育ててみませんか?地域の伝統野菜のタネ配布情報

地域で育てよう伝統野菜

それぞれの地域には、古くから栽培されてきた伝統野菜と呼ばれる野菜があります。これらは、長い時間の中で、その土地の気候・風土に適応し、また、農家の方が母本を選抜し、自家採種をし、その遺伝形質が固定した品種です。

そのような野菜を自分でも育ててみたいと思うことはありませんか? そこで、今回は、貴重な伝統野菜のタネを配布している自治体をご紹介したいと思います。

自治体や活動団体の中には、一般の方に向けて、伝統野菜のタネを配布したり、シードバンクで貸し出したりしているところがいくつかあります。配布時期は作物によって異なり、数量も限られています。場合によっては中止などもあり得ますので、配布時期が近づいたら、各自治体のホームページ等で配布場所や入手方法をご確認ください。

 

練馬大根(ねりまだいこん):東京都練馬区

「練馬大根」は、江戸時代の元禄期頃に盛んに栽培された歴史ある品種で、たくあん漬けや干し大根として利用されてきました。白首系の大根で中太りするため、収穫時に引き抜くのに力が要りますが、一度は作ってみたい大根ではないでしょうか。

約20本分の種が入った袋と練馬大根の歴史や育て方等をまとめた冊子を練馬区民の希望者の方に無料で配布しています。練馬大根は長さが80㎝程になり、プランターでは栽培できないため、練馬区内在住で耕作地があり、必ず栽培できる方が対象となっています。

練馬大根干しの風景

練馬大根干しの風景

三河島菜(みかわじまな):東京都荒川区

「三河島菜」は、江戸を代表する漬菜として栽培されてきましたが、白菜が日本に伝わってきたことにより、栽培されなくなってしまいました。江戸東京・伝統野菜研究会の試みにより、「三河島菜」の子孫種の「仙台芭蕉菜」の流れから、東京西部の農家で、江戸東京・伝統野菜「青茎三河島菜」として栽培されるようになり復活しました。

JR三河島駅は、「JR三河島駅地域貢献プロジェクト」の一環として「三河島菜」のPRに協力されています。非公開ですが、毎年、駅構内のプランターで「三河島菜」を栽培されており、復活への取り組みをサポートしています。JR三河島駅では、「三河島菜」の販売イベントが行われたり、栽培したものから採種したタネを駅員さんが自ら配布したりするなどされています。配布は種がなくなり次第終了です。

越前白茎ごぼう(えちぜんしらくきごぼう):福井県坂井市

「越前白茎ごぼう」はシベリア方面から伝わった品種で平安時代以降に栽培が始まったとされます。120年程前の明治時代に、採種のために坂井市春江町の木部西方寺で栽培されるようにった福井の伝統野菜です。ゴボウと言っても一般的な土ゴボウとは違い、葉ゴボウの一種で、根は短く茎は白く長いのが特徴で、主に茎を食べます。 坂井市は2023年度に福井県立大と連携し、栽培方法や成分分析を研究し、最適な育成環境と保存方法、新たなレシピをみつけたり、作付けの継続と併せ、市民への普及を推進しています。希望者の方には、越前白茎ごぼうの種を配布しています。農業振興課(TEL:0776-50-3150)へお問い合わせください。

越前白茎ごぼう

越前白茎ごぼう

大高菜(おおだかな):愛知県名古屋市

「大高菜」は、江戸時代から大高村の特産品として知られた伝統野菜です。「大高菜」は、他のアブラナ科植物と交雑すると形質が変わってしまうため、最近まで、大高地区での種の生産は野菜畑ではなく、アブラナ科の花粉が飛んでくる危険の少ない古い町並みの中の1軒の農家の庭先で行われてきました。

配布のタネは、緑区役所のプランターで展示栽培を行い、そこから採種しています。 2023(令和5)年度は、9月20日(水曜日)から緑区役所2階 東部・緑農政係(150袋)、緑区役所1階 情報コーナー(150袋)、徳重支所 庶務係(200袋)で無料配布が行われました。1人1袋の配布で無くなり次第終了です。

大高菜の若葉

大高菜の若葉

八事五寸人参(やごとごすんにんじん):愛知県名古屋市

八事五寸人参は、1919(大正)8年に、現在の名古屋市天白区の農家が、東京の種苗会社から導入したニンジンの種から選抜したのがルーツとされています。

「あいちの伝統野菜」のうちの名古屋市生まれの伝統野菜を「名古屋の伝統野菜」として、認定し、名古屋市役所では、「八事五寸人参」と「大高菜」を配布しています。 2023(令和5)年度は、8月4日から市役所西庁舎5階北側「都市農業課」カウンター(地下鉄名城線「名古屋城」駅下車)で無料配布が行われました。どちらも無くなり次第終了です。

八事五寸にんじん

八事五寸にんじん

真菜(まな):愛知県長久手市

「真菜」は、アブラナ科のツケナの仲間で、特にダイコンの葉のような葉の切れ込みが特徴です。

有名なジブリパークがある愛知県長久手市内の東部地域では、古くから数軒の農家で自家採種が続けられてきており、現在までその種子が保存されてきました。真菜は長久手市の伝統野菜として位置づけられています。

比較的育てやすくプランターでも栽培できますが、アブラナ科なので交雑には注意が必要です。長久手市役所建設部みどりの推進課窓口(本庁舎3階)でタネを無料配布しています。無くなり次第終了です。

守口大根(もりぐちだいこん):大阪府守口市

「守口大根」は、守口漬でも知られる細長い大根です。長さは1m以上にもなります。愛知県・岐阜県の木曽川沿いでも栽培されており、両県の伝統野菜に認定されています。

大阪府の「守口大根」は、起源は少なくとも室町時代に遡ると考えられており、淀川沿いの大阪天満宮付近や長柄、橋寺付近に栽培地が点在しており、当時の一寒村であった守口の中洲(外島、狼島、土居)で栽培されていましたが、明治後期以後住宅化に伴い、衰退していきました。現在は、「なにわの伝統野菜」に認証され、継承に向けて、普及促進活動が行われています。

守口市では、市役所地域振興課で「守口大根」のタネと栽培資料と合わせて無料で配付しています。前回は、9月1日からで、先着80組(1組につき20粒まで)で、無くなり次第終了です。

守口大根の畑 

守口大根の畑

伝統野菜の種子配布を行っている自治体まとめ

地域 品種 時期 対象者 問い合せ先
東京都練馬区 練馬大根 8月頃 練馬区民 練馬区都市農業担当部都市農業課農業振興係
東京都荒川区 三河島菜 10月頃 JR三河島駅利用 荒川区産業経済部観光振興課
福井県坂井市 越前白茎ごぼう 要問合 坂井市民 坂井市農業振興課
愛知県名古屋市 大高菜 9月下旬 取りに来れる人 緑区役所区政部総務課農政担当
あぐりっと!なごや
愛知県名古屋市 八事五寸 8月頃 取りに来れる人 天白区役所総務課
あぐりっと!なごや
愛知県長久手市 真菜 2月頃 取りに来れる人 建設部 みどりの推進課 農政係
大阪府守口市 守口大根 9月頃 先着80組 市民生活部地域振興課

(2024年1月31日現在)

農家の方はもちろん、家庭菜園を行っている方も伝統野菜を育ててみませんか?

そして、大切に育てたら、ぜひ、翌年に採種したタネを撒いてみてください!そのタネが芽吹いた時には、一段と大きな感動が味わえることと思います。

 

【参考資料】

みんなの農業広場「自家採種で在来野菜を守ろう ~方法と利用~」

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