化によって生成されます。この酸化を引き起こすのが、「活性酸素」です。「活性酸素」は、呼吸や代謝の過程で自然に発生するほか、ストレス、紫外線、喫煙、過度な運動などによっても増えてしまいます。
野菜には、この「活性酸素」の働きを抑制したり、除去したりする強力な抗酸化物質が豊富に含まれています。

ビタミンC

強い抗酸化作用を持ち、皮脂の酸化を防ぎます。また、コラーゲンの生成を助け、肌の健康維持にも寄与します。水溶性のため、毎日摂取することが推奨されます。

ビタミンE

「若返りのビタミン」とも呼ばれ、細胞膜の酸化を防ぐ脂溶性の抗酸化物質です。ビタミンCと協力して抗酸化作用を高めます。

β-カロテン

体内で必要に応じてビタミンAに変換されるプロビタミンAです。強力な抗酸化作用を持ち、特に皮脂の酸化抑制に効果的です。

ポリフェノール

植物が持つ色素や苦味成分の総称で、種類が非常に豊富です(アントシアニン、カテキン、ケルセチンなど)。非常に強力な抗酸化作用を持ち、体内の炎症を抑える効果も期待できます。

これらの抗酸化物質が複合的に作用することで、皮脂の酸化が抑制され、結果として「ノネナール」などのニオイ物質の発生が減少します。まるで体内のサビつきを防ぐ防腐剤のような働きをしてくれるのです。

腸内環境を整え、悪臭ガスを体内から追放!

腸内環境は、体臭に直結する非常に重要な要素です。腸内に悪玉菌が優勢になると、消化しきれなかったタンパク質などが腐敗し、アンモニアや硫化水素、インドール、スカトールといった「クサイ」と感じるガスが発生します。これらのガスは、最終的に血液に乗って全身を巡り、汗腺や肺から排出されるため体臭や口臭として現れてしまいます。

この腸内環境の調整に野菜の真価が発揮されます。豊富に含まれる食物繊維と一部の野菜に含まれるオリゴ糖は、腸内環境を劇的に改善する二大要素です。

食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。

水溶性食物繊維

水に溶けてゲル状になり、善玉菌(ビフィズス菌など)のエサとなります。これにより善玉菌が増殖し、腸内フローラのバランスが改善されます。また、有害物質を吸着して体外への排出を促進するデトックス効果も期待できます。

不溶性食物繊維

水に溶けず、便のカサを増し、腸を刺激して排便を促します。便秘が解消されれば、腸内にニオイ物質が滞留する時間が短くなり、吸収される量も減ります。

オリゴ糖

オリゴ糖は、腸内で消化されにくく、そのまま大腸に到達して善玉菌の選択的なエサとなります。特にビフィズス菌の増殖を助けることで、悪玉菌の活動を抑制し、ニオイ物質の発生を抑えます。

腸内環境が整い、善玉菌が優勢になれば、ニオイ物質の発生が抑えられるだけでなく、便通も改善され、体の中からクリーンな状態を保つことができます。

体液の「pHバランス」を整え、体質からニオイを改善!

私たちの体の健康を保つ上で、体液(血液など)のpHバランスは非常に重要です。健康な体液は、弱アルカリ性(pH7.35~7.45)に保たれています。
しかし、肉類、乳製品、卵、加工食品といった酸性の食品を過剰に摂取すると、体液が酸性に傾きやすくなると言われています。体が酸性に傾くと、代謝機能が低下し、老廃物が蓄積しやすくなることで、体臭が強くなる原因にもなり得ます。

一方、ほとんどの野菜はアルカリ性食品です。積極的に野菜を摂取することで、酸性に傾きがちな体液のpHバランスを中和し、弱アルカリ性の健康的な状態を保つことができます。

体質そのものをニオイが発生しにくい状態にするにあたって、野菜の摂取は非常に理にかなっているのです。

肝臓・腎臓のデトックス機能をサポート!

体臭の要因となるアンモニアなどの老廃物は、肝臓や腎臓で解毒・排泄されます。野菜に含まれる豊富なビタミン、ミネラル、食物繊維は、これらのデトックス臓器の機能をサポートする働きがあります。例えば、葉物野菜に多い葉緑素(クロロフィル)は、有害物質の排出を助けると言われています。肝臓や腎臓が正常に機能することで、ニオイの元となる物質が効率的に体外へ排出され、体内に蓄積されるのを防ぐことができます。

実践!体臭改善が期待できる野菜を食べよう

では、具体的にどんな野菜を摂れば良いのでしょうか。ここでは、体臭改善に特に効果が期待できる野菜と、その活用法をご紹介します。

皮脂の酸化を防ぐ抗酸化力の高い野菜

トマト

リコピンという非常に強力な抗酸化物質を豊富に含みます。リコピンは加熱することで吸収率がアップするため、加熱調理がおすすめです。皮脂の酸化を防ぎ、特に加齢臭の原因となる「ノネナール」の生成を抑制します。
トマトソース、ミネストローネ、トマトジュース、カプレーゼなど、油と一緒に摂ると吸収率が上がります。

ニンジン

β-カロテンが豊富。β-カロテンも脂溶性なので、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。強力な抗酸化作用で、体内の活性酸素を除去し、皮脂の酸化を防ぎます。
にんじんサラダ、きんぴら、炒め物、ポタージュ、スムージーなど。

ホウレン草、小松菜(緑黄色野菜全般)

ビタミンE、β-カロテン、ビタミンC、ポリフェノールなど多様な抗酸化物質を含みます。複合的な抗酸化作用で、体全体の酸化ストレスを軽減します。
おひたし、ほうれん草のソテー、スムージー、味噌汁の具など。

ブロッコリー、パプリカ、ピーマン

ビタミンCが非常に豊富。ビタミンCは水溶性ですが、加熱に弱い性質も持つため、生食や短時間の加熱がおすすめです。免疫力向上に加え、強力な抗酸化作用で体臭の原因物質生成を抑制します。
サラダ、温野菜、炒め物、スープなど。

腸の善玉菌を増やす食物繊維豊富な野菜

ゴボウ

水溶性食物繊維(イヌリン)と不溶性食物繊維(リグニン)をバランス良く含みます。独特の香りはポリフェノールによるものです。善玉菌を増やし、便通を促進して腸内の有害物質や悪臭ガスの滞留を防ぎます。ポリフェノールによる消臭効果も期待できます。
きんぴらごぼう、豚汁、筑前煮など。

タマネギ

食物繊維や、善玉菌のエサとなるオリゴ糖を含みます。また、硫化アリルなどの独特の香り成分は、血液をサラサラにする効果も。外皮に近い部分にはケルセチンも豊富です。腸内環境を整え、善玉菌の増殖を助けます。
スープ、炒め物、サラダ、カレーなど。

キノコ類(シイタケ、エノキ、エリンギなど)

食物繊維が豊富で、低カロリー。腸内環境を整え、便通を促進します。
キノコのアヒージョ、キノコソテー、鍋物、味噌汁の具、炊き込みご飯など。

デトックス&体質改善に役立つ注目野菜

ショウガ

独特の辛味成分ジンゲロールやショウガオールを含みます。体を温め、血行を促進することで代謝を高めます。また、殺菌作用や消臭作用も期待でき、腸内環境の改善にも寄与すると言われています。
薬味、スープ、炒め物、紅茶に入れるなど。

梅干し、レモン(クエン酸が豊富な食材)

酸っぱい成分であるクエン酸を豊富に含んでいます。クエン酸は、疲労の原因となる乳酸の分解を促進し、結果的に疲労臭の原因となるアンモニアの生成を抑えます。また、唾液の分泌を促すことで口臭予防にもなります。
梅干しはご飯のお供に、レモンは料理の風味付けやレモン水など。

ワカメ、ヒジキなどの海藻類

食物繊維(特に水溶性食物繊維)やミネラルが豊富。腸内環境を整え、デトックス作用を促進します。味噌汁の具、サラダ、和え物など。

野菜の健康効果を最大化する食べ方

野菜をただ食べるだけでなく、その効果を最大限に引き出すための食べ方や、日々の生活習慣も非常に重要です。

バランスの取れた食事を心がける

特定の野菜だけを大量に摂るのではなく、様々な種類の野菜をバランス良く摂ることが大切です。彩り豊かな食事は、それだけ多様な栄養素を摂取している証拠。厚生労働省が推奨する「野菜350g」を目安に、毎日積極的に摂るようにしましょう。

調理法を工夫する

加熱調理

リコピン(トマト)やβ-カロテン(にんじん)など、油と一緒に加熱することで吸収率が高まる栄養素もあります。炒め物や煮込み料理に活用しましょう。

生食

ビタミンCなど、熱に弱い栄養素はサラダやスムージーなどで生食することも大切です。

皮ごと食べる

野菜の皮の近くには、食物繊維やポリフェノールが豊富に含まれていることが多いです。よく洗って皮ごと食べる工夫も良いでしょう。

積極的に水分を摂る

水分を十分に摂ることで、汗腺や腎臓からの老廃物排出がスムーズになり、デトックス効果が高まります。1日1.5〜2リットルの水をこまめに飲むことを意識しましょう。

肉類の過剰摂取を控える

肉類自体が悪いわけではありませんが、過剰な摂取は腸内で悪玉菌を増やし、ニオイ物質の生成を促進する可能性があります。適度な量を心がけ、肉を食べる際には必ず豊富な野菜を添えるようにしましょう。

発酵食品を積極的に摂る

味噌、納豆、ヨーグルト、キムチなどの発酵食品は、善玉菌を腸に届ける手助けをしてくれます。野菜と組み合わせて、相乗効果を狙いましょう。

ただし、野菜の摂取だけで、すべての体臭が完全に消えるわけではありません。特定の野菜を過剰に摂取すると、かえって体臭を悪化させる可能性もあります(例:キャベツの一部の成分)。バランスの取れた食事が重要です。
ですが、野菜は、体臭改善に役立つ成分を多く含んでおり、健康的な食生活の一環として積極的に取り入れることは、健康にも体臭ケアにも良い影響を与えると考えられます。

野菜を味方にして、体の中から「香る」体へ!

体臭の原因は食生活だけでなく、ストレス、ホルモンバランス、病気、衛生習慣など多岐にわたりますが、日々の食事と生活習慣を見直すことで、確実に改善の道が開けます。特に野菜は、その強力な抗酸化作用、腸内環境改善効果、体液のpHバランス調整能力によって、体の中からニオイの元を断つ強力な味方となります。

まずは今日から、毎日の食事に「もう一品、彩り豊かな野菜をプラス!」することから始めてみませんか?そして、十分な睡眠、適度な運動、ストレスケア、清潔習慣を組み合わせることで、体の内側から体臭を改善しましょう。

 

【参考資料】
根岸 紀「食品と消臭」日本食生活学会誌/10 巻 (1999-2000) 3 号P15-19
合津 陽子ほか「加齢臭発生機序に基づく対処商品の開発」 日本化粧品技術者会誌(2000)34巻4号p. 379-386
髙垣奈保ほか「甜茶抽出物とペルオキシダーゼの組合せによる酵素的消臭効果」日本食品科学工学会誌 第62巻第8号(2015)P45-52
岡部 賢二『からだのニオイは食事で消す —体臭は内臓からの注意信号』(2012)河出書房新社
五味常明『40代からの気になる口臭・体臭・加齢臭 (健康を科学する)』(2004)旬報社
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