高校生が伝統野菜でGLOBAL GAP(グローバルギャップ)認証を取得―福島県立会津農林高校の「会津小菊かぼちゃ」と米2品目

福島県立会津農林高校(会津坂下町)は、2018年度のプロジェクトとしてGGAP(グローバルギャップ)第三者認証の取得に取り組んできました。その結果、会津伝統野菜の「会津小菊かぼちゃ」および「コシヒカリ」と「ひとめぼれ」のコメ2品目で認証を取得しました。

GLOBAL G.A.P.(グローバルギャップ)認証は、農産物が安全であることを示す国際認証規格です。

GAPは「Good Agricultural Practice」の頭文字をとったもので、日本語では、「良い農業のやり方」となりますが農林水産省は「農業生産工程管理」と訳しています。

GAP認証には、一般財団法人日本GAP協会が運営するJGAP、ASIAGAPと、ヨーロッパの非営利団体FoodPLUS社(本部:ドイツ)が運営するGLOBALG.A.P.の3種類があります。

ASIAGAP と JGAP は、世界に通用する日本の本格的な第三者認証制度として2006年に創設されました。ASIAGAP と JGAPの認証農場数は2018年3月時点で計4,213 農場です。

欧州発の世界認証であるGLOBALG.A.P.は世界118カ国以上で実践されており、信頼性の高い基準として高く評価されています。内容は農業生産における食の安全、環境保全、労働安全について200項目以上にわたる審査基準があり、これらの基準を満たした農場での食の安全と持続可能性を証明します。

GAP認証については2017年3月に東京オリンピック・パラリンピックの選手村で使う食材の調達条件になったことにより話題になりました。食材を提供するためには少なくとも日本発の世界水準GAP認証制度JGAPの取得が必要です。しかし、国内農産物はいずれのGAP取得率も低いことから、選手村で使用する食材が外国産になってしまう可能性が懸念されています。反対にGGAP認証を取得すれば、安全で品質の良い農作物であるということを世界に証明することができるともいえます。

会津農林高校では、今年度、GLOBALG.A.P.認証を取得することを目標に掲げ、学校全体で取り組んできました。11月5,6日には、農業園芸科の水田班、野菜班、農業部でつくる「GGAP TEAM」の年生と3年生の生徒26人が民間の認証機関による書類審査や農場の現地審査農産物の国際認証「GGAP」の公開審査に臨み、12月28日に取得の報告を行いました。生徒達は、会津の農産物の認知度向上と今後の販路拡大に向けて、GAP認証の取得の効果に期待しているとのことです。

全国的にもGAP取得を行っている農業高校や農業大学は増えており、農林水産省の発表によると、2018年12月時点では、農業高校30校が第三者機関によるGAP認証を取得しています。内訳はGLOBALG.A.P. 13校、ASIAGAP 4校、JGAP 14校。今回の会津農林高校を含めると31校になります。農業大学は10校で、内訳はGLOBALG.A.P. 3校、ASIAGAP 3校、JGAP 4校となっています。

GAPの取得は国際競争力の強化にもつながるため、少しづつではあるものの増加傾向にあります。しかし、取得のデメリットとして、認証取得や更新に係る経費が高いことや取得準備のための労働負担が大きいなどの便益の悪さも問題になっています。審査初回は原則収穫時期に行われるため申請のタイミングによっては認証取得までに1〜2年はかかってしまいます。東京オリンピック・パラリンピックに向けたの取得を目指すのであれば2019年はラストチャンスの年といえそうです。

 

(出所データ)

農林水産省「農業高校・農業大学校におけるGAP認証の取得について」平成30年12月19日付 http://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_kyoiku/kyoiku_gap.html

 

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