伝統野菜が対象に! 制定が進む長野県主要農作物等種子条例-信州の伝統野菜が加えられる方向で骨子案

主要農作物種子法(しゅようのうさくぶつしゅしほう)は、1952(昭和27)年5月1日に日本の主要農作物の安定的生産および普及の促進を目的に制定されたものです。

主要農作物種子法は略して種子法と呼ばれています。種子法は主要農作物の種子を公的に守ることを国が果たすべき役割として定めた法律です。対象となる農作物は稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆で、同法にもとづき都道府県は農業試験場や公的研究機関での種子の開発や普及に予算を組んで取り組み農家に種子を供給してきました。

その種子法が十分な議論もなされぬまま2018年(平成30)年4月1日に廃止され、今後は、都道府県や市町村など各自治体ごとに奨励品種への権限が委譲されるようになりました。

これを受けて、各都道府県が独自の条例の制定を進めています。種子法に代わる条例は、すでに埼玉県、新潟県、兵庫県、山形県、富山県の5県で制定されており、北海道や福井県、長野家、岐阜県、宮崎県などでも条例化の準備が進んでいます。

そのなかでも長野県は、種子法で対象としていた農作物に加え、伝統野菜の種子の保存に取り組むこととしました。「県主要農作物等種子条例(仮称)」の骨子案では、これまでの種子法に加え、基本理念、県の責務・関係機関等の役割、種子の確保、種子生産者等への支援、「信州の伝統野菜」や、「将来に向けて種子生産を継続する必要がある在来品種」等の種子保存等への支援、財政上の措置の6項目が新たに盛り込まれました。

「信州の伝統野菜」は、長野県が実施する「信州伝統野菜認定制度」によって認定された野菜の品目です。1991(平成3)年に認定を開始して、現在までに漬け菜、ねぎ、ピーマン、唐辛子、なす、きゅうり、かぼちゃ、うり、ゆうがお、いちご、いんげん、とうもろこし、ばれいしょ、大根、かぶ、ごぼう、里芋、にんにく、わさびといった多彩な76品目の野菜が認定されています(2018年5月現在)。

これらの「信州の伝統野菜」や在来品種を絶やさいないよう種子の生産や保存を支援するとしています。

種子条例の対象農作物に伝統野菜が加えられるのは全国でも例のないとのことですが、具体的に条例の制定を検討している都道府県はまだ10都道府県ほど。今後、種子法に代わる条例が制定されていくなかで、他の都道府県でも伝統野菜が加えられる契機になると良いですね。

 

「長野県主要農作物等種子条例(仮称)」骨子(案)に関する参考資

 

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