急拡大した世界のオーガニック市場-「The World of Organic Agriculture2024」を読む
目次
高まる有機農業への関心
世界的に有機農業への関心が高まっており、各国でもさまざまな取り組みが行われています。
日本でも2022年7月に、持続可能な社会の実現に向けて、食料生産から消費までの全ての過程における環境負荷を低減し、循環型の食料システムを構築するための包括的な戦略として「みどりの食料システム法(環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律)が施行されました。
この戦略の主な目的は、食料生産から消費までの全ての過程において環境負荷を低減し、循環型の食料システムを構築することです。
具体的な目標として以下のものが掲げられています。
・有機農業の面積割合を全体の農地の25%に拡大する
・化学農薬の使用量を50%減らす
・輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%減らす
・ニホンウナギ、クロマグロなどの養殖で人工種苗比率100%を実現する
・林業で、成長性の高い苗木を苗木全体の9割以上に導入する
【参考資料】農林水産省「みどりの食料システム戦略トップページ」
日本の有機農業面積
「みどりの食料システム法」では、有機農業の面積割合を全体の農地の25%に拡大するとしています。では、現状の有機農地はどれぐらいでしょう。
農林水産省が発表した「日本の有機農業の取組面積について」によると、2022年8月現在の日本の有機農業の面積は3万haで、耕地面積に占める有機農業取組面積の割合は0.7%でした。
この面積は、有機JAS認証を取得している農地と有機JAS認証を取得していないが有機農業が行われている農地を合わせたものです。
引用:農林水産省「日本の有機農業の取組面積の推移」より 画が不鮮明な場合は←から
「みどりの食料システム」では、これを、2050年までに耕地面積を100万haにし、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%にすることを目標としています。これに伴い、有機農業に対する補助金や交付金などの事業が実施されています。
とはいえ、日本の有機農業への取り組みは遅々としており、世界の市場と比較するとまだまだ遅れていると言わざるを得ません。
そこで、今回は、世界の有機農業の調査レポートである「The World of Organic Agriculture2024」に基づき、有機農業市場の世界の動向をみていきたいと思います。
英語版のため、主要な部分を翻訳・編集・説明の追加をしています。また、数字については、原文のまま使用しています。原著のレポート著者により若干の数字のブレがあります。精度の高さを求められる方はリンクから原文をご参考ください。どなたでも無料でダウンロードできます。
【参考資料】
The World of Organic Agriculture2024
有機農業の取組の拡大 – 農林水産省
有機農業の取組面積 ~日本の状況~ – 農林水産省
有機農業の実施状況に関する分析 -農林水産省―
【有機農業関連情報】トップ ~有機農業とは~
有機農業における世界動向
「The World of Organic Agriculture 2024」について
「The World of Organic Agriculture(有機農業の世界)」は、FiBL & IFOAMから発表されている統計年鑑です。2000 年に、初めて出版されて以来、毎年2月頃に発表されています。
2024年版の年鑑は2022年のデータを対象にしています。
成長するオーガニック市場
これによると、世界の有機農業の栽培面積は、2000年のデータ収集の頃から5倍以上に増加して9,600万haに達しました。現在では、有機農地は世界の農地の2.0%を占め、450万人以上の⽣産者によって管理されています。
引用:「The World of Organic Agriculture 2024」P38
2022年は前例のない伸長
特に、2022年に多くの国で大幅に有機農地が拡大し、約2,030万ha増、前年比26.6%増という前例のない成⻑を遂げていることが明らかになっています。
また、オーガニック⾷品の売上⾼も大幅に増加しており、市場規模は2000年の150億€から2022年には1,350億€近くへと、ほぼ8倍に拡大しています。2022年の市場の伸びは、カナダや米国で見られましたが、ヨーロッパのいくつかの国では市場が停滞または衰退しました。原因として、エネルギー危機やインフレ危機、ウクライナ紛争の影響など、世界情勢の動向がオーガニック市場に与える影響を浮き彫りにしています。
同レポートでは、2023年のデータを待つ間、これらの要因がオーガニック市場に及ぼす継続的な影響について洞察が得られるだろうとしています。
2022年世界市場の概要
世界188か国から集められ、現在、最新である2022年のデータによると、世界の有機農地は、主にオーストラリアの成⻑に伴い、9,640万ha以上に増加し、前例のない急拡大になりました。
農家の数も20%以上の大幅増加で450万人の⽣産者になりました。⼩売部門の有機製品の売上⾼は成⻑が鈍化し、⼀部のヨーロッパ諸国で停滞や減少に⾒舞われたにもかかわらず、約1,350億ユーロに達しました。
引用:「The World of Organic Agriculture 2024」P38
地域別有機農地面積
世界の有機農地面積は、2022年には転換中の土地を含み、約9,640万haの農地が有機農地となりました。有機農地が2,030万ha増え、前年比26.6%増という前例のない規模で大幅に拡大しました。
地域別でみると、有機農地⾯積が最も大きい地域は、オセアニア(オーストラリア含む)で5,320万haと世界の有機農地の55%を占めています。次いで、ヨーロッパは1,850万ha、19%でした。そして、ラテンアメリカが950万haで10%。アジアが880万haで9.2%。北米が360万ha、3.8%。アフリカが270万ha、2.8%と続きます。
引用:「The World of Organic Agriculture 2024」P39
引用:「The World of Organic Agriculture 2024」P43
すべての大陸で有機農地が増加
2022年には、すべての大陸で有機農地が増加しました。
絶対的な成⻑率が最も⾼かったのは、オセアニアの1,720万ha増,前年比47.8%増です。次いでアジアが39万ha増,5.9%増、北米は35万ha増,10.7%増、アフリカは10万ha増,4.9%増、ヨーロッパは20万ha増,1%増、ラテンアメリカは5.3万ha増,0.6%増でした。
国別有機農地面積
最大はオーストラリアの5,300万ha
多くの国で有機農地大幅な増加が報告されています。
国別でみると、有機農地面積が最も多い国は、オーストラリアの5,300万haでした。次いで、インドが470万ha、アルゼンチンが410万haでした。
増加の大きかった国は、オーストラリア、インド、ギリシャでした。オーストラリアの有機農地は1,733万ha以上で前年比49%増と急増しました。インドは約207万haで78%増、ギリシャは約39万haで73%増です。
しかし、⼀部の国では有機農地が減少し、最も顕著な減少は、ロシア連邦で発⽣し、データによると約50万haの減少がみられました。
ちなみに日本は0.37万ha増え、前年比0.1%増です。
有機農業比率
世界の有機農地の割合は2.0%
2022年、世界の農地のうち有機農地が占める割合は2.0%でした。
地域別にみると、有機農地比率が⾼かったのは、オセアニアの14.3%とヨーロッパの3.7%、(欧州連合:10.4%)でした。
有機農業比率1位はリヒテンシュタイン公国の43.0%
国別の有機農業の国内農地の比率は、⼀部の国で世界平均と比べて大幅に大きくなっています。最大は、リヒテンシュタイン公国の43.0%です。同国はオーストリアとスイスの間に位置する全長 25 km の公国で、国の面積が160 km²と小さいことが有機農業の比率に大きく影響しています。
次いで、オーストリアの27.5%です。同国は面積7,741,000 km²の広大な国土を保有するにも関わらず、有機農業の割合が1/4以上占め、世界最大の有機農業国です。2021年から2022年にかけて、1,733万ha増加しています。
3位は、エストニアの23.4%です。同国はバルト海とフィンランド湾に接する北欧の国で1,500 以上の島々からなり多様な地形を有しています。国土面積は45,340 km²で日本の1/9の面積です。
注目すべき点は、他にも22か国で、農地の10%以上が有機農地になり、新記録を樹⽴したことです。
有機農業の生産者数
有機農業⽣産者は450万人
2022年、世界の有機農業の⽣産者数は著しく増加し450万人となり、2021年と比較して約919,000人と前年比25.6%増という驚異的な増加を記録したことです。
アジアは、世界の有機農業⽣産者の61%を占めてトップに⽴ち、アフリカが22%、ヨーロッパが11%、ラテンアメリカが6%でそれに続いています。
国別でみると、⽣産者数が最も多い上位3カ国は、インド(2,480,859)、ウガンダ(404,246)、タイ(121,540)でした。
有機農業市場規模
市場規模は約1,350億ユーロ
2022年のオーガニック⾷品と飲料の売上⾼は約1,350億€(約22兆円)に達しました。※FiBL(56P)
2022年にオーガニック市場が最も大きかった国は米国で586億€、シェア43%を占めました。次いで、欧州連合が451億€、34%(うちドイツが153億€)、中国が124億€で9.2%と続きます。
一人当たり消費額1位はスイス
また、2022年の一人当たりの消費額は、スイスの437€が1位でした。
オーガニック市場の割合が最も⾼かったのはデンマークの12.0%、次いでオーストリア11.5%、スイス11.2%でした。
いくつかの市場では減少が⾒られ、ヨーロッパではオーガニック⼩売売上⾼が2%以上減少しました。ただし、北米では市場が拡大しました。
世界の有機農業:主要指標
有機農業:主要指標と上位国
指標 | 世界 | 上位の国 |
有機農業に取組む国※1 | 2022年188ヵ国 | |
有機農地 | 2022年:9,640万ha (2000年:1,500万ha) |
オーストラリア(5,300万ha インド(470万ha) アルゼンチン(410万ha) |
農地総⾯積に占める有機農地の割合 | 2022年: 2.0% | リヒテンシュタイン (43.0 %) オーストリア (27.5 %) エストニア (23.4 %) |
有機農地の増加 2021/2022 | 2,030万ha +26.6% |
オーストラリア: 17,328,259 ha (+48.6 %)、 インド: 2,068,825 ha (+77.8 %) ギリシャ: 390,223 ha (+73.0 %) |
ワイルドコレクションと さらに非農業地域 |
2022年: 3,460万ha (1999年: 410万ha) |
フィンランド(690万ha) インド(440万ha) ザンビア(320万ha) |
生産者 | 2022年: 450万人の⽣産者(1999年: 20万人の⽣産者) | インド (2’480’859人) ウガンダ (404’246人) タイ (121’540人) |
オーガニックマーケット※2 | 2022年:1,348億ユーロ(2000年:151億ユーロ) | 米国(586億ユーロ) ドイツ(153億ユーロ) 中国(124億ユーロ) |
⼀人当たり消費量 | 2022年: 17.0ユーロ | スイス(437ユーロ) デンマーク(365ユーロ) オーストリア(274ユーロ) |
国数/有機規制のある地域 | 75(完全実施)14(草案作成中) | |
IFOAMの加盟団体数‒ オーガニックインターナショナル | 2022年: 781の関連会社 | ドイツ: 80の関連会社 中国: 52の関連会社 インド: 49の関連会社 米国: 45の関連会社 |
FiBL調査2024、各国のデータソース、認証機関およびIFOAM ‒ Organics Internationalのデータに基づく
※1 本書で「国」という表記が使われている箇所は、国と地域を指します。UNSTATのウェブサイトhttps://unstats.un.org/unsd/methodology/m49/をご覧ください。
※2 方法論の違いにより、Ecovia IntelligenceとFiBLのオーガニック⾷品の売上⾼には若干の違いがあることにご注意ください。Ecovia Intelligenceによると、2022年の世界の⼩売売上⾼は1275億ユーロに達しました(本書のSahotaの記事を参照)。欧州中央銀行によると、2022年の1ユーロは1.0530米ドルに相当します。
引用:「The World of Organic Agriculture 2024」P26より引用・翻訳
オーガニック市場における課題
世界情勢による混乱
世界のオーガニック⾷品市場が直⾯している主な課題には、インフレによる⾷品価格の上昇、サプライチェーンを混乱させる地政学的要因、ウクライナ紛争の経済への影響、パンデミック中の需要増加に伴う供給過剰の懸念などがあるとしています。
困難なオーガニック食品の差別化
オーガニック製品に対する消費者の需要は、健康上の理由、倫理的配慮、環境への懸念などによりさまざまです。しかし、植物由来の⾷品や遺伝子組み換え作物を含まない製品などの製品との競争により、市場でオーガニック⾷品を差別化することは困難となっています。
結論として、世界のオーガニック⾷品の売上は2020年の急増後安定しましたが、インフレや供給の混乱などの課題が消費者の需要に影響を与えています。経済状況が改善するにつれて、成⻑は再開すると予想されます。
アジア地域の動向
有機農業の取組み進むアジア
インドは有機農家が100万人増加
2022年の時点でアジアの有機農地は、880万ha以上におよび、270万人の⽣産者によって管理されています。⽣産者の大半はインドで、その数は2021年から2022年にかけて100万人増加し、世界的な有機農家の増加に大きく貢献しています。
アジア最大はインドの473万ha
インドの有機農地は、473万ha、中国は290万ha以上で、有機農地の主要国として浮上しました。特に、東ティモールは8.5%と有機農地の割合が最も⾼く、際⽴っていました。
有機農業に関する法整備進む
アジア地域は有機農業慣行への強い取り組みを示しており、22か国が有機農業に関する法律を制定し、7か国が関連法の起草過程にあります。
日本の持続可能な⾷料システム戦略、キルギスの「山岳地域開発のための5カ年行動」における有機農業への重点化、サウジアラビアの総合的な⽀援システムなど、各国政府による包括的な⽀援計画など、注目すべき進展がみられました。
アジア各国の有機農業分野の発展
2023年、アジアの有機農業部門は引き続き大きな発展を遂げました。
【日本】
2022年7月に「みどりの食料システム戦略」を47都道府県全てで実施し、91の地⽅⾃治体を「オーガニック村」として認定することで主導的な役割を果たしました。
【キルギス】
有機農業に重点を置いた「山岳地帯開発のための5カ年⾏動」イニシアチブの包括的なロードマップを策定しました。
【サウジアラビア王国】
法律、監督、技術、物流の側面を網羅した有機農業セクター向けの総合的な支援システムを開発しました。
【中国】
中国政府はオーガニック製品認証規則を改正し、新規則は2022年11月1日より施⾏されました。また、中国とニュージーランドの間でオーガニック製品認証の相互承認協定が締結されました。
【韓国】
政府の予算削減により、環境に優しい農業への資金援助が影響を受け、課題に直面しました。有機農産物の意図しない汚染に対する懸念に対処するため、認証プロセスに改正が導⼊されました。
【ブータン】
地域有機保証システムを導⼊しましたし。インドでは参加型保証システム (PGS) の採⽤が増加しました。
【インドネシア】
インドネシア有機同盟が「PAMOR Indonesia」と呼ばれる独⾃の PGSバージョンを導⼊しました。
この地域の多くの国、特にバングラデシュでは、オーガニック市場に参⼊する民間企業の急速な成⻑がみられました。
こうした動きは、アジアにおける有機農業の重要性が⾼まっていることを強調しており、さまざまな国が規制、認証、市場拡大で大きな前進を遂げています。
また、2024年、IFOAM ‑ Organics Asiaは、世界的なオーガニック賞を導⼊し、学校給⾷と公共調達に関する国際会議を共催し、IFOAM PGS発足20周年に合わせて世界PGS会議を主催する予定です。
※PGSは国際有機農業運動連盟(IFOAM)が推進する参加型認証システム
成長するインド、伸び悩む日本
有機農業の主要国として台頭してきたインドの取り組みについて、もう少し詳しくみていきたいと思います。
インドの動向
インドのオーガニック部門は、インド政府の主導で国連総会が承認した2023年国際雑穀年(IYoM23)の開始により、大きな後押しを受けました。
選ばれたテーマ「健康な雑穀、健康な⼈々」は、しばしば「⻩金の穀物」と呼ばれるこれらの「栄養穀物」の栄養上の重要性を強調しています。雑穀は主にオーガニック栽培されており、⽔の使⽤量は最⼩限です。
雑穀はスーパーフードとして称賛されており、タンパク質、抗酸化物質、必須栄養素が豊富です。オーガニック雑穀は、栄養上の利点を提供し、将来の世界の食糧安全保障のための実⾏可能な解決策として役立つ収益性の⾼い換金作物として浮上する可能性があります。
このように記載され、栄養上の重要性とともに世界の食料安全保障を見据え、雑穀の有機栽培に注力していることが記述されています。
日本の動向
一方、日本の状況については、谷⼝洋子※1と三好聡子※2により報告されています。
日本のオーガニック食品市場は2022年も成⻑軌道を維持し、2240億円(16億€)と大幅に拡大しました。これは、2017年に⾏われた前回の推定から21.1%の驚異的な増加を⽰しています。※3
さらに、消費者パネルからの追加データ※4によると消費者⾏動に大きな変化が見られます。消費者の32.6%が少なくとも週に1回はオーガニック食品を購⼊しており、2017年の調査で報告された17.5%から大幅に増加しています。
2022年のオーガニック食品の売上⾼は、バーコード(JANコード)のない商品を除いたもので前年比8.4%増加しました。※5
バーコード付きオーガニック商品の販売量は2020年(17.7%)、2021年(19.0%)と顕著な伸びを⽰したが、2022年には伸びが鈍化しました。
政府の強力な政策支援と相まって、民間セクターはオーガニック食品市場の拡大に向けて大きな前進を遂げてきました。2023年4月には⼩売業者とオーガニック食品メーカーが協力し、日本オーガニック加⼯食品協会を設立しました。この協会は、国産原料を使⽤したオーガニック加⼯の推進に取り組んでいます。※6
※1 谷⼝陽子教授(摂南大学准教授)
※2 三好聡子(オーガニックコングレスジャパン常務理事)
※3 農林⽔産省「ゆき農業をめぐる事情」(日本語)2023年9月。
※4 香川大学の河合綾子⽒が主導し、英国FCDOの資金提供を受けた研究プロジェクト「日本のオーガニック市場調査」で谷⼝陽子⽒が得たデータ。
※5 2022年には畜産物(359%)、アイスクリーム(309%)、デザート•ヨーグルト(110%)、乳製品(72%)、漬物•佃煮(68%)、スプレッド(66.9%)、清涼飲料⽔(60%)、菓子類(52%)で大きな成⻑が見られました。
※6 2023年6月、日本大手スーパーマーケットチェーンのイオン株式会社は、プライベートブランド「グリーンアイオーガニック」シリーズの売上を3倍に増やす意向を発表しました。もう⼀つの大手スーパーマーケットチェーンであるライフコーポレーションは、オーガニックとナチュラルをコンセプトにした同社の新業態「BIO‑RAL」9号店をオープンしました。
まとめ
以上が「The World of Organic Agriculture2024」の概要から抽出した有機農業の世界の動向です。世界の有機農業の成長に比して、日本は施行された「みどりの食料システム法」による牽引で2022年の有機農業の面積割合0.7%を2050年には25%までに拡大することを目指しています。
世界的な流れとしても有機農業が拡大する方向にありますが、日本の有機農業割合は、まだ、わずかです。日本で有機農業が普及しない理由としては、労力の問題や収益性、認証取得のコスト高、栽培技術の習得や管理の問題、消費者ニーズがまだ大きくない、行政支援が表面的であるなどがあげられます。
今後、有機農業をどのようにして拡大するかは、他国の取り組みやシステム作りなども検討しつつ、日本の気候・風土での有機農法やAI・ロボットの開発や導入(有機農法の悩みは雑草だったりするので)など視野を広くして検討していく必要があると思われます。
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